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仮面の剣士レーゼ

【国王side】秒で異形の生物に襲われ全滅する

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 ルーヴァケビスがトルオンの許を訪れた13日後。

 バーラ平原にあるダークエルフの部族は異形な生物の襲撃を受けていた。

 ダークエルフの部族は平原で文化水準の高い城塞都市デルピエナで生活していた。

 そのダークエルフの本拠地である城塞都市デルピエナは古代のダークエルフによる迷路魔法が今尚、展開されていて外部の者は辿り着けない事で有名だった。

 その為、『集落』や『部族』、『族長』との表現で外部の者に偽装する事も日常化していた。

 そんな中、魔王軍四天王の一人、ダースデニーが城塞都市デルピエナに到着出来るダークドラゴンを放ち、傘下になる事をいようとして、先日、ダークドラゴンはリリエの依頼を受けたトルオンによって討伐されたのだが・・・

 その13日後、城塞都市デルピエナは迷路魔法を突破した異形の生物の襲撃を受けて壊滅の憂き目に遭っていた。

 異形の生物は全長7メートル級の真っ黒で血管が脈打つ球体に蛙の手足が付いた形状だった。

 この異形の生物が城塞都市デルビエナの族長の孫娘であるリリエーシリー・リムレニーがダークドラゴンの呪いを受け、変形に変形を重ねたなれの果ての姿だと知る者はいない。

 肉体がリリエだった為、帰巣本能が働いて城塞都市デルピエアに帰ってき、更には迷路魔法を突破したのだが、そんな事実を知る由もないダークエルフの兵士達は迎え撃ち、そして敗北していた。

 正確には球体には凶悪な口があり、ダークエルフを喰らったのだが。

 城塞都市デルピエナの人口規模は5000人。

 ダークエルフの集落としては巨大な規模だ。

 ダークエルフは長寿で魔力も高いのだから。

 だが、異形の生物は攻撃魔法を完全に無効化どころか、吸収して自分の魔力へと変換していた。

「クソォ~、何なんだ、アヤツはっ!」

 最前線で戦う城塞都市デルピエナの王でリリエの祖父のドスケルド・リムレニーが呻いた。

 ドスケルドは2000歳だが20代の外見年齢を誇った。

 それはダークエルフの更に上位種のハイダークエルフだからだが。

 それでもこんな異形の生物は今まで見た事がなかった。

「リリエにダークドラゴンの呪いを被せたあの男との連絡は? リリエに呪いをなすり付けた礼に毒殺する前にアレと戦わせてやれ」

「それが派遣した末端の戦士が連絡を断っておりまして」

「クソ、ダークドラゴンは退治したがリリエを失って・・・最近はロクな事がないっ!」

 忌々しそうにドスケルドは吐き捨てた。

 そうなのだ。

 ダークエルフの国王であるドスケルドは孫娘のリリエがダークドラゴンに呪われた事を知っており、トルオンに礼と称して(何も知らない)末端の女戦士をねやへと送り込んでいたのだ。

 その後、トルオンが油断しきったところで女戦士に毒殺命令を伝えてトルオンを殺す予定だったのだが。

 それよりも早くに異形の生物の襲撃を受けていた。

 この事態はダークドラゴンの呪いを受けたリリエを早々に見切って、3日間で監視を中断させたからでもあったのだが。

「魔王軍めぇぇぇっ!」

 ダークエルフ達は異形の生物の襲来を『魔王軍の仕業だ』と信じて疑わず(ダースデニーの作戦通りなので間違ってはいないが)、城塞都市デルピエナを守る為に戦い、そして破れたのだった。





 城塞都市デルピエナから落ち伸びた女子供100人程は生き残る事となるのだが、残りは総て異形の生物によって喰われたのだった。





 その後、城塞都市デルピエナにはリリエのなれの果ての異形の生物が住み着き、古代ダークエルフの迷路魔法が永続的に発動してる為、誰も都市に近付けない事から、討伐される事もなく1000年以上その地で君臨する事になるのだった。
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