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安全地帯
【代官side】口封じで殺される
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ヨルデの森の中にある城塞街ギバンの代官、43歳の人間、身長193センチの巨漢の騎士上がりのモルオスカルは新聞を見て青ざめていた。
新聞ではエトリア王国軍のネイチェ王国領への侵攻の戦果を大々的に報じている。
進軍への経緯はエトリア王国が保有する某(名は伏せられてる)砦の水路に毒を混入しようとした者を捕縛したら、ネイチェ王国の工作員だと判明したからだった。
その某砦がヨルデの森の外側にあるお隣のネレシオ砦の事だという事はモルオスカルも騎士団からのつてで情報を入手している。
問題は・・・
毒を投げ入れるよう命令した黒幕がネイチェ王国ではなく、ヨルデの森の魔物を狩り尽くし、ネレシオ砦によって、ギバンの収益と食糧に大打撃を与えられたギバンの代官モルオスカルだという事だった。
そうなのだ。
この戦争はモルオスカルの所為で始まっていた。
なので、青ざめていたのだ。
「何で、こんな事に・・・」
もう開戦12日目、戦場では両軍の死者が出てる。
毒混入を命じたが、元騎士だけあり、心根はそこまで腐ってはいない。
『敵味方関係なくこの戦争で死んだ1万人以上を殺したのは自分なのだ』という罪悪感で押し潰されそうだった。
既に騎士団の知り合い数人には事情を説明した書類を送っている。
なのに、戦争が始まってしまい、この始末だ。
不意に部屋のドアがノックなしでガチャッと開かれた。
「誰だ?」
と問うたが、どう見てもエトリア王国の騎士達だった。
「何か用か?」
「ギバン代官モルオスカル、おまえをネイチェ王国への内通罪で逮捕するっ!」
「はあ? 何の事だ?」
「黙れっ! ネイチェ王国の工作員が行った砦の毒混入を『自分がやった』とする偽書をばら撒いて混乱させようとした証拠は既に抑えてあるっ! おまえを王都アースレナに送還する。抵抗はするなよ」
「なっ、あれは本当に・・・」
モルオスカルが抗弁しようとすると、騎士の1人が、
「黙れ。騎士団長が話があると言ってるのだから」
そう言って眼で合図した。
騎士団長と話せると知ったモスオスカルは、
「分かりました。従います」
罪人としてグリフォンに乗せられて運行された訳だが・・・
王都アースレナまでの連行中の上空で、
「ここらでいいだろう」
モスオスカルの背後に座る騎士が呟いた。
モスオスカルは罪人なので鎖で巻かれ、グリフォンは縦列の3人掛けだ。
当然、前から2番目の席に罪人のモスオスカルが座らされて前後を挟む形で騎士が座ってる訳だが、その背後からの言葉と共に、身体は右側に押し出された。
空を飛ぶグリフォンの外側にだ。
「ひっ、ひゃああああああああああ」
グリフォンの右翼に当たったがそこで止まらず、モスオスカルは真っ逆さまに地面に向かって墜落する。
墜落する中、『そうか、口封じで殺される訳か』と理解しながら地面に激突してモルオスカルは死亡したのだった。
この転落死は、
ネイチェ王国のスパイ、ギバン代官モスオスカル、護送中に逃亡を図ってグリフォンから転落死。
新聞に小さくそう報じられただけだった。
新聞ではエトリア王国軍のネイチェ王国領への侵攻の戦果を大々的に報じている。
進軍への経緯はエトリア王国が保有する某(名は伏せられてる)砦の水路に毒を混入しようとした者を捕縛したら、ネイチェ王国の工作員だと判明したからだった。
その某砦がヨルデの森の外側にあるお隣のネレシオ砦の事だという事はモルオスカルも騎士団からのつてで情報を入手している。
問題は・・・
毒を投げ入れるよう命令した黒幕がネイチェ王国ではなく、ヨルデの森の魔物を狩り尽くし、ネレシオ砦によって、ギバンの収益と食糧に大打撃を与えられたギバンの代官モルオスカルだという事だった。
そうなのだ。
この戦争はモルオスカルの所為で始まっていた。
なので、青ざめていたのだ。
「何で、こんな事に・・・」
もう開戦12日目、戦場では両軍の死者が出てる。
毒混入を命じたが、元騎士だけあり、心根はそこまで腐ってはいない。
『敵味方関係なくこの戦争で死んだ1万人以上を殺したのは自分なのだ』という罪悪感で押し潰されそうだった。
既に騎士団の知り合い数人には事情を説明した書類を送っている。
なのに、戦争が始まってしまい、この始末だ。
不意に部屋のドアがノックなしでガチャッと開かれた。
「誰だ?」
と問うたが、どう見てもエトリア王国の騎士達だった。
「何か用か?」
「ギバン代官モルオスカル、おまえをネイチェ王国への内通罪で逮捕するっ!」
「はあ? 何の事だ?」
「黙れっ! ネイチェ王国の工作員が行った砦の毒混入を『自分がやった』とする偽書をばら撒いて混乱させようとした証拠は既に抑えてあるっ! おまえを王都アースレナに送還する。抵抗はするなよ」
「なっ、あれは本当に・・・」
モルオスカルが抗弁しようとすると、騎士の1人が、
「黙れ。騎士団長が話があると言ってるのだから」
そう言って眼で合図した。
騎士団長と話せると知ったモスオスカルは、
「分かりました。従います」
罪人としてグリフォンに乗せられて運行された訳だが・・・
王都アースレナまでの連行中の上空で、
「ここらでいいだろう」
モスオスカルの背後に座る騎士が呟いた。
モスオスカルは罪人なので鎖で巻かれ、グリフォンは縦列の3人掛けだ。
当然、前から2番目の席に罪人のモスオスカルが座らされて前後を挟む形で騎士が座ってる訳だが、その背後からの言葉と共に、身体は右側に押し出された。
空を飛ぶグリフォンの外側にだ。
「ひっ、ひゃああああああああああ」
グリフォンの右翼に当たったがそこで止まらず、モスオスカルは真っ逆さまに地面に向かって墜落する。
墜落する中、『そうか、口封じで殺される訳か』と理解しながら地面に激突してモルオスカルは死亡したのだった。
この転落死は、
ネイチェ王国のスパイ、ギバン代官モスオスカル、護送中に逃亡を図ってグリフォンから転落死。
新聞に小さくそう報じられただけだった。
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