ギフト【ズッコケ】の軽剣士は「もうウンザリだ」と追放されるが、実はズッコケる度に幸運が舞い込むギフトだった。一方、敵意を向けた者達は秒で

創造の女神リュアラビーテ

トルオン、冒険者ギルドで決めゼリフを初披露する

　トルオンはボスの街の冒険者ギルドに出向き、受付嬢に、

「アンドロとコンビを解散したから手続きをよろしく」

「それでアンドロさんは？」

「ああ、目的の遺跡を発見して、喜んで新天地に飛んでいったよ」

「そうですか。別の後衛の斡旋を希望されますか？」

「いや治癒魔法を習得したからソロでやってみるよ」

　トルオンはそう笑い、受付カウンターから依頼書が張られた掲示板へと移動した。





　掲示板の前で次の討伐依頼を探す。

　冒険者のランクはＣなのでランクＣで金になりそうなのを見る。

　因みにトルオンは聖剣は持っていない。

　神代光魔法で光に変えてるから。

　なので、普通の安物の剣を装備していた。

　すると、

「おい、おまえ」

　と冒険者が声を掛けてきた。

「？」

　と視線を向けると２３０センチの巨漢でスキヘッドで上半身裸のマッチョだった。

「何、ガンを飛ばしてやがるんだ？　生意気だな」

　とバカみたいな因縁を付けたこの男は実は宰相バルガン配下の精鋭の１人である。

　ボスの街に派遣され、直後に宰相バルガンが暗殺されたのだ。

　その原因がトルオンにあると考えてトルオンが現れるのを待っていたのだ。

　30日以上も馬鹿みたいに。

　その為、フラストレーションが溜まりに溜まっており、

「死になっ！」

　いきなり殴りかかってきた。

　対するトルオンはカッコイイ決めゼリフを考案していたので、

「創造の女神リュアラビーテ様の慈愛の分からぬ愚か者に生と死の選定を」

　との決めゼリフと共に、光速パンチで簡単に10メートル以上先の壁までスキンヘッドを殴り飛ばしたのだった。

（おお、凄ぇっ！）

　と殴った張本人のトルオン自身が一番驚いていた。

　トルオンがここまで強くなってるのは本当にトルオンの種族が人間から四半神族になってたからなのだが、それはともかく。

　その光景の一部始終を見ていた冒険者ギルド内の冒険者や職員達はドン引きだった。

　そうとは気付かず、トルオンは更なる決めゼリフの、

「ふん、生きてたか。愚かな罪人つみびとをお許しになった創造の女神リュアラビーテ様の慈悲にすがりな」

　そうカッコ良く決めたのだった。