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ショートメール
海外では高額絵画窃盗の罪は重い
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フランスのパリの空港のロビーで、
「ハァ~イ、ママン」
「アリス、会いたかったわ」
アリスは外国人さながらのハグを母親としていた。
母親のアイナは38歳。黒髪ロングでまだまだ20代後半で通る若さを保っていた。
当然モデル体型は維持しており、美人でもある。
因みに、アリスは日本では気を付けて『ママ』と呼んでいたが、フランスかぶれの母親の意向で本人には『ママン』と呼んでいた。
リムジンに乗ると母親のアイナが冷たく、
「で、何なの、これ?」
スマホを見せてきた。
拡散されたショウとのキス動画だ。
「無理矢理キスされたのよ」
「そのようね。『警察に被害届を出した』とかあるけど?」
「弁護士先生に委任状を書いたわ。『総て上手くやる』って。まあ、お爺ちゃんで実力も無さそうだったから無理っぽいけど」
「ふ~ん。その弁護士がダメだったらママンに任せなさい。ママンの人脈でゴンドーなんて潰してやるから」
「いいって。キスくらいでそこまでしなくても。ファーストキスでもないんだし」
アリスがそう棘のある言い方をして、
「何、まだフィリップにキスされた事、根に持ってるの?」
アイナが笑う中、アリスが口を尖らせ、
「だって、こっちは10歳だったのに唇にキスするから。フランス人はあり得ないから」
「とか言って、アレクとはキスしてる癖に」
「アレクはいいのよ。可愛いから」
などと喋ったのだった。
リムジンが着いた先はオシャレな高級マンションで、その一室では異父弟のアレクサンドが待っていた。
アレクサンドはアリスと6年離れてて(誕生日の関係で)11歳。将来はイケメン間違いなしの美少年だった。ハーフなので髪は黒色だが、瞳は青みが掛かっていた。
ハイブランドの服を纏っている。
「こんにちは、アリスお姉さん」
フランス語しか喋れないのでそう声を掛けられて、アリスは普通に、
「久しぶりね、アレク」
と流暢なフランス語で返してハグをして頬にキスをしたのだった。
そう、アリスは母親の方針で子供の頃から英語とフランス語を習得させられていたのでフランス語ももう完全にペラペラだったのだ。
「また美人になったね、姉さん」
「もう、ナンパな事言わないの。アレクの将来が心配だわ。モテモテは確実だから」
「ボクは姉さん一筋だよ」
「あぁ~ら、いつまでそんな可愛い事を言ってくれるのかしらね」
などと普通の家族の会話をフランス語で話したのだった。
◇
日本では示談になった経緯を説明されて、権藤ショウが、
「はぁぁぁぁぁっ! 2億も取られただとぉぉぉぉっ!」
とブチキレていた。
ショウは現在、大鳳学園を無期停学中だ。
原因は集団訴訟の所為だ。
大鳳学園の学園長の根津とは話が付いていたが、集団訴訟を起こされた事で大鳳学園の理事会が出しゃばってきて、遂にはショウは停学になっていた。
停学理由は複数人による無理矢理のキスだ。
『たったのキスくらいで停学なんてあり得ないっ! ふざけるなっ!』
というのがショウの心情だったが、我慢して停学を受け入れていた。
ショウの家の方も色々と問題を抱えており、現在は両親が離婚に向けて協議中だ。
当然だろう。隠し子が2人も居たのだから。
それも隠し子を産んだのが2人とも父親のトウヤに付いてた美人秘書だったのだから、母親のショーコはカンカンだ。
その事で、美人だが少し太めの母親のショーコがショウに愚痴ってる時に、その示談金の話が出て、寝耳に水のショウが、
「本当なのか、ママ?」
「ええ、お父様が2億もボラれたそうよ。でも、支払って正解だったんだけどね。もし示談にしてなかったら、アナタ、今頃本当に大変な事になっていたんだから。あっちは映像があってどうにも出来なかっただろうから」
というショーコの言葉などショウは聞いていなかった。
「何でもフランスらしいわ、今は」
なんてショーコが口を滑らせた所為で、停学中で暇なショウは金持ちの代名詞、自家用シェットでその日の内にフランスへと飛んだのだった。
◇
そして13時間20分後。
パリに到着すると同時にテロ対策ユニットばりのマシンガンを持った警官隊が、ショウが乗る自家用ジェットに突入してきた。
「うお、何だ? 何だ?」
ショウは日本語と英語オンリーなのでフランス語が喋れず、理由も分からず、両手を上げる中、フランス語が喋れるので連れてきた大企業ゴンドーの社員の木野に聞くと、
「『テロ用の爆弾を運搬している』との通報があってこの騒ぎだそうです」
「何だ、そりゃあ?」
「おそらくは金持ちを僻んだ貧乏人の嫌がらせでしょう」
「へぇ~、さすがは海外」
と、そこまでは良かったが、荷物の中から1年前に美術館から盗まれた数十億円の巨匠の絵画が出てきてショウ以下、全員が逮捕される事となった。
「ちょ、待て。ふざけるなっ! 何だよ、この手錠は? おい、木野、何だって?」
「『美術館から盗まれた絵画がある』と・・・御存知でしたか、ショウ様?」
「オレが知る訳ないだろ。おい、ふざけるなっ!」
とショウは日本語と英語で釈放を要求したが、相手にされず警察署に連れて行かれたのだった。
◇
ショウの逮捕の10分後。
日本にて、孫のショウの逮捕を知った大企業ゴンドーの会長で祖父の権藤章三が、
「ゴンドーが大変な時に謹慎中に何フランスまで遊びに行って問題を起こしてるんだっ! しばらく牢屋に入れて反省させておけっ!」
と指示してしまった為に保釈される事なく、
◇
「おい、嘘だろっ! 嘘だと言ってくれっ!」
ショウはフランスの警察署で牢屋暮らしをする破目になったのだった。
「ハァ~イ、ママン」
「アリス、会いたかったわ」
アリスは外国人さながらのハグを母親としていた。
母親のアイナは38歳。黒髪ロングでまだまだ20代後半で通る若さを保っていた。
当然モデル体型は維持しており、美人でもある。
因みに、アリスは日本では気を付けて『ママ』と呼んでいたが、フランスかぶれの母親の意向で本人には『ママン』と呼んでいた。
リムジンに乗ると母親のアイナが冷たく、
「で、何なの、これ?」
スマホを見せてきた。
拡散されたショウとのキス動画だ。
「無理矢理キスされたのよ」
「そのようね。『警察に被害届を出した』とかあるけど?」
「弁護士先生に委任状を書いたわ。『総て上手くやる』って。まあ、お爺ちゃんで実力も無さそうだったから無理っぽいけど」
「ふ~ん。その弁護士がダメだったらママンに任せなさい。ママンの人脈でゴンドーなんて潰してやるから」
「いいって。キスくらいでそこまでしなくても。ファーストキスでもないんだし」
アリスがそう棘のある言い方をして、
「何、まだフィリップにキスされた事、根に持ってるの?」
アイナが笑う中、アリスが口を尖らせ、
「だって、こっちは10歳だったのに唇にキスするから。フランス人はあり得ないから」
「とか言って、アレクとはキスしてる癖に」
「アレクはいいのよ。可愛いから」
などと喋ったのだった。
リムジンが着いた先はオシャレな高級マンションで、その一室では異父弟のアレクサンドが待っていた。
アレクサンドはアリスと6年離れてて(誕生日の関係で)11歳。将来はイケメン間違いなしの美少年だった。ハーフなので髪は黒色だが、瞳は青みが掛かっていた。
ハイブランドの服を纏っている。
「こんにちは、アリスお姉さん」
フランス語しか喋れないのでそう声を掛けられて、アリスは普通に、
「久しぶりね、アレク」
と流暢なフランス語で返してハグをして頬にキスをしたのだった。
そう、アリスは母親の方針で子供の頃から英語とフランス語を習得させられていたのでフランス語ももう完全にペラペラだったのだ。
「また美人になったね、姉さん」
「もう、ナンパな事言わないの。アレクの将来が心配だわ。モテモテは確実だから」
「ボクは姉さん一筋だよ」
「あぁ~ら、いつまでそんな可愛い事を言ってくれるのかしらね」
などと普通の家族の会話をフランス語で話したのだった。
◇
日本では示談になった経緯を説明されて、権藤ショウが、
「はぁぁぁぁぁっ! 2億も取られただとぉぉぉぉっ!」
とブチキレていた。
ショウは現在、大鳳学園を無期停学中だ。
原因は集団訴訟の所為だ。
大鳳学園の学園長の根津とは話が付いていたが、集団訴訟を起こされた事で大鳳学園の理事会が出しゃばってきて、遂にはショウは停学になっていた。
停学理由は複数人による無理矢理のキスだ。
『たったのキスくらいで停学なんてあり得ないっ! ふざけるなっ!』
というのがショウの心情だったが、我慢して停学を受け入れていた。
ショウの家の方も色々と問題を抱えており、現在は両親が離婚に向けて協議中だ。
当然だろう。隠し子が2人も居たのだから。
それも隠し子を産んだのが2人とも父親のトウヤに付いてた美人秘書だったのだから、母親のショーコはカンカンだ。
その事で、美人だが少し太めの母親のショーコがショウに愚痴ってる時に、その示談金の話が出て、寝耳に水のショウが、
「本当なのか、ママ?」
「ええ、お父様が2億もボラれたそうよ。でも、支払って正解だったんだけどね。もし示談にしてなかったら、アナタ、今頃本当に大変な事になっていたんだから。あっちは映像があってどうにも出来なかっただろうから」
というショーコの言葉などショウは聞いていなかった。
「何でもフランスらしいわ、今は」
なんてショーコが口を滑らせた所為で、停学中で暇なショウは金持ちの代名詞、自家用シェットでその日の内にフランスへと飛んだのだった。
◇
そして13時間20分後。
パリに到着すると同時にテロ対策ユニットばりのマシンガンを持った警官隊が、ショウが乗る自家用ジェットに突入してきた。
「うお、何だ? 何だ?」
ショウは日本語と英語オンリーなのでフランス語が喋れず、理由も分からず、両手を上げる中、フランス語が喋れるので連れてきた大企業ゴンドーの社員の木野に聞くと、
「『テロ用の爆弾を運搬している』との通報があってこの騒ぎだそうです」
「何だ、そりゃあ?」
「おそらくは金持ちを僻んだ貧乏人の嫌がらせでしょう」
「へぇ~、さすがは海外」
と、そこまでは良かったが、荷物の中から1年前に美術館から盗まれた数十億円の巨匠の絵画が出てきてショウ以下、全員が逮捕される事となった。
「ちょ、待て。ふざけるなっ! 何だよ、この手錠は? おい、木野、何だって?」
「『美術館から盗まれた絵画がある』と・・・御存知でしたか、ショウ様?」
「オレが知る訳ないだろ。おい、ふざけるなっ!」
とショウは日本語と英語で釈放を要求したが、相手にされず警察署に連れて行かれたのだった。
◇
ショウの逮捕の10分後。
日本にて、孫のショウの逮捕を知った大企業ゴンドーの会長で祖父の権藤章三が、
「ゴンドーが大変な時に謹慎中に何フランスまで遊びに行って問題を起こしてるんだっ! しばらく牢屋に入れて反省させておけっ!」
と指示してしまった為に保釈される事なく、
◇
「おい、嘘だろっ! 嘘だと言ってくれっ!」
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