上 下
140 / 211
帝国誕生

トルオン、陰の皇帝になりたくて帝国建国に大いに貢献するも

しおりを挟む
 トルオンのエトリア王国改めエトリア帝国への貢献は他の追随を許さない。





 ドラゴン25頭以上の納品(まあ、お金は貰ったが)によるドラゴン軍備の充実。

 その莫大な資金で運営する(ドーベル、並びにエトリア王国だが)14商会による近隣国の食糧の買占め、傭兵や冒険者の移動、他国の高官買収、他国の情報収集等々。

 魔物6000匹討伐による食糧の確保。

 ドラゴニュート500人によるバーラ平原からの防波堤。

 ネイチェ王国への開戦口実。

 ナスナ熊王国の王子2人捕縛と秘密会議の不調。





 これらの他にも誰も知らない事だが、





 女王カミビーレ。

 王太后ビレリア。





 この2人の強者育成。

 更には、





 侵攻予定国の魔物駆除による進軍の円滑化。

 ファイアス魔法王国のはぐれ魔術師ドスカルスキーのアジト前での(ゴーレムの起動力となる)魔石2800個の放置(トルオンの私財。魔石1個でも大金なのにグッと堪えて)。





 と王太后ビレリアの指揮の許、色々と暗躍していた。

 他にも、





 (女王カミビーレの婚約者選出問題で)女王カミビーレと王太后ビレリアの全面戦争の回避と和解。





 などにも貢献している。





 無論それだけではない。

 無自覚が売りのトルオンだ。

 無自覚なだけでやらかしまくっており、





 仮面の騎士レーゼで活動した際にレーゼ王国内の狩猟場で上位ランクの魔物を狩りまくった事が今頃、尾を引いて、冒険者が他国に多数流出&上位ランクの魔物の餌になっていたコカトリスが大量繁殖してのスタンピートが発生し、アジャ公国にドラゴン素材装備の兵士達が出払ってた不運が重なってのレーゼ王国の本国が崩壊。

 王太后ビレリアの強者育成の為に転移魔法で夜間に狩り場に出向き、遠斬り攻撃の際のズッコケによる土砂崩れによる都市国家ゴジンの自慢の3重の城壁崩壊。

 女王カミビーレの強者育成の為に転移魔法で夜間に狩り場に出向いたら、出たその場にいたならず者風のサカレカ虎王国の虎王タラン以下親衛隊のお忍び夜間狩猟を【威圧】で気絶させ、そのまま放置した事による魔物討伐失敗の不名誉戦死&次期虎王争いの内乱誘発。





 もうエトリア帝国に散々大貢献していた。





 ◇





 その夜、トルオンはエトリア帝国のアースレナ宮殿の離宮にきていた。

 妻3人にも内緒の外部の恋人達と逢瀬を重ねる為である。

 その相手とは・・・・・・・

 情事を終えて満足した裸の女帝カミビーレが、

「トルオン様、結婚して。エトリア帝国の皇帝をプレゼントするから」

「もうオレは3人と結婚してるって。後、『陰の皇帝』ならカッコイイから興味があるけど、正式な皇帝なんていらないよ。面倒臭い」

 そうトルオンが断ると、情事に満足した遅老薬服用で20代後半の若い裸の帝太后ビレリアが、

「そうよ、トルオンはわたくしと結婚するのよね?」

「しませんってば」

 トルオンはちゃんと真面目に答えたのだった。

 そうなのだ。

 トルオンの逢瀬の相手はエトリア帝国のトップ2の女帝カミビーレと帝太后ビレリアだった。

 トルオンは男の夢を持ち、人魚やお姫様との恋愛を夢見る青少年だったが『さすがに手を出したら面倒臭い事になるからダメだ』とトルオン自身はグッと自制したのだが、『お飾りのフリをした生まれながらの王侯』と『冷徹の外面で中身は乙女』のエトリア帝国(関係は王国時代だったが)のトップ2に押しに押されて・・・・・・・

 トルオン自身も英雄伝承に出てくる『お姫様との大恋愛』に憧れてた事からチラッと『まっ、いいかも』なんて思考がよぎって意志が揺らいでしまい、その隙を突かれて大人の関係になっていた。

 当初は王太后ビレリアとだけだったが、途中から女王カミビーレとも付き合いだしてトルオンを巡って修羅場となり、本当に色々あって、帝国トップ2の意思統一や時間の無駄等々の理由から、トルオンがカミビーレ、ビレリア親子を同時にねやで愛するというインモラル過ぎる情事が日常化していたのだった。

 その逢引現場がアースレナ宮殿の離宮のベッドのある部屋だ、いう訳だ。

 移動はトルオンの転移魔法だったが。

 英雄譚に出てくる『お姫様との大恋愛』を夢見、憧れていたトルオンにとって、この2人との関係は当初トルオンが思い描いていた恋愛とは程遠く・・・・・・

 情事後の語らいも、恋人達のピロートークとは思えぬエトリア帝国の最高機密のオンパレードで、

「そうだわ。王家の影の長官だった叔父上の後任にお母様の従弟を添えるから、その補佐にトルオン様の妻のダークエルフ、 エーヴァケビス女伯爵を貸して。宮廷魔術師にはアジャ公国のハーフエルフの公女ベリラベートを。私達の関係は隠して上手く言っておいてね」

「旧ナスナ熊王族の頼みで都市国家ゴジンの侵攻が決まったから、近辺の魔物の掃討もお願いね。この前みたいな土砂災害はダメだからね。城壁復旧に手間取るから。それと魔術師ドスカルスキーのゴーレム技術を軍事転用する事にしたからゴーレムを作る為の魔石集めも同時にお願いね」

「ちょっと何を勝手に」

 トルオンが苦情を言うが、

「あら、私、トルオン様の『身重の妻を狙った叔父上を始末してくれ』って頼み事を聞いたわよね?」

「全然違う。『黒幕を始末する許可が欲しい』って言っただけで、まさかドーベル殿が黒幕だったとは・・・」

「ドラゴニュート2300人の滞在を認めたでしょ、やりなさい、トルオン。城塞街ギバンもあげたんだから」

「そんなぁ~」

「そうだわ。サカレカ虎王国の虎王後継争いにも介入するから」

「ナスナ領の東隣国の都市国家ロンリーの平定が先でしょ」

「大臣のベデストは殺すから近付いちゃダメよ」

「伯爵のハリケスと子爵のハマーズも処罰するから会っちゃダメよ」

 トルオンはこの後も延々とエトリア帝国の領土拡大計画や極秘情報を聞かされて、

(『陰の皇帝』になりたくて結構裏で頑張ったけど全然思ってたのと違う。どう考えても元が取れてないぞ、この状況? 大損だ。完全にしくじってるっ!)

 内心で絶叫する破目になったのだった。





 この2人との関係によって、トルオンの中で『お姫様と英雄伝承のような大恋愛をする』という憧れが消えたのは言うまでもない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

クラス転移でハズレ職を押し付けられた『ガチャテイマー』、実は異世界最強 〜俺だけ同じ魔物を合成して超進化できる〜

蒼月浩二
ファンタジー
突然高校のクラス丸ごと異世界に召喚され、一人に一つ職業が与えられた。クラス会議の結果、旭川和也はハズレ職である『ガチャテイマー』を押し付けられてしまう。 当初は皆で協力して困難を乗り越えようとしていたクラスだったが、厳しい現実を目の当たりにすると、最弱の和也は裏切られ、捨てられてしまう。 しかし、実は最弱と思われていた『ガチャテイマー』は使役する魔物を《限界突破》することで際限なく強化することのできる最強職だった! 和也は、最強職を駆使して無限に強くなり、いずれ異世界最強に至る。 カクヨム・なろうで クラス転移でハズレ職を押し付けられた『ガチャテイマー』、《限界突破》で異世界最強 〜★1魔物しか召喚できない無能だと思われていたが、実は俺だけ同じ魔物を合成して超進化できる〜 というタイトルで連載しているものです

あなたの冒険者資格は失効しました〜最強パーティが最下級から成り上がるお話

此寺 美津己
ファンタジー
祖国が田舎だってわかってた。 電車もねえ、駅もねえ、騎士さま馬でぐーるぐる。 信号ねえ、あるわけねえ、おらの国には電気がねえ。 そうだ。西へ行こう。 西域の大国、別名冒険者の国ランゴバルドへ、ぼくらはやってきた。迷宮内で知り合った仲間は強者ぞろい。 ここで、ぼくらは名をあげる! ランゴバルドを皮切りに世界中を冒険してまわるんだ。 と、思ってた時期がぼくにもありました…

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

【物真似(モノマネ)】の力を嫉妬され仲間を外された俺が一人旅を始めたら……頼られるし、可愛い女の子たちとも仲良くなれて前より幸せなんですが?

シトラス=ライス
ファンタジー
銀髪の冒険者アルビスの持つ「物真似士(ものまねし)」という能力はとても優秀な能力だ。直前に他人が発動させた行動や技をそっくりそのまま真似て放つことができる……しかし先行して行動することが出来ず、誰かの後追いばかりになってしまうのが唯一の欠点だった。それでも優秀な能力であることは変わりがない。そんな能力を持つアルビスへリーダーで同郷出身のノワルは、パーティーからの離脱を宣告してくる。ノワル達は後追い行動ばかりで、更に自然とではあるが、トドメなどの美味しいところを全て持っていってしまうアルビスに不満を抱いていたからだった。 半ば強引にパーティーから外されてしまったアルビス。一人にされこの先どうしようとか途方に暮れる。 しかし自分の授かった能力を、世のため人のために使いたいという意志が変わることは無かったのだ。 こうして彼は広大なる大陸へ新たな一歩を踏み出してゆく――アルビス、16歳の決断だった。 それから2年後……東の山の都で、“なんでもできる凄い奴”と皆に引っ張りだこな、冒険者アルビスの姿があった。

救助者ギルドから追放された俺は、ハズレだと思われていたスキル【思念収集】でやり返す

名無し
ファンタジー
 アセンドラの都で暮らす少年テッドは救助者ギルドに在籍しており、【思念収集】というスキルによって、ダンジョンで亡くなった冒険者の最期の思いを遺族に伝える仕事をしていた。  だが、ある日思わぬ冤罪をかけられ、幼馴染で親友だったはずのギルド長ライルによって除名を言い渡された挙句、最凶最悪と言われる異次元の監獄へと送り込まれてしまう。  それでも、幼馴染の少女シェリアとの面会をきっかけに、ハズレ認定されていた【思念収集】のスキルが本領を発揮する。喧嘩で最も強い者がここから出られることを知ったテッドは、最強の囚人王を目指すとともに、自分を陥れた者たちへの復讐を誓うのであった……。

白雪姫症候群-スノーホワイト・シンドロームー

しらす丼
ファンタジー
20年ほど前。この世界に『白雪姫症候群-スノーホワイト・シンドロームー』という能力が出現した。 その能力は様々だったが、能力を宿すことができるのは、思春期の少年少女のみ。 そしてのちにその力は、当たり前のように世界に存在することとなる。 —―しかし当たり前になったその力は、世界の至る場所で事件や事故を引き起こしていった。 ある時には、大切な家族を傷つけ、またある時には、大事なものを失う…。 事件の度に、傷つく人間が数多く存在していたことが報告された。 そんな人々を救うために、能力者を管理する施設が誕生することとなった。 これは、この施設を中心に送る、一人の男性教師・三谷暁と能力に人生を狂わされた子供たちとの成長と絆を描いた青春物語である。

処理中です...