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敵対者

トルオン、南の最果ての蛮族の集落跡でズッコケる

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 シンレイと関係を持った日の夕方。

 トルオンはペガサスで南の最果ての火山地帯に住む原住民の村にも出向いていた。

 トルオンが関係を持った原住民の女戦士の村だった訳だが・・・・・・

 火山の岩場を掘って造られた村は廃墟になっていた。

 500人くらいが住んでいたはずだが、今は1人もいない。

 廃墟となった村の岩には大型の爪の痕がある。

 ペガサスから降りたトルオンが傷痕に触れる。

「こんなの、前に上空を通った時にはなかったよな?」

 と呟いた時、

「うおっとっ!」

 ズルッとズッコケた。

 周囲に美女が居ないのでトルオンは側頭部をゴチンッと岩場の地面に打ち付ける。

「ヌオオオッ」

 激痛の余りトルオンが地面の上でゴロゴロと転がる中、ペガサスが、

「ヒヒン」

 『やるじゃないか』といなないた。

「イタタタ・・・何が?」

 とトルオンが質問した時、集落から見える火山14個全部がドゴォォォンッと噴火した。

「はあ?」

 それにはトルオンも驚く。

 だが、それ以上に噴火中の噴火口からここまで飛来して足元に転がった噴石を見ながら、

「ヒヒン」

 『これだろ、探してたの』とペガサスに言われて、『何の事だ』と視線を向けたら、噴火で熱されてるが素人目にもアダマンタイトの原石に見えた。

「えっ? マジでアダマンタイトなのか、これって?」

「ヒヒン」

 『そこら中に降ってきてるぞ』とペガサスが教えてくれる。

 トルオンは拾おうとしたが、さすがに噴火直後で熱を帯びてて素手では無理だった。

「どうせ、誰もこんな場所までは拾いに来ないんだから、明日にでも・・・いや、あえて今、拾う」

 トルオンはそう宣言すると、アイテムボックスから前にアースレナの屋敷にやってきたならず者(勇者キラーサーの手下)が落とした良さげな斧槍や錫杖を使って器用に挟んでアイテムボックスに入れ始めたのだった。





 トルオンはこの日の夕方から夜に掛けての1時間の鉱石拾いで・・・・・・





 オリハルコンの原石、22個。

 アダマンタイトの原石、59個。

 ミスリルの原石、121個。





 を拾いまくった。





 お陰で夕食に遅れて、その上、シンレイの匂いをプンプンさせていたので妻や親衛隊達に苦言や激怒や嫌味を言われたが。





 翌日もトルオンは南の最果てへと出向いた。

 目的はもう変わっており、鉱石拾いだ。

 まだまだ落ちてた。





 トルオンの【剣圏展開】でただの噴石か鉱石混じりか判別出来るので拾い漏れはない。

 お陰で午前中の労働で······





 オリハルコンの原石、31個。

 アダマンタイトの原石、11個。

 ミスリルの原石、324個。





 トルオンは拾いに拾った。

 もうウハウハだ。

 大満足したトルオンはそのまま帰ろうとしたくらいだった。

 そこで、ふと我に返ったトルオンが、

「違う。ここへ来た目的は鉱石拾いじゃない」

 そう気付き・・・





 例の廃墟と化した蛮族の集落へと戻って調査を始めた。

 よく調査すると地面に鱗が落ちていた。

 例の魔竜の鱗だとトルオンには分かった。

(ん? もしかしなくても、オレが血を分けて貰った魔竜が傷付けられた事に激怒して暴れた? または傷を治す為の餌として原住民を襲って喰らった?)

 トルオンはそんな不吉な事を思いつつ、ペガサスで近隣を探った。

 あの原住民達は魔竜を神と崇めていた。

 火山地帯に住む甲殻類を食料としていたし、硬い殻で武器や防具も作っていた。

 村から離れる事はないはずだ。

(本当に全滅した? いや、火山の噴火の予兆を察して避難しただけかも?)

 トルオンは一応、近隣を探る事にした。





 次の集落までは徒歩で30日以上の距離だったが、ペガサスなら一瞬だ。

 姿を消したトルオンが集落を探る。

 土地が変わって魔物の種類も違うので、甲殻類を纏っていたら分かるはずだが。

(居ないか)

 とトルオンは思ったが、ペガサスは聖獣だ。頭もいい。人間を姿形ではなく魂の色か何かで見分けてるのかもしれない。なので、

「ヒヒン」

 『あれじゃないのか』と嘶いて教えてくれた。

 本当だ。居た。

 狩猟で仕留めた蜥蜴を5人くらいで担いで戻って来てる。

 装備は黄土色の甲殻類の殻から赤蜥蜴系に代わっていたが、身長183センチ、21歳の蛮族で、長い紫髪で小麦色肌。美人だが狡賢ずるがしこい眼をした女だった。

 実際にトルオンは最初の遭遇で、魔竜の洞窟に向かおうとしたところを発見され、『神聖な竜様の寝床に何の用だ?』と手持ちの毒玉を投げられてる。

 余りにムカついて剣の腹で殴って気絶させたら、蛮族の掟とかで『強い子を残す為』とかで関係を迫られ、トルオンもタガネ戦で死ぬかもしれなかったので、ゆきずりで関係を持っていた。

 未だ腹筋も見事に割れてるし、産後とは思えない。

 でも、一応確認だ。

 トルオンは【威圧】で集落に住む全員を、泡を吹かせて気絶させた後、ペガサスで地面に降りて、蛮族の女の胸を揉んで母乳が出ないか確認した。母乳は出なかった。

 トルオンはそれだけを確認すると『確認しにきて良かった』と大満足して帰っていったのだった。
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