ギフト【ズッコケ】の軽剣士は「もうウンザリだ」と追放されるが、実はズッコケる度に幸運が舞い込むギフトだった。一方、敵意を向けた者達は秒で

女勇者

トルオン、聖剣を落とす

　時に皆さんはビキニ鎧のパンツ甲冑の構造を御存知だろうか？

　布のパンツ同様に金属でパンツの形状に作られており、それに両足を通して穿はくと思っているのならそれは間違いだ。

　パンツ鎧は両横に留め具があり、前後にパカッと開いて初めて装着出来るのだ。

　つまり何が言いたいのかと言えば、留め具などトルオンのズッコケの前では児戯に等しくズッコケの際にトルオンが足で股間を蹴りあげた拍子に留め具は簡単に外れて・・・

　結論から先に言えば、１秒後には、城壁の上で仰向けに倒れた姿を消してるトルオンの顔面にノーパンになったキャリレアが跨って座っていた。

「・・・えっ？　今、声がしたよな？　ってか、この感触・・・私の下に誰か居る？　まさか、風魔法で姿を消してる？」

　座ったまま、見えないトルオンの感触を頼りにキャリレアが驚いた。

　トルオンはもう少し感触を楽しもうかと純粋に思ったが、キャリレアが握ってる剣を姿を隠した相手トルオンに突き刺そうとしたので、楽しむどころではなかった。

　トルオンはもう達人の域だ。例え、顔面にノーパン女が跨ってて視界が見えずとも【心眼】があるので、右手の人差指と中指でその刃を挟んで止めていた。

「チッ、このっ！　何だ？　剣がビクとも動かないぞっ！」

（・・・何かヤバイ。何でこんな事になってるんだ？　【ズッコケ】でこんなアホな事になったのは久しぶりだぞ）

　とトルオンは本能的に危険を察知しつつ、素早くキャリレアの下から顔を抜いて距離を取った。

　トルオンは光魔法で姿を消してるのでキャリレアからは見えないが、警戒するように身構えた。

　対するキャリレアの方はパンツ鎧を拾って穿いて留め具を嵌めて、城壁の上を注意深く見渡す。

　宙に浮かんでいた仮面はもう居ない。

　だが、代わりに城壁に剣が落ちてる事に気付いた。

　抜き身の剣だ。

「えっ？　剣？　こんなのさっきまであったか？」

　とキャリレアが拾った剣はトルオンがアースレナの屋敷に訪れたならず者（勇者キラーサー）が落としていった聖剣クリシュノアだった。

（えっ？　嘘、それって・・・・・・）

　トルオンも見覚えがあったので慌てて自分のアイテムボックスを確認する。

　だが、アイテムボックスの中に聖剣はなかった。

　先程、ズッコケた際に、宙を彷徨ったトルオンの手が無意識にアイテムボックスから聖剣を出したのが真相だったが、そんな事を知らないトルオンは、

（はぁぁっ？　ズッコケた拍子にアイテムボックスの中から抜け落ちただとぉっ？　バカなっ！　そんな事、これまで一度もなかったのにっ！　大損じゃねえかっ！）

　と内心で絶叫する中、キャリレアが拾った聖剣クリシュノアを見ながら、

「おお、何か凄いな、この剣？　もしかして、これ・・に呼ばれたのか？　さっきの仮面も私を剣に導く為に現れた？」

（んな訳あるかっ！）

　トルオンが内心でツッコミ、

（・・・どうする？　【ズッコケ】でのこの状況・・・諦めと奪還、どっちが正解だ？）

　と迷った時、ドゴォォォンッとの爆発音が街側から聞こえた。

「おっ、そこに居たのか、リッチっ！　おまえは勇者のこの私が倒すっ！」

　そう言って跳躍して跳んでいき、

（勇者？　この女が？　・・・関わりたくないな）

　トルオンはそう思い、聖剣クリシュノアの回収を諦めたのだった。





　因みに、アジャ公国軍の死霊術師のリッチは聖剣を手にした女勇者キャリレアとエアロ中央教がちゃんと討伐したのだった。