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ペガサス騎士トルオン

【議員side】秒で処刑される

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 テーレ連合の首都ソルンには宮殿は存在しない。

 王制ではないからだ。

 その為、各国の来賓の宿泊施設は自ずと迎賓館となる訳だが・・・

 首都ソルンには名物がある。

 迎賓館からも見えるタワーホテルだ。

 何せ、地上20階建て。

 テーレ連合の最新建築技術と多数の奴隷の血と汗と涙で出来た最高傑作なのだから。

 稀に迎賓館に泊まった来賓が『あのタワーホテルに泊まってみたい』とわがままを言う事がある。

 その願いを叶えるのも饗応係の仕事な訳だが・・・





 そのタワーホテルで大問題が発生した。

 テーレ連合によるドラゴニュート族の都市国家ヒーナ併合に伴い、国境の最終締結に来ていた北隣国のモード獣王国の第2王女イーグフィアがホテル内で暴漢に襲われたのだから。

 王女の証言からすぐに暴漢の正体は判明した。

 トルオンだ。

 本人は無名だと信じて疑わないが、もうテーレ連合の首都ソルンでは有名な男だった。

 何せ、都市国家ビーナの奴隷王女2人を購入した正体不明の富豪なのだから。

 テーレ連合の諜報機関が全力でトルオンを探ってるくらいだ。

 現在のトルオンの素性の最有力説はその潤沢過ぎる白金塊の資金力から・・・





 レーゼ王国王家の落胤。





 であったが、北隣国のイーグフィア王女を襲った犯人ならば仕方がない。

 元老院8席の1人で、武闘派のベートーニ議員が元老院の採決を待たずに独断で騎士団を動かした。

 結果は騎士団500人が泡を吹いて失神し、トルオンを取り逃がす大失態。

 トルオンと一緒に都市国家ヒーナの奴隷王女2人も消えた。

 屋敷内には切断された特製の奴隷の首輪が残るのみだ。





 このトルオンを取り逃がした責任を誰が取るのか?





 当然、独断で騎士団を動かしたベートーニ議員である。

 テーレ連合の元老院の8人の議員は仲が悪いどころか、足の引っ張り合いが凄い。

 この絶好のチャンスを逃がすような無能者やお人好しは元老院には居らず、トルオン逃亡の2日後には責任を追及されたベートーニ議員は議員資格を剥奪の上、首都ソルンの処刑場にて断頭台による公開処刑となり、





「ぐぁぁぁぁぁっ!」





 50代の巨漢の虎人族のベートーニ議員の首が落ちたのだった。
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