ギフト【ズッコケ】の軽剣士は「もうウンザリだ」と追放されるが、実はズッコケる度に幸運が舞い込むギフトだった。一方、敵意を向けた者達は秒で

仮面の剣士レーゼ

仮面の剣士レーゼ、魔族を退治する

　30秒後に仮面の剣士レーゼとダークエルフの女の前にソイツは現れた。

　着地せず空でバサ、バサッと翼を動かして停止してる。

　どう好意的に見ても魔族の男だった。

「これはこれは、麗しのリリエーシリー様。このようなところで奇遇ですな」

「何の用なの、ダースデニー？」

　不機嫌そうにダークエルフの女が質問した。

「いえね。近くを通ったので御挨拶に」

「あっそ」

　２人が会話する中、レーゼは『帰るチャンスだ』とは思わなかった。

　魔族は神族と敵対してる。

　見逃して創造の女神リュアラビーテの不興を買うのは拙い。

　倒さなければならない。

　それに・・・自分の力が魔族に通用するのか興味もあった。

　なので、

「おい、おまえ。いい魔族か、それとも悪い魔族か？」

　一応聞いてみた。

「はい？　私は矮小な人間に声を掛けられるほど落ちぶれては･･････」

「来い、我が剣よ」

　と聖剣を召喚した仮面の剣士レーゼは、シャキンッと剣を抜き、

「へっ？　その剣は・・・」

　【瞬動】と【空中疾走】のコンボで、一瞬で魔族の眼前に移動して64回斬りをしてから、

「創造の女神リュアラビーテ様の慈愛の分からぬ愚か者に生と死の選定を・・・慈悲深い創造の女神リュアラビーテ様すら許されぬほどの罪人つみびとだったようだな。ならば、死ねっ！」

　と決めゼリフを決めポーズと共に決めた時、

「ギャアアアア」

　全身を切り刻まれて、ついでに魔族の核コアを砕かれ、その魔族の男は塩になって絶命していた。

「ふん、雑魚め」

「えっ。魔王軍四天王の一人、ダースデニーを一瞬で」

　地上でダークエルフの女が驚く中、【空中停止】で宙で立ってる仮面の剣士レーゼは、

「またな、我が剣よ」

　と鞘に収めた聖剣を光に変えて片付けると、レッドドラゴンの所有権を有耶無耶にしたまま転移魔法で帰っていき、

「あっ・・・待ってっ！　そんなに強いならお願いが・・・」

　ダークエルフの女がそう言った時には仮面の剣士レーゼは転移して二度と姿を見せる事はなかった。