ギフト【ズッコケ】の軽剣士は「もうウンザリだ」と追放されるが、実はズッコケる度に幸運が舞い込むギフトだった。一方、敵意を向けた者達は秒で

安全地帯

【将軍side】王国が滅亡する

　ネイチェ王国の王都ケンタセカンは開戦から20日でエトリア王国軍の手によって陥落した。

　エトリア王国軍が強かったのはドラゴン素材の武具だけではない。





　明らかにこの侵攻は下準備がされており・・・・・・





　緻密な進軍経路。

　ネイチェ王国内での諜略ちょうりゃく。

　開戦５日前のグリフォンの不正転売を行ったネイチェ王国の将軍の罷免。

　食糧の事前買占め。

　鍛冶職人の引き抜き。





　等々が行われていた。

　お陰で蓋を開けてみれば、勝負にならず、あっという間に敗北していた。





　新女王カミビーレは17歳の小娘だ。

　侵攻作戦を考えたのは別の重臣だろう。





　そしてエトリア王国軍が王都ケンタセカンを包囲すれば罷免した将軍の支持派が内通して内通して勝負ならず簡単に陥落した。





　滅亡国の王族を生かすような勝利国は居ない。

　圧倒的な差があり、稀に驕り高ぶって器を見せる為か助命したりする場合があるが、そんな国家に限ってその生かした王族に滅亡させられる運命が待っている。

　よってネイチェ王国の王族は国王、王妃、王子以下全員が処刑場の露と消えた。

　その処刑には高官も含まれる。

　宰相、大臣、将軍、騎士団長。

　それらも一族郎党処刑される訳だが・・・・・・・





　その処刑場へと引かれる前の牢屋の中で、

「どうしてエトリア王国の砦に毒など混入しようとしたのだ？　その結果がネイチェ王国の滅亡なのだぞっ！　なんて事をしてくれたんだっ！」

　と人間の宰相に詰め寄られたのは虎人族の将軍ブロッケーズだった。

　54歳で身長２６８センチ。白髪白耳白尻尾の紛れもないタガナを始祖に持つ虎人族の末裔だった。

「オレじゃねぇよ」

　との言葉に嘘はない。

　あれはエトリア王国の開戦口実の為の捏造なのだから。

「嘘を言え」

　だが、信じて貰えなかった。

　ブロッケーズ将軍がエトリア王国侵攻を馬鹿みたいに口にしていたから。

　こうしてブロッケーズ将軍が亡国の悪名を着せられる事となり、その後、処刑場で処刑されたのだった。