実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド

文字の大きさ
上 下
12 / 123

来訪者続々

しおりを挟む
 翌朝、朝7時から始まる田中家の朝食を3階のキッチンダイニングで食べた。

 父親の一狼、長姉の弥生が不在の中、家族達と朝食を食べてると、インターホンが鳴り、愛が応対すると不作法な客がキッチンダイニングまでやってきた。

「青夜様、お迎えに上がりました。二千院に帰りましょう」

 と声を掛けてきたのは母方の二千院家に仕える執事の長門彰だった。

 身長182センチ。30代の総髪のオールバック。常時サングラスを掛けてるが眼を負傷してる訳でも異能が魔眼な訳でもない。美学なだけだった。容姿は秀麗だ。

「彰さん、見て分からない?」

「何がです?」

「美人な家族に囲まれた生活をオレは今、満喫してるんだよ。二千院なんかに行く訳ないじゃん」

「昨夜東条院宗家が落ち、緊急事態です。そのようなわがまま・・・・・・」

「緊急事態なんかじゃないさ」

 青夜が遮るように、

「使いっぱしりの彰さんごとき・・・が来てる時点で。でしょ?」

「・・・あのですね。私は当主様より青夜様がゴネたら実力を行使してでも連れて来いと・・・」

 パチンッと青夜が指を鳴らすと、

「帰りますね。当主様がゴチャゴチャ言ったらちゃんと『うるさい、タコ入道。青夜様に今更親族面して干渉するな。もう一度言うぞ、タコ入道』と言っておきますのでご安心下さい。では失礼します」

 と言って出口に向かおうとした時、

「ぬああああああっ!」

 との気合と共に、

「何操って・・・」

 何か言おうとしたが、

「失礼しました。では朝食をお楽しみ下さい」

 そう言って帰っていった。

「青夜君が操ったのよね?」

 愛が質問する中、

「まさか、ママ。無能なオレが操れる訳ないでしょ」

 青夜はもちろん、しれっと否定したが、

「私達には使わないでね」

「使わないよ。まあ、何かもう葉月さんとアンは誰かに操られてるっぼいけど」

「そうなの? そんな風には見えないけど」

 青夜の指摘で愛がマジマジと2人を見て言う中、

「えっ、操られてるよね? 不自然なくらい初対面からオレに好意的なんだから」

「2人が好意的なのは青夜君にメロメロだからでしょ? ってか、本当に田中家に来た時が初対面なの? 2人とも昔から青夜君の事、知ってるっぽいわよ」

「えっ? そうなの?」

 と青夜はマジマジと2人を見て、

「でもオレ、金髪の外人に知り合いなんて・・・待てよ、確か。あっ」

 まずは右眼を挟んだ横Vサインをするアンに気付き、続いて葉月を見て、

「葉月さんとはオレ、どこで会ったの?」

「中国の異能マフィアと戦争中に助けられただけよ」

 その情報では思い出せなかった青夜が、

「もう少しヒントがないと・・・・・・」

「3日前に弟の車列を襲ったとかそんな事を言ってたような・・・後、記憶を消されてたわ。愛さんが戻してくれた去年まで」

「・・・もしかして黒髪ツインテールに大きな赤リボンの赤ゴスロリの?」

「言わないでよ、それ。黒歴史なんだから」

 と黒歴史を暴露された葉月が喚く中、

「何、それ、葉月さん?」

「そうなの? 写真とかないの?」

 初耳だった愛とアンジェリカが面白がって葉月に追及したのだった。





 その日は朝10時にも訪問客があった。

 4階の青夜の部屋に通されたのは白鳳院本家の名代で当主代理の白鳳院かなめだった。

 枢は18歳で男。身長185センチ。黒髪ロングで、容姿は美麗で通る。身体の線は細く、武闘派には見えない。恰好は白の詰襟服だった。学生服ではない。白鳳院の正装だ。

 枢は白鳳院大学に今年から通う新1年生だった。

「これは、白鳳院の当主代理様自ら」

「お義兄さんとはもう呼ばないんだな、青夜?」

「婚約は白紙になりましたからね」

「では、オレの家来になれ」

「なりませんよ」

「なら、五分の義兄弟の杯だ。それならいいだろ?」

「申し訳ありません、当主代理様。既に義兄弟の杯は交わしておりまして」

「それは初耳だな。誰とだ?」

「言う訳ないじゃないですか」

「・・・ふむ。やっぱり妹と再婚約して貰うしかないか」

 物騒な事を言われて、

「絶対に嫌ですから。向こうもオレを嫌ってますし」

「青夜がそう仕向けたんだろうが。まあいい。白鳳院の屋敷に来い」

「絶対に嫌ですね。オレはこの家で16歳の誕生日を迎えるんですから」

「誰の助言だ、それ?」

「言う訳ないじゃないですか」

「ふむ。まあ、良かろう。東条院の宗家屋敷の情報は聞いてるか?」

「呪詛塗れで宗家屋敷に居た全員が呪詛を喰らったとか?」

 昨日は『当主生誕の儀』だった。

 夕食を終えた後も東条院の血族連中は帰らずに宴に参加する。

 あの邪気の高まりが起こったのは夜9時32分。

 つまりは血族の大人達はまだ帰っておらず全員が『呪詛を喰らった』って事になった。

「ついでに言えばもう助からない」

 それは初耳だ。

 同時に東条院一族は次の代が育つまで没落を意味した。

「ん? オレの弟と妹は無事ですよね?」

「いや、宗家筋は他家に養子に出された青夜だけが運良く・・・難を逃れただけで、他は全滅だ。そう廃嫡になった青夜だけが、運良く・・・な。知ってたのか?」

「まさか。『16歳になるまでに家を出ろ』とだけですよ」

「政略結婚で無理矢理、東条院に嫁がされた青夜の母親の貴子なら青夜以外は助けないか」

「何の事だか」

 そう青夜はとぼけ、その後も情報交換をして枢が帰ると同時に、入れ違いで別の来訪があった。

 正確には白鳳院の来訪時に到着してたが、相手が相手だったので待たされた格好だったが。

 次に来たのは東条院の分家がしらの藤名家の青夜が見た事もないような下っ端の使い走りだった。

 藤名家へ足を運ぶよう言われたがちゃんと説得・・して帰した。

 他にも分家筋の久遠寺、鵜殿、綾波らの使用人が呼びにきたが全員帰したのだった。
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...