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御褒美
イチャイチャ剣技指導でお願いします【ソラーサside】
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都内校交流戦でミリアリリー女学園は優勝した。
そして、私は全勝で都内校交流戦を終えた。
そう、全勝で。
つまり、エニスさまとのイチャイチャ御褒美だ。
それを祝勝会の生徒が一杯の食堂で確認した私もバカだったと言えば、バカだったんだけど。
◇
食堂の祝勝会で、妹2人と親衛隊と新聞部に囲まれてるエニスさまに向かって、
「・・・あの、エニスさま」
「何、ソラーサ?」
「私、都内校交流戦、全勝だったんですけど・・・」
「そうね。よく頑張ったわ、ソラーサ」
エニスさまの言葉がそれだけだったので、私が慌てて、
「えっ、約束を覚えてないんですか?」
「何が? ・・・ああ、イチャイチャの約束をしてたわね」
思い出したエニスさまの言葉で、周囲が殺気立ったり、新聞部が眼を輝かせたりする中、
「いいわよ」
エニスさまはあっさりと約束の履行を承諾したけど、
「ちょっと待った。お姉さま、何、それ?」
ミリアリリー女学園の1年生の公爵令嬢で、ミリアリリー女学園の1年生の中で2番目にヤバイと評判の妹のアテニナが質問して、エニスさまが、
「都内校交流戦で全勝したらイチャイチャしてあげる約束をしてたのよ。それでソラーサも都内校交流戦を頑張って。結果、優勝出来たから御褒美に」
「それで、どうイチャイチャするんですか?」
「イチャイチャ剣技指導だけど、それが?」
えっ、そうなの?
と私が思ってると、私の顔色を読んだエニスさまが、
「あれ? ソラーサはどう解釈してたの?」
エニスさまに質問されたので私は素直に、
「えっと、イチャイチャ御褒美デートとばかり・・・」
「調子に乗ってるわよね、アナタ?」
アテニナが最早、戦闘態勢の中、
「こら、約束なんだから騒がないの、アテニナ。ソラーサはそっちがいいのね?」
エニスさまのその質問が妙に引っ掛かったので、念の為、
「ええっと・・・イチャイチャ剣技指導って1日だけなんですか?」
「いえ、イザベラの遊び相手が務まるくらいの強さを想定してたから、夏前くらいだと思ってたけど」
「デートだと?」
「そりゃ1日でしょ」
「イチャイチャ剣技指導でお願いします」
私はきっぱりと言ったのだった。
◇
そんな訳で、都内校交流戦が終わった翌日の平日だけどミリアリリー女学園の休校日。
私は騎士団長のお宅にお邪魔していた。
「本当に来たわ。身の程知らずが」
エニスさまの隣に居るアテニナが睨んでくる中、
「こら、言葉遣いを正しなさい、アテニナ。ソラーサは先輩なんだから」
「ここはミリアリリー女学園じゃないので嫌です」
「ったく、それじゃあ、訓練をしましょうか」
「えっと、鬼教官モードじゃなくて、イチャイチャなんですよね?」
「ええ、そうよ」
とエニスさまはニッコリと微笑してそう私に約束したのに・・・・・・・
嘘だった。
もう一度言うけど、嘘だった。
屋内闘技場の床に座るどころか、へばってお尻を突き出して無様に腹這いで寝転んでる私にエニスさまが鬼教官モードで、
「ほら、立ちなさい、ソラーサっ! まさか、都内校交流戦に全勝で優勝した翌日にはもう天狗なのかしらっ?」
「エニスさま、約束が・・・」
「はあ? 優しいでしょうが、十分」
エニスさまが堂々と嘘をつく中、
「無理無理、お姉さまにイチャイチャ剣技指導なんて」
小柄な割に体力が無尽蔵なのか、平然と立ってる妹のイザベラさんがそう言って、
「心配して損しちゃったわ。昨日、悔しくて悶々とした時間を返して欲しいくらい」
もう1人の妹のアテニナは私と同じでへばって床に正座しながら、そう言ってたけど・・・
ドMじゃないけど、エニスさまに模擬刀で虐められてるに私は興奮して・・・
ドMじゃないけど、これはこれで御褒美としてはありよね、と思ったのだった。
ドMじゃないけどね。
◇
なのに、都内校交流戦の翌日の休みと週末を挟んでミリアリリー女学園に通学したら私に向けられた視線が変で、その視線も何かいいかも、とか危ない事を考えてると、同じクラスの新聞部員で、それほど親しくはなかったフラミーヌさんが、
「ねえ、ソラーサさん。どうだった、エニスさまとのイチャイチャ剣技指導?」
「全然、イチャイチャじゃなかったからっ! こっちは手とり足とりキャッキャと楽しいのを期待したのに・・・妹2人と一緒にみっちりシゴかれただけだからっ!」
私は憤懣を口にした。
メモをとりながらフラミーヌさんが、
「つまり、妹以外に初めて剣術指導が認められたと?」
「ええ、その解釈はあってるわ。ミリアリリー女学園の昼休みも食堂に来るように言われたし、放課後、エニスさまの下宿先に出向く事も許されたから」
「ふむふむ。他には? 休日の昼食は、エニスさまの下宿先では何をいただいたの? エニスさまの休日の訓練着って、どんな格好だったの? ってか、今日の朝、そのエニスさまと都内校交流戦で副将を務めたマリンピーチさまがマリンピーチさまの家の狼車で一緒に登校した件で何か知ってる事はない?」
踏み込んで質問されて、知ってたので、
「ちょ、ちょっと待って。喋っていいのか、エニスさまの確認を取らせて」
と私は焦る破目になったのだった。
おわり
そして、私は全勝で都内校交流戦を終えた。
そう、全勝で。
つまり、エニスさまとのイチャイチャ御褒美だ。
それを祝勝会の生徒が一杯の食堂で確認した私もバカだったと言えば、バカだったんだけど。
◇
食堂の祝勝会で、妹2人と親衛隊と新聞部に囲まれてるエニスさまに向かって、
「・・・あの、エニスさま」
「何、ソラーサ?」
「私、都内校交流戦、全勝だったんですけど・・・」
「そうね。よく頑張ったわ、ソラーサ」
エニスさまの言葉がそれだけだったので、私が慌てて、
「えっ、約束を覚えてないんですか?」
「何が? ・・・ああ、イチャイチャの約束をしてたわね」
思い出したエニスさまの言葉で、周囲が殺気立ったり、新聞部が眼を輝かせたりする中、
「いいわよ」
エニスさまはあっさりと約束の履行を承諾したけど、
「ちょっと待った。お姉さま、何、それ?」
ミリアリリー女学園の1年生の公爵令嬢で、ミリアリリー女学園の1年生の中で2番目にヤバイと評判の妹のアテニナが質問して、エニスさまが、
「都内校交流戦で全勝したらイチャイチャしてあげる約束をしてたのよ。それでソラーサも都内校交流戦を頑張って。結果、優勝出来たから御褒美に」
「それで、どうイチャイチャするんですか?」
「イチャイチャ剣技指導だけど、それが?」
えっ、そうなの?
と私が思ってると、私の顔色を読んだエニスさまが、
「あれ? ソラーサはどう解釈してたの?」
エニスさまに質問されたので私は素直に、
「えっと、イチャイチャ御褒美デートとばかり・・・」
「調子に乗ってるわよね、アナタ?」
アテニナが最早、戦闘態勢の中、
「こら、約束なんだから騒がないの、アテニナ。ソラーサはそっちがいいのね?」
エニスさまのその質問が妙に引っ掛かったので、念の為、
「ええっと・・・イチャイチャ剣技指導って1日だけなんですか?」
「いえ、イザベラの遊び相手が務まるくらいの強さを想定してたから、夏前くらいだと思ってたけど」
「デートだと?」
「そりゃ1日でしょ」
「イチャイチャ剣技指導でお願いします」
私はきっぱりと言ったのだった。
◇
そんな訳で、都内校交流戦が終わった翌日の平日だけどミリアリリー女学園の休校日。
私は騎士団長のお宅にお邪魔していた。
「本当に来たわ。身の程知らずが」
エニスさまの隣に居るアテニナが睨んでくる中、
「こら、言葉遣いを正しなさい、アテニナ。ソラーサは先輩なんだから」
「ここはミリアリリー女学園じゃないので嫌です」
「ったく、それじゃあ、訓練をしましょうか」
「えっと、鬼教官モードじゃなくて、イチャイチャなんですよね?」
「ええ、そうよ」
とエニスさまはニッコリと微笑してそう私に約束したのに・・・・・・・
嘘だった。
もう一度言うけど、嘘だった。
屋内闘技場の床に座るどころか、へばってお尻を突き出して無様に腹這いで寝転んでる私にエニスさまが鬼教官モードで、
「ほら、立ちなさい、ソラーサっ! まさか、都内校交流戦に全勝で優勝した翌日にはもう天狗なのかしらっ?」
「エニスさま、約束が・・・」
「はあ? 優しいでしょうが、十分」
エニスさまが堂々と嘘をつく中、
「無理無理、お姉さまにイチャイチャ剣技指導なんて」
小柄な割に体力が無尽蔵なのか、平然と立ってる妹のイザベラさんがそう言って、
「心配して損しちゃったわ。昨日、悔しくて悶々とした時間を返して欲しいくらい」
もう1人の妹のアテニナは私と同じでへばって床に正座しながら、そう言ってたけど・・・
ドMじゃないけど、エニスさまに模擬刀で虐められてるに私は興奮して・・・
ドMじゃないけど、これはこれで御褒美としてはありよね、と思ったのだった。
ドMじゃないけどね。
◇
なのに、都内校交流戦の翌日の休みと週末を挟んでミリアリリー女学園に通学したら私に向けられた視線が変で、その視線も何かいいかも、とか危ない事を考えてると、同じクラスの新聞部員で、それほど親しくはなかったフラミーヌさんが、
「ねえ、ソラーサさん。どうだった、エニスさまとのイチャイチャ剣技指導?」
「全然、イチャイチャじゃなかったからっ! こっちは手とり足とりキャッキャと楽しいのを期待したのに・・・妹2人と一緒にみっちりシゴかれただけだからっ!」
私は憤懣を口にした。
メモをとりながらフラミーヌさんが、
「つまり、妹以外に初めて剣術指導が認められたと?」
「ええ、その解釈はあってるわ。ミリアリリー女学園の昼休みも食堂に来るように言われたし、放課後、エニスさまの下宿先に出向く事も許されたから」
「ふむふむ。他には? 休日の昼食は、エニスさまの下宿先では何をいただいたの? エニスさまの休日の訓練着って、どんな格好だったの? ってか、今日の朝、そのエニスさまと都内校交流戦で副将を務めたマリンピーチさまがマリンピーチさまの家の狼車で一緒に登校した件で何か知ってる事はない?」
踏み込んで質問されて、知ってたので、
「ちょ、ちょっと待って。喋っていいのか、エニスさまの確認を取らせて」
と私は焦る破目になったのだった。
おわり
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