ギフト【ズッコケ】の軽剣士は「もうウンザリだ」と追放されるが、実はズッコケる度に幸運が舞い込むギフトだった。一方、敵意を向けた者達は秒で

竹井ゴールド

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盤石

【長官side】従兄と同じ病を患う

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 さて。

 トルオンを裏切った3人の経済幹部が誰の指示で動いたかと言えば・・・・・・

 それはドーベルの後任として宮殿の影の長官に就任した帝太后ビレリアの従弟のユイシドスの指示だった。

 人間の31歳。177センチ。金髪に青メッシュで見目も整った貴公子風の男だ。爵位は子爵。31歳まで無役むやくだった事からも分かるように優秀ではない。そもそもドーベルが死ぬまで暗部組織にはこれまで一切関わっていなかった。

 それでも宮殿の影の長官になれたのは無論、帝太后ビレリアの従弟という縁故えんこな訳だが、その男が『トルオンの資産』に眼を付け、この度、没収したというのが経緯だったのだが・・・





 ネレシオ砦のトルオンはもうエトリア帝国の重要人物だ。

 2トップとの逢瀬に関係なく、女伯爵ルーヴァケビスと強種ドラゴニュートの民達、それにアジャ公国の公女らが集っているので。

 その為、トルオンの異変はアースレナ宮殿に逐一報告が行く事になっている。

 総資産の70パーセントを分捕られたトルオンがショックの余り、3人の連名の絶縁状を部屋に置く失態を犯した為に、その情報はあっという間にアースレナ宮殿の2トップの耳にも入り、帝太后ビレリアが従弟のユイシドスを呼び出して、

「そう言えば、財閥を手に入れたとか?」

 世間話のついでに問えば、得意げに、

「もう帝太后陛下のお耳にお入りになりましたか。胡散臭い他国者が持つにはあの資産は脅威でしたので差し押さえました。いやぁ~、マヌケな奴で助かりましたよ。と言うのもですねーー」

 ペラペラと答えた所為で、その日の内にユイシドスは寝込む事となった。

 前長官のドーベルと同じ病でだ。

 いや、ドーベルの時よりも激痛が走り、ユイシドスは苦痛でのたうち回る事となった。





 ◇





 ユイシドスが倒れて寝込む子爵家では、寝室で治療を終えた治癒医を廊下で待ち、29歳の人間で、身長162センチ、ピンク髪で可愛らしい子爵夫人のロシナリアが、

「どうなのですか、主人の病状は?」

「残念ですが・・・私には何の病かも見当が付きません」

「そんな。こうなれば帝太后陛下におすがりするしか・・・」

 そう言って子爵邸から出発したが、アースレナ宮殿に向かってる最中に陸獣車が事故に遭って子爵夫人のロシナリアは事故死したのだった。





 そしてユイシドスも夫人の後を追うように3日後に病死したのだった。
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