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【閑話】ピパリスの銀雷

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 夜中に麦畑で『リスカの悪魔』がヴァンパイアを喰らった後の事である。





 『リスカの悪魔』は左腕が修復で満足して歩いていったが。

 血の匂いに誘われて暗闇から残されたヴァンパイアの死骸の前に現れたのは3匹の青毛の狼だった。

 ピパリスの森から放流された魔物に負けて、縄張りを追われた放浪組だ。

 魔物社会は自然界と同じく、完全な弱肉強食。

 こんな事はザラだ。

 青毛の狼達が縄張りを追われた時は8匹の群れだったが、更に治安維持活動中の冒険者達に狩られた。

 それも悪辣にも生肉に無臭の痺れ薬を盛られて。

 そんな肉が地面に置かれてたら空腹の魔物なら喰うに決まってるのに。

 狼の群れにも序列はある。

 最初に肉にあり付けるのは群れのリーダーだ。

 つまりは強い順に肉を喰い、動けなくなった5匹が狩られた。

 残った3匹は狼の群れの最弱だった。

 狩りもロクに出来ず、他の魔物からも逃げる日々だ。

 空腹で旅をする中、この夜、幸運にも喰い残しに有り付いていた。

 さっきまでゾンビが食べてた訳だが、骨まで肉をしゃぶるような事はしない。

 喰いでのある内臓や心臓、肩や腕や足だけだ。

 なので、まだ食べれるところは残ってる。

 狼3匹は食い残しを発見すると一斉に群がった。

 空腹を満たす。

 夢中で喰い終えた頃には3匹の狼の毛並みが青色から銀色に変わっていた。

 風格も段違いだ。

 痩せていた身体も筋肉で膨らみ、二回りは大きくなってる。

 更には身体には輝く銀色の雷を静電気のように纏っていた。





 ワオォォォォォン。





 これが『リスカの悪魔』よりも更に凶悪な『ピパリスの銀雷』が誕生した瞬間だった。
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