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アタリオスの石版

【将軍side】属国の都市国家で謀殺される

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 この時期、都市国家ロンリーは戦う事なくエトリア帝国への帰順を申し出た。

 理由はずばり、『アタリオスの石版』の所為だ。

 騎士ばかりか末端兵までが影系の上級魔法が使えると聞いて、『もう戦力的に抵抗は無理だ』と判断して、開戦前に属国申請をし、受理されていた。

 そして将軍モロキューが征服軍として出向いた訳だが、モロキューには宰相殺しの疑惑がある(実際に宰相を殺した黒幕は帝太后ビレリアで、殺害理由は城塞街ネレシオのドラゴニュートの徴兵だったが)。

 なので他国の駐屯中に死んでくれても何の問題ない。

 それどころか都市国家ロンリーの仕業と見せて暗殺されたりなんかしたら、因縁を付れて属国ではなく征服出来て、エトリア帝国からしたら凄く都合が良かったりした。





 そんな政治的背景があったので、将軍モロキューを歓迎するロンリー宮殿の晩餐会で、

「エトリア帝国と都市国家ロンリーの更なる発展を願って乾杯っ!」

 とワインを飲んだモロキューは直後に、

「ん? 何だ? ・・・ゲホっ!」

 と吐血した。

(馬鹿な。毒の匂いはなかったぞ。どうなってる?)

 と気付いた時にはモロキューはドタッと倒れて、

「治癒師は解毒魔法を」

「はいっ!」

「貴様らは全員動くなっ!」

「我々ではございませんっ! どうして帰順をしたエトリア帝国の将軍を毒殺せねばならないのです? 殺害するメリットは何もないのにっ!」

「大方、帰順の反対派の仕業であろうがっ!」

 とかエトリア帝国の騎士達が都市国家ロンリーの王族達に詰め寄る中、モロキューを手当てしてる治癒師が、

「【解毒】、【解毒】っ!」

 と魔法を唱えるも、まったく発動していない事にモロキューは気付いた。

「おま・・・・・・まさか」

 毒で床に倒れる中、治癒師の顔を見上げるとウィンクされた。

(エトリア帝国の差し金だと? 皇帝陛下が? いや、まだ子供だ。帝太后陛下? いや、宰相マスクロロの残党による報復か。クソ、オレじゃないのに・・・(ガク))

 こうして将軍モロキューは治療の甲斐なく死亡し、都市国家ロンリーでは帰順反対派狩りが行われる事となったのだった。
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