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ゾンビは既に死んでいる。実戦では作戦通りにいかない事もある
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見知らぬ土地で集落を発見するコツは、
夜間に灯る明かり。
食事前に上がる炊飯の煙。
荷車や人が往来出来る街道。
麦畑で働く農夫や近隣を巡回する兵士達。
これらである。
それらを頼りにオレは新たな集落を発見していた。
またしても村だ。
城壁で囲われていたが、堀はなく、正門前にはテントが数十張り(テントの単位)あって、難民キャンプが出来ていた。
土塁はないが、
だが、それは無防備という意味ではない。
城壁の拡張工事がされ、煉瓦が組まれており、他の箇所はその場しのぎなのか、木製の塀が既に完成していた。
時刻は夜。
オレはその村を小高い丘から見下ろしていた。
星明かりで明るかったが、見張りに見つかる事もなく。
オレは次なる村を落とすべく闇夜に紛れて歩いて近付いたのだった。
地中に道を作り、村を落とす下準備を進める。
情報収集も大事だ。
地中に居たら住民達が呑気に喋ってくれる。
お陰で欲しい情報は全部入った。
この村の水源は川から水を引いてない。
井戸水だった。
村の元々の規模は700人。
だが、村内には現在、倍近い1300人が既に住んでいた。
村の中にもテントが張られてる始末だ。
それでも入り切らなかった500人が門前の難民キャンプを作っていた。
「どうせ、アテミスの水道橋が建ったら戻っていくのに城壁を新たに造る必要なんてあるのか?」
「仕方ないだろ、代官様から難民を受け入れろとのお達しなんだから」
との事らしい。
大変だな、統治者が無能だと。
この村を落とすのは簡単だ。
テントに眠る連中を闇で落として噛んで地中に引きずり込む。
それを繰り返すと、3日後にはゾンビ軍団が誕生して地中から徘徊して村人を襲うのだから。
だが、オレの目的は村を落とす事ではない。
美味しくいただいて、強くなる事が目的だ。
そうだ、オレ自身がもっと強くなる事が。
アメリカのゾンビ映画のように普通に動けるゾンビが望ましいのだが。
美味しくいただくのを目的とすると、
村内の1300人。
村外の500人。
これらを一晩で落とすのは微妙だ。
一番のネックは村を囲む城壁だ。
城壁の上には当然、夜でも兵士が居る訳だが、城壁を上がるには階段を上る必要があり、ゾンビはノロノロなので階段の移動も大変なのだ。
階段で戦闘になって槍で突かれる分には闇の手で応戦出来るが、玉砕覚悟で一緒に階段落ちなんてされたら下まで真っ逆様だ。
打ちどころが悪ければ、こちらもダメージを負う。
戦闘中にそんな馬鹿な事で片足を負傷などあり得ない。
では城壁の上の連中を相手にしなかったとしよう。
それだと夜間の警備が気付く可能性もあり、オレの移動が地中移動となる。
ノロノロ歩きよりも遅い移動となり、余計に移動に手間取る。
ここはもう仕方がない。
妥協するか。
村外500人を一晩で美味しくいただけるだけいただいて退散だ。
そうしよう。
決行の夜になった。
寝静まったのを待って、門前の難民キャンプの土からオレが這い上がった瞬間だった。
「ウィィィ、酒が切れちまったぜぇ~」
テントから出てきた酔っ払ったオッサンと不運にも鉢合わせしてしまった。
えっ、嘘だろ?
何でまだ起きてるんだ、このオッサン、夜中だぞ?
オレは瞬時に闇の手を放つが、闇がオッサンの顔に届くよりも早く、酔っ払いのオッサンが腰を抜かして尻餅をつきながら、
「ヒィエエエエエエエ、ゾンビだぁぁぁぁっ!」
と叫んだ。
オッサンがオレを見て、腰を抜かしたのも災いした。
オレが放った闇を一瞬、避けた格好となって叫び声を最後まで言い切ったのだから。
叫んだ直後にオッサンをちゃんと闇の手で落としたが、この数秒が村の命運を分けた。
木製の城壁の上に居た兵士が、
「おい、あそこを見ろ、ゾンビだっ!」
オレを視認して、ピィーッと警笛を吹きやがったから。
はい、もう無理ぃ~。
オレは兵士達が来る前に土を掘って地中の道から村側へと逃げたのだった。
『験を担ぐ』という言葉がある。
オレはスピリチアル系は信じないが、
警戒厳重になった村を無理して落とそうなどとは思わない。
獲物は無限に居るのだから。
オレは無理をせず、別の場所へと移動したのだった。
ふん、酔っ払いのオッサンに感謝するんだな。
夜間に灯る明かり。
食事前に上がる炊飯の煙。
荷車や人が往来出来る街道。
麦畑で働く農夫や近隣を巡回する兵士達。
これらである。
それらを頼りにオレは新たな集落を発見していた。
またしても村だ。
城壁で囲われていたが、堀はなく、正門前にはテントが数十張り(テントの単位)あって、難民キャンプが出来ていた。
土塁はないが、
だが、それは無防備という意味ではない。
城壁の拡張工事がされ、煉瓦が組まれており、他の箇所はその場しのぎなのか、木製の塀が既に完成していた。
時刻は夜。
オレはその村を小高い丘から見下ろしていた。
星明かりで明るかったが、見張りに見つかる事もなく。
オレは次なる村を落とすべく闇夜に紛れて歩いて近付いたのだった。
地中に道を作り、村を落とす下準備を進める。
情報収集も大事だ。
地中に居たら住民達が呑気に喋ってくれる。
お陰で欲しい情報は全部入った。
この村の水源は川から水を引いてない。
井戸水だった。
村の元々の規模は700人。
だが、村内には現在、倍近い1300人が既に住んでいた。
村の中にもテントが張られてる始末だ。
それでも入り切らなかった500人が門前の難民キャンプを作っていた。
「どうせ、アテミスの水道橋が建ったら戻っていくのに城壁を新たに造る必要なんてあるのか?」
「仕方ないだろ、代官様から難民を受け入れろとのお達しなんだから」
との事らしい。
大変だな、統治者が無能だと。
この村を落とすのは簡単だ。
テントに眠る連中を闇で落として噛んで地中に引きずり込む。
それを繰り返すと、3日後にはゾンビ軍団が誕生して地中から徘徊して村人を襲うのだから。
だが、オレの目的は村を落とす事ではない。
美味しくいただいて、強くなる事が目的だ。
そうだ、オレ自身がもっと強くなる事が。
アメリカのゾンビ映画のように普通に動けるゾンビが望ましいのだが。
美味しくいただくのを目的とすると、
村内の1300人。
村外の500人。
これらを一晩で落とすのは微妙だ。
一番のネックは村を囲む城壁だ。
城壁の上には当然、夜でも兵士が居る訳だが、城壁を上がるには階段を上る必要があり、ゾンビはノロノロなので階段の移動も大変なのだ。
階段で戦闘になって槍で突かれる分には闇の手で応戦出来るが、玉砕覚悟で一緒に階段落ちなんてされたら下まで真っ逆様だ。
打ちどころが悪ければ、こちらもダメージを負う。
戦闘中にそんな馬鹿な事で片足を負傷などあり得ない。
では城壁の上の連中を相手にしなかったとしよう。
それだと夜間の警備が気付く可能性もあり、オレの移動が地中移動となる。
ノロノロ歩きよりも遅い移動となり、余計に移動に手間取る。
ここはもう仕方がない。
妥協するか。
村外500人を一晩で美味しくいただけるだけいただいて退散だ。
そうしよう。
決行の夜になった。
寝静まったのを待って、門前の難民キャンプの土からオレが這い上がった瞬間だった。
「ウィィィ、酒が切れちまったぜぇ~」
テントから出てきた酔っ払ったオッサンと不運にも鉢合わせしてしまった。
えっ、嘘だろ?
何でまだ起きてるんだ、このオッサン、夜中だぞ?
オレは瞬時に闇の手を放つが、闇がオッサンの顔に届くよりも早く、酔っ払いのオッサンが腰を抜かして尻餅をつきながら、
「ヒィエエエエエエエ、ゾンビだぁぁぁぁっ!」
と叫んだ。
オッサンがオレを見て、腰を抜かしたのも災いした。
オレが放った闇を一瞬、避けた格好となって叫び声を最後まで言い切ったのだから。
叫んだ直後にオッサンをちゃんと闇の手で落としたが、この数秒が村の命運を分けた。
木製の城壁の上に居た兵士が、
「おい、あそこを見ろ、ゾンビだっ!」
オレを視認して、ピィーッと警笛を吹きやがったから。
はい、もう無理ぃ~。
オレは兵士達が来る前に土を掘って地中の道から村側へと逃げたのだった。
『験を担ぐ』という言葉がある。
オレはスピリチアル系は信じないが、
警戒厳重になった村を無理して落とそうなどとは思わない。
獲物は無限に居るのだから。
オレは無理をせず、別の場所へと移動したのだった。
ふん、酔っ払いのオッサンに感謝するんだな。
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