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ペガサス騎士トルオン

【密偵side】テーレ連合派遣部隊、全滅する

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 レーゼ王国には謎の男が居る。

 仮面の剣士レーゼだ。

 正体不明。

 仮面をしててギフト【鑑定】もマジックアイテムで撥ね退ける。

 正体不明の何が問題なのかと言えば・・・・・・

 仮面の剣士レーゼにドラゴンを倒せる実力があるところが問題だった。

 そんな強者が正体不明では、もしレーゼ王国に剣を向けるような事能になったら洒落にならなくなる。

 せめて正体くらいは掴んでおかなければ。

 そんな訳で、レーゼ王国の諜報部は仮面の剣士レーゼの正体を躍起になって探っていた訳だが、ここにきて有力な情報を掴んだ。

 レーゼ王国の東隣国のアジャ公国の更に東隣国のテーレ連合の首都ソルンで、レーゼ王国印の白金塊が大量に出回ったのだ。

 レーゼ王国の白金塊が他国で使われる事はままあるが、5000個を超えれば話は別だ。

 そんな事は滅多に無いし、何より使用者は大抵、商会か貴族だ。

 なのに、今回はどうも個人らしい。

 隣国アジャ公国までなら諜報員も派遣してるが、更にもう1国隣国までは諜報員など派遣していない。

 よってその使用者の情報を集める為にテーレ連合の首都ソルンへ、レーゼ王国の諜報部隊10名が派遣された。

 この大部隊の編成は仮面の剣士レーゼの正体に迫る可能性も考慮されての事だった。





 さて、その時系列を整理すると・・・・・・





 トルオンが奴隷を購入したのを1日目として。

 翌日からは奴隷王女セレシレル、セレーリュ姉妹の譲渡の書簡が届き始める。

 トルオンのペガサス契約が8日目。つまりはこの日にアイスシア議員も屋敷を来訪。

 そしてトルオンが乗れる雲から墜落するのがペガサス契約から6日後の14日目。

 この日にソルンの屋敷をトルオンは捨てている。





 一方、レーゼ王国がテーレ連合の首都ソルンで白金塊5000個の使用を知るのはトルオンが奴隷を購入してから3日後だった。

 だが、その時、知ったのは末端で、上層部にその情報の書類が辿り着くのは宮殿内を書類が泳ぎ切った3日後だった。

 それから隣国に派遣が決まるのは早く、翌日には決まった。

 ここで問題となったのが派遣人数と費用だ。

 レーゼ王国から東隣国のアジャ公国の東国境(テーレ連合そば)まではレーゼ王国所属のグリフォンでの輸送が可能だったのでそこまでは1日で到着したが、そこからは陸獣が引く乗合客車での移動となった。

 レーゼ王国所属のグリフォンがテーレ連合内と飛行出来ず、民間のグリフォンの輸送には大金が必要だったからだ。

 その為、テーレ連合の首都ソルンに到着したのは更に10日後。





 トルオンがソルンの屋敷を捨てた2日後だった。





 トルオン逃亡の2日後に首都ソルンで、それとなくとは言え、聞き込みを始めたのだ。

 レーゼ王国の白金塊5000個を使った男の事を。

 トルオン逃亡の際に、気絶させられて恥を掻かされてからまだ2日目で、トルオンの事を血走った眼で駆けずり回って探してる騎士団が居るのに、だ。ベートーニ議員の処刑もこの日なのに。

 お陰でテーレ連合の騎士団とかち合った。

 無尽蔵に人員が繰り出せるテーレ連合の騎士団と、テーレ連合領内に派遣されたレーゼ王国の派遣部隊10人。

 そして場所はテーレ連合の首都ソルンだ。

 勝負にならず、5人が斬殺されて、5人が捕縛されて騎士団の取調室で拷問を受けた。

 レーゼ王国が持つ仮面の剣士レーゼの情報を総て吐き出された。

 その際の拷問で死んだのが2人。

 他国の諜報員が釈放される訳もなく、残る3人も適当な罪名を付けられて縛り首になったのだった。
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