上 下
28 / 30
醜聞は闇に葬られた

はぁ〜い【シノーラside】

しおりを挟む
 メリッサさまから新聞部の部長を引き継いだ私は学園長室に呼ばれていた。

 理由は1つ。再三ミリアリリー女学園側から春の校外狩猟学習の出来事は学園新聞には書かない事、と警告されたのに、密かに新聞にしようとしてたのがバレたからだった。

 学園長センセイが、

「シノーラさん、ミリアリリー女学園は新聞部に対して春の乙女祭が終わるまでの活動停止を言い渡します」

「なっ、どうしてですか?」

「理由はミリアリリー女学園からの命令違反です」

「ですが、新聞部にはミリアリリー女学園内の真実を追及する権限が・・・」

「それは生徒会や委員会、そして教師の不正までです。第2王女様の言葉を学園新聞に載せたら、王族への不敬罪やミリアリリー王国への内乱罪が適用されてアナタ達新聞部は全員収監される事になるのですよ?」

 確かに、と私も思った。

 私も3年生だからあの時、あの場に居たのだから。





「陛下が誰かに操られてるっ!」





 と第2王女様は悲痛な声で助けを求めてた。

 そして、王宮に出向いた4人全員が無罪放免。

 4人全員が学生だから見逃された?

 それとも、もしかしたら本当に・・・

 想像と好奇心が掻き立てられる事件だけど、関係者全員が口止めされてて教えてくれない。

 それでも、あの日、王宮で何かあった事は親や家族が王宮勤めの生徒達への取材で分かってる。

 バスラ公爵の令嬢のアテニナさんのお尻ペンペン事件を泣く泣く記事にしなかったのに、これまで記事にするな、だなんて酷過ぎるわ。

 まあ、バスラ公爵の令嬢の醜聞なんかを記事にしたら多分、いえ、間違いなく新聞部の部員全員、殺されるから記事にしなかったんだけどね。

 部員達も記事にするのは止めてくれってあの時、泣きついてきたし。

「あの件にはもう関わりませんから、せめて活動停止だけは。この時期、春の乙女祭の有力選手の情報を記事にするのが恒例で・・・」

「3回注意して聞かなかったのですから、今年は諦めて下さい」

「そんなぁ~」

「どれだけ粘ってもダメですからね。話は以上です。風紀委員会にも既に話を通してありますので部室の使用も禁止ですからね?」

 学園長センセイが優しい笑みを浮かべながらそう言い、

「はぁ~い」

 権力に屈した私はそう渋々と返事をしたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

カジュアルセックスチェンジ

フロイライン
恋愛
一流企業に勤める吉岡智は、ふとした事からニューハーフとして生きることとなり、順風満帆だった人生が大幅に狂い出す。

ゆるふわショタ皇帝と活字嫌いな司書の王都立て直し

由汰のらん
ファンタジー
大学図書館で働く派遣社員の瀬里は、活字は嫌いだけど本の整理は好きだった。 そんな彼女が財政難に陥る異世界に派遣されてしまう。 瀬里を派遣した担保で、ショタになってしまった皇帝こと智彗は、瀬里に国の立て直しを申し出るのだった。 本好きのショタ皇帝と、本の整理好きな瀬里の奮闘物語。

花影のさくら

月神茜
ファンタジー
少女は山に捨てられた。 齢三つの時に、人の手によって。 自分たちを災害から守るための、人身御供として。 捨てられた少女は、真っ白な大蛇に育てられた。 櫻という、名前をもらって。 数年後の春の日。 山に迷い込んだ青年は、大蛇と少女に出会う。 真っ白な大蛇と、大蛇を「おじいちゃん」と呼び慕う、死に装束を身に纏ったやせぎすの少女。 春の雨に導かれ出会った二人は、【親子】に、【兄妹】に、【生きる理由】に、かけがえのない【大切な存在】になった。 やさしくて、やわらかくて、少し切ないけれど、あたたかな二人の恋物語。 ・・・・・・ テーマは【桜】。 本人たちに自覚はありませんが、周囲からすれば恵まれない環境で育った二人が、お互いを知り、想い、恋を知って、幸せになるまでを綴ったハッピーエンドのお話です。 【誰よりも幸せになる】お話ではなく、【人並みに幸せになる】お話になるように心がけています。 小説家になろう様でも同時公開中。

異世界TS転生で新たな人生「俺が聖女になるなんて聞いてないよ!」

マロエ
ファンタジー
普通のサラリーマンだった三十歳の男性が、いつも通り残業をこなし帰宅途中に、異世界に転生してしまう。 目を覚ますと、何故か森の中に立っていて、身体も何か違うことに気づく。 近くの水面で姿を確認すると、男性の姿が20代前半~10代後半の美しい女性へと変わっていた。 さらに、異世界の住人たちから「聖女」と呼ばれる存在になってしまい、大混乱。 新たな人生に期待と不安が入り混じりながら、男性は女性として、しかも聖女として異世界を歩み始める。 ※表紙、挿絵はAIで作成したイラストを使用しています。 ※R15の章には☆マークを入れてます。

世界は地球の手のひらで踊る

文月美森
恋愛
守地(かみち)ユウトと那月(なつき)アキラは、ずっと二人きりで生きてきた兄弟同然の幼なじみ。 お互いのことを考えて別々の道を歩もうとするユウトと、どうしても離れたくないアキラ。 そんな中を大地震が襲来する。 閉じ込められた二人が解放された時、地球は驚異的な変貌を遂げていた。 困難を乗り越えながら愛を育んで行く二人の姿を描く、性転換、恋愛中心のライトノベルです。 (ほんのりBL要素あり?) *** 「小説家になろう」様で完結させたものに、大幅加筆修正してあります。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

処理中です...