ギフト【ズッコケ】の軽剣士は「もうウンザリだ」と追放されるが、実はズッコケる度に幸運が舞い込むギフトだった。一方、敵意を向けた者達は秒で

竹井ゴールド

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三光妃

トルオン、魔石回収中にズッコケる

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 この世界のオークの肉は人は喰えない。魔物ならオークの肉を喰えるが。

 牙は武器の素材になるが、まあ、たかが知れてる。

 その為、上位のランク者なら討伐証明に部位の一部を持ち帰る他は野晒しが基本だ。

 だが、オークの上位種には魔石持ちが居り、トルオン程の実力者ともなれば魔石持ちのオークなど見ただけで分かった。

 その為、魔石を的確に回収していく。

 金はもう充分持ってるが、それでも運良く通り掛かった他人にくれてやるのは馬鹿らしかったので魔石8個を回収してた訳だが・・・

 途中でズルッとズッコケた。

「うおっと」

「大丈夫ですか、トルオン様?」

「ああ、血で滑ったみたいだ」

 と答えながらトルオンは、

(何もないところでズッコケるの、いい加減、どうにかして欲しいよな。ってか、今、何も良い事が起きなかったぞ? 素でズッコケたのか? いや、素材回収の時にズッコケると決まっていい素材が・・・)

 そう思いながら魔石の回収を続け、

「うん?」

 最後に黄金色の魔石を引き当てた。

「得しましたね、お義兄様。オークが黄金魔石を持ってるなんて」

 セレーリュが黄金魔石を見ながら、そう評した。

 因みに、妻になってもセレーリュのトルオンの呼び方は『お義兄様』のままだった。

 これがまた(理由は分からないが)妙に男心をくすぐる訳なのだが。

「高いんだっけ?」

「はい。城が建つはずです」

 王族なので魔石に詳しいセレーリュが答え、

「へぇ~」

(ズッコケただけの事はある。いい事があったな)

 と思った時、トルオンはハッと上空を見上げた。

 釣られて3人も上空を見上げる。

 空に点のような物が見え、2分後にはその点が地上に舞い降りてきた。

 全長20メートル級。翼を広げた幅は50メートル級。

 真っ赤な羽を持つ巨大鴉だ。

 つまりは巨大鴉の変異種。

 それが飛来してきた理由は1つだけだ。

 バーラ平原に横たわるオークの死骸。それを食べにきたのだ。

 よって、トルオンは、

「来い、我が剣よ」

 聖剣ポロロカリバーを召喚して、遠斬りの一刀で瞬殺したのだった。

 巨大鴉はランク【SS】で素材の宝庫なので速攻でトルオンはアイテムボックスの中に入れたのだった。





 その後もトルオンはバーラ平原で魔物相手に無双を続け、

「あのトルオン様」

「本当に強くなってるな、これ」

「でも、いいんですか、こんな方法で強くなって?」

 ズルをして本当に強くなったルーヴァ、セレシンル、セレーリュは少し気が引けたのだった。
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