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盤石
トルオン、都市国家を貰う
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後始末が大変だった。
生後3日の赤子のセレリュアを連れ出されたのだ。
セレシレルは産後ながら奪還の為に出陣しようとして『身体に悪いから』とどうにか宥めたが、妊娠150日を越えたセレーリュは怒って乗り込んできてるし、女だからか親衛隊達も赤子を連れていった都市国家ヒーナのドラゴニュート達には否定的だ。
セレシレル、セレーリュを慕って城塞街ネレシオに移住したドラゴニュート達もだ。
他種族もさすがに今回の行動は『あり得ない』と憤っていた。
トルオンはその日の内にセレリュアを連れて、転移魔法でさっさと城塞街ネレシオに戻って、セレシレルに娘のセレリュアを抱かせて安心させたが。
後始末の折衝は長引き、4日後にセレーリュ達は帰ってきた。
「お義兄様、お願いがあります」
「何?」
「都市国家ヒーナを貰って下さい」
「ええぇ~。嫌だけど」
「そう言わずに。お義兄様が貰って下さると万事解決するんですから」
「どう解決するの?」
「姉様も私も都市国家ヒーナの女王にならずに済みます」
「あのねぇ~」
そうトルオンは脱力しながらも、
「故郷の都市国家ヒーナを見捨てるって選択肢はないの?」
「見捨てたら、またリュアが連れ去られそうで」
「・・・分かったよ。その代わり、拠点はネレシオだからね。ヒーナの管理はミタザクにでもやらせるから」
「ありがとうございます。そのつもりでジイはヒーナに置いてきました」
「エトリア帝国への対応はどうするの?」
「まだ隣接していないので先送りにしようと思います」
などと会話したが、もちろん、これで話が終わる訳もない。
エトリア帝国に話を通さずに決めたりしたら後が大変だ。
そんな訳で、
女伯爵のルーヴァケビスの正規ルート。
ドーベルの後任として宮殿の影の長官になった帝太后ビレリアの従弟のユイシドスへのトルオンルート。
で打診したが、結局は定期的に行うエトリア帝国の2トップとの逢瀬の時にお願いする事となった。
だが、この夜の2人は機嫌斜めだった。
裸の女帝のカミピーレが、
「トルオン様の石版の所為で、監視が強化されて鬱陶しいのだけれど?」
上級影魔法には影を放っての偵察魔法があり、その事を言ってるのだ。
「確かにね。どうにかならないかしら?」
裸の帝太后ビレリアも同意する。
「それなら・・・」
と言い掛けたトルオンが口を噤んだ。
(危ねえ。【光】の石版なんかを出したら、また取られるに決まってるからな)
「影は光系の魔石で追い払えると聞きましたが?」
トルオンはすっとぼけたのだった。
その後、話題はトルオンの第1子の誘拐となった。
「生後3日の赤子を盗むなんて滅茶苦茶ね」
「王族ならあると思うわよ。ちゃんと都市国家ヒーナを平定したんでしょ、トルオン?」
「ええ。それで二度とこのような暴発が起きないように都市国家ヒーナを統治下に治めたいのですが」
トルオンが打診すると、
「エトリア帝国に服従するって事なの?」
「それは不可能でしょ? ドラゴニュートの気質を考えたら、人間なんかに服従する訳もないわ」
「? お母様、ドラゴニュートは一度テーレ連合に服従したんじゃないの?」
「あれは裏切り者が勝手に推し進めただけよ。結果、その裏切り者も殺されたわ。お陰で今は余計に考えが凝り固まってるらしいわよ、都市国家ヒーナは」
「面倒ね」
「ええ」
などと左右の親子が会話する中、トルオンが、
「とりあえずは『妻達が女王にならず、娘の連れ去りを防ぐ』という方向で」
「それでいいんじゃない? でも、最終的にはテーレは帝国が取るから都市国家ヒーナも属国国にするわよ?」
「それは当分、先よ、カミビーレ。テーレはいい具合だけど、北のモード、西のアジャがもう少し混迷してから一気に3国をまとめて摘むんだから。それまでは帝国の体制を強化しないと」
「分かってるわよ、お母様」
「そんな訳でトルオンは当分、財閥でテーレの富を干上がらせてね。まだまだ絞れるはずだから」
結局はトルオンはまたもエトリア帝国の下働きをやらされると思われたが・・・
生後3日の赤子のセレリュアを連れ出されたのだ。
セレシレルは産後ながら奪還の為に出陣しようとして『身体に悪いから』とどうにか宥めたが、妊娠150日を越えたセレーリュは怒って乗り込んできてるし、女だからか親衛隊達も赤子を連れていった都市国家ヒーナのドラゴニュート達には否定的だ。
セレシレル、セレーリュを慕って城塞街ネレシオに移住したドラゴニュート達もだ。
他種族もさすがに今回の行動は『あり得ない』と憤っていた。
トルオンはその日の内にセレリュアを連れて、転移魔法でさっさと城塞街ネレシオに戻って、セレシレルに娘のセレリュアを抱かせて安心させたが。
後始末の折衝は長引き、4日後にセレーリュ達は帰ってきた。
「お義兄様、お願いがあります」
「何?」
「都市国家ヒーナを貰って下さい」
「ええぇ~。嫌だけど」
「そう言わずに。お義兄様が貰って下さると万事解決するんですから」
「どう解決するの?」
「姉様も私も都市国家ヒーナの女王にならずに済みます」
「あのねぇ~」
そうトルオンは脱力しながらも、
「故郷の都市国家ヒーナを見捨てるって選択肢はないの?」
「見捨てたら、またリュアが連れ去られそうで」
「・・・分かったよ。その代わり、拠点はネレシオだからね。ヒーナの管理はミタザクにでもやらせるから」
「ありがとうございます。そのつもりでジイはヒーナに置いてきました」
「エトリア帝国への対応はどうするの?」
「まだ隣接していないので先送りにしようと思います」
などと会話したが、もちろん、これで話が終わる訳もない。
エトリア帝国に話を通さずに決めたりしたら後が大変だ。
そんな訳で、
女伯爵のルーヴァケビスの正規ルート。
ドーベルの後任として宮殿の影の長官になった帝太后ビレリアの従弟のユイシドスへのトルオンルート。
で打診したが、結局は定期的に行うエトリア帝国の2トップとの逢瀬の時にお願いする事となった。
だが、この夜の2人は機嫌斜めだった。
裸の女帝のカミピーレが、
「トルオン様の石版の所為で、監視が強化されて鬱陶しいのだけれど?」
上級影魔法には影を放っての偵察魔法があり、その事を言ってるのだ。
「確かにね。どうにかならないかしら?」
裸の帝太后ビレリアも同意する。
「それなら・・・」
と言い掛けたトルオンが口を噤んだ。
(危ねえ。【光】の石版なんかを出したら、また取られるに決まってるからな)
「影は光系の魔石で追い払えると聞きましたが?」
トルオンはすっとぼけたのだった。
その後、話題はトルオンの第1子の誘拐となった。
「生後3日の赤子を盗むなんて滅茶苦茶ね」
「王族ならあると思うわよ。ちゃんと都市国家ヒーナを平定したんでしょ、トルオン?」
「ええ。それで二度とこのような暴発が起きないように都市国家ヒーナを統治下に治めたいのですが」
トルオンが打診すると、
「エトリア帝国に服従するって事なの?」
「それは不可能でしょ? ドラゴニュートの気質を考えたら、人間なんかに服従する訳もないわ」
「? お母様、ドラゴニュートは一度テーレ連合に服従したんじゃないの?」
「あれは裏切り者が勝手に推し進めただけよ。結果、その裏切り者も殺されたわ。お陰で今は余計に考えが凝り固まってるらしいわよ、都市国家ヒーナは」
「面倒ね」
「ええ」
などと左右の親子が会話する中、トルオンが、
「とりあえずは『妻達が女王にならず、娘の連れ去りを防ぐ』という方向で」
「それでいいんじゃない? でも、最終的にはテーレは帝国が取るから都市国家ヒーナも属国国にするわよ?」
「それは当分、先よ、カミビーレ。テーレはいい具合だけど、北のモード、西のアジャがもう少し混迷してから一気に3国をまとめて摘むんだから。それまでは帝国の体制を強化しないと」
「分かってるわよ、お母様」
「そんな訳でトルオンは当分、財閥でテーレの富を干上がらせてね。まだまだ絞れるはずだから」
結局はトルオンはまたもエトリア帝国の下働きをやらされると思われたが・・・
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