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ゾンビは既に死んでいる。よって喋る蝙蝠をナマで美味しくいただいても問題ない
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24時間睡眠要らずで動けるオレは夜中、枯れて全滅した麦畑を歩いていた。
もう最悪。
何度も何度も冒険者達がアタックしてきやがって。
それも遠距離の魔法攻撃ばっか。
後、矢な。
例の聖水とやらを塗ってるのか、最近は身体に刺さるとシュウシュウッと音が鳴ってるし。
苦戦の連続でオレは現在、左腕が欠落していた。
右腕1本を前に上げて歩いている。
いい加減、このゾンビポーズは止めたいが。
なんて思ってると、
「よう、まだ生きてたのか?」
喋る蝙蝠が飛んできた。
「アアアァアァァァ(まあな。最近冒険者に狙われて災難だよ)」
と答えながらオレが何を考えてたのか正直に告白しよう。
左腕の修復の足しに少しはなるかな?
だった。
『友達を美味しくいただくなんて酷い奴だ』と思うかも知れないが、
人間社会でもファンタジーでも弱肉強食は原則だからな。
それにだ。
この喋る蝙蝠はおそらくは足を引っ張るタイプの友達だ。
ここでお別れした方がオレの為にもいいはず。
確証はないがな。
ただの直感だから。
だが、あえて言わせて貰えれば、
名前も知らない奴を果たして友達と呼べるのか?
だな。
一般常識で言えば。
「仕方ないだろ、修道院を落として今や有名人なんだから」
「アアアアァァァ(なあ、あれ、斥候じゃないよな?)」
オレが水を向けて、喋る蝙蝠が遠方を見た瞬間だった。
残った右手で闇の手を発動。
射程範囲の3メートル以内に喋る蝙蝠は飛んでて、オレの中では当たる確率50パーセントの博打だったが、
「あれはただの案山子だろ」
と答えた喋る蝙蝠に闇が当たり、
オレの中では、蜥蜴系の魔物同様、効かない確率80パーセントだったので、殆どダメ元だったのだが、
「・・・グオオオ、何の真似だっ!」
悲鳴を上げ、意識を保ってたものの、喋る蝙蝠が地上に落ちてきた。
嘘、闇が効いた?
蜥蜴系の魔物には効かなかったのに?
あの蜥蜴だけが特別だったのか?
ともかく賭けに勝ったオレは慌てて、ノロノロながらも全速力で落下点に近付いて喋る蝙蝠を足で踏み、
「グアアアア、まさか、おまえっ?」
「アアアァァァ(じゃあな)」
オレは覆い被さるように蹲って、口を大きく開けて右手で掴んだ喋る蝙蝠に噛み付いたのだった。
「ギャアアアアアア」
喋る蝙蝠が断末魔を上げた瞬間、
喋る蝙蝠が人間になった。
小学生くらいだろうか。
少年に。
妙に肌が青白い。
それに牙があった。
ファンタジーに疎いオレでもここまでヒントがあればさすがに分かる。
ヴァンパイアって奴だ。
喋る蝙蝠じゃなかったのか。
これだけの量なら左腕の修復も可能かな?
でもヴァンパイアの癖にオレの闇の手が効くって。
雑魚の部類だな。
蝙蝠なんかに化けてたくらいだから。
オレはその後、そのヴァンパイアを美味しくいただいたのだった。
さすがは高級食材(?)。
一口美味しくいただいた直後に左腕の損傷個所が修復された。
心臓も美味しくいただいたが、闇に身体が包まれる事はなかった。
その程度のエネルギーだったって事だ。
「アアアアァァァァ」
声を出してみたが喋れなかったし。
何を期待してたんだか。
ゾンビなんだ。
喋るのは諦めよう。
美味しくいただき終えるとオレは両腕をまた前に上げてノロノロと歩き始めた。
こうして喋る蝙蝠との縁は切れたのだった。
◇
戦いは続く。
正確には冒険者どもに狙われまくりだ。
狙われる理由はオレが嫌われ者のゾンビだから。
それだけの理由で。
そしてゾンビは移動速度が限られてる。
目撃情報から移動予測は簡単に出来る訳だ。
お陰で最近では待ち伏せされてる始末だ。
だが、喋る蝙蝠ことヴァンパイアを美味しくいただいてからのオレの調子は頗る良い。
「おい、どうなってる? 魔法が効かなくなってるぞ?」
「ああ、この前までは20発もお見舞いしたら腕の一本は吹き飛んでたのに・・・」
「聖水の矢もだ」
「このままじゃあ、聖郭に辿り着くぞ」
今もオレに攻撃してきてる遠巻きに囲む冒険者達が驚いてる。
オレ自身も驚いてるがな。
冒険者達が放つ攻撃魔法の効きが弱くなってきてるんだから。
連中の驚きようから手を抜いてるなんて事はないようだ。
耐性が付いた?
それとも防御力が上がったって奴か?
もしかして飛ばせる闇の射程距離も・・・
オレは『闇の手』を使った。
ダメだ、伸びてない。
射程距離は5メートル圏内のままだったから。
つまり、反撃の手段はない訳か。
どうしようもないな。
オレは魔法攻撃や矢攻撃を浴びながら歩いた。
そして、魔法を放ってた魔術師達が疲労で、
「ダメだ。もう」
「オレもだ」
魔法を撃たなくなり、
束で矢を持って来ていた狩人達は、
「クソ、矢が尽きた」
「こっちもだ」
と悔しがり、
「一先ず撤退だ」
と撤退していったのだった。
その逃げる後ろ姿を眺めながらオレは、
全然ダメージはないっぽいが、あれだけ散々攻撃されてやられっぱなしってのはどうもなぁ~。
苦笑したのだった。
◇
オレは小高い丘から城壁を眺めていた。
城や街を囲う城壁じゃない。
小さな山が離れて二つあり、その間に長い城壁がずっと繋がっていた。
中国の万里の長城っぽいな。
ファンタジー風だが。
そして城壁の色は白色。
純白である。
黄金装飾までが白い城壁に施されており、キラキラと太陽の光で反射していた。
模様は紋章だろうか?
ってか、城壁に黄金って?
ただの成金趣味なだけか?
それともファンタジーらしく魔法が関係してる?
城壁はともかく、
冒険者の連中が執拗にオレを攻撃していた理由が分かった。
あれを越えさせたくないんだ、と。
ふむ。
理由がまったく分からない。
確か『聖郭』って呼んでたな。
国境か何かか?
ニュースで見たアメリカとメキシコの国境みたいな?
それにしては壁が真っ白だが・・・
ダメだ。
冒険者達が必死だった意図が今一分からない。
情報が少な過ぎて。
情報収集が必要かもな。
オレはそう思いながらとりあえず土を掘って地中に潜って城壁に近付いたのだった。
もう最悪。
何度も何度も冒険者達がアタックしてきやがって。
それも遠距離の魔法攻撃ばっか。
後、矢な。
例の聖水とやらを塗ってるのか、最近は身体に刺さるとシュウシュウッと音が鳴ってるし。
苦戦の連続でオレは現在、左腕が欠落していた。
右腕1本を前に上げて歩いている。
いい加減、このゾンビポーズは止めたいが。
なんて思ってると、
「よう、まだ生きてたのか?」
喋る蝙蝠が飛んできた。
「アアアァアァァァ(まあな。最近冒険者に狙われて災難だよ)」
と答えながらオレが何を考えてたのか正直に告白しよう。
左腕の修復の足しに少しはなるかな?
だった。
『友達を美味しくいただくなんて酷い奴だ』と思うかも知れないが、
人間社会でもファンタジーでも弱肉強食は原則だからな。
それにだ。
この喋る蝙蝠はおそらくは足を引っ張るタイプの友達だ。
ここでお別れした方がオレの為にもいいはず。
確証はないがな。
ただの直感だから。
だが、あえて言わせて貰えれば、
名前も知らない奴を果たして友達と呼べるのか?
だな。
一般常識で言えば。
「仕方ないだろ、修道院を落として今や有名人なんだから」
「アアアアァァァ(なあ、あれ、斥候じゃないよな?)」
オレが水を向けて、喋る蝙蝠が遠方を見た瞬間だった。
残った右手で闇の手を発動。
射程範囲の3メートル以内に喋る蝙蝠は飛んでて、オレの中では当たる確率50パーセントの博打だったが、
「あれはただの案山子だろ」
と答えた喋る蝙蝠に闇が当たり、
オレの中では、蜥蜴系の魔物同様、効かない確率80パーセントだったので、殆どダメ元だったのだが、
「・・・グオオオ、何の真似だっ!」
悲鳴を上げ、意識を保ってたものの、喋る蝙蝠が地上に落ちてきた。
嘘、闇が効いた?
蜥蜴系の魔物には効かなかったのに?
あの蜥蜴だけが特別だったのか?
ともかく賭けに勝ったオレは慌てて、ノロノロながらも全速力で落下点に近付いて喋る蝙蝠を足で踏み、
「グアアアア、まさか、おまえっ?」
「アアアァァァ(じゃあな)」
オレは覆い被さるように蹲って、口を大きく開けて右手で掴んだ喋る蝙蝠に噛み付いたのだった。
「ギャアアアアアア」
喋る蝙蝠が断末魔を上げた瞬間、
喋る蝙蝠が人間になった。
小学生くらいだろうか。
少年に。
妙に肌が青白い。
それに牙があった。
ファンタジーに疎いオレでもここまでヒントがあればさすがに分かる。
ヴァンパイアって奴だ。
喋る蝙蝠じゃなかったのか。
これだけの量なら左腕の修復も可能かな?
でもヴァンパイアの癖にオレの闇の手が効くって。
雑魚の部類だな。
蝙蝠なんかに化けてたくらいだから。
オレはその後、そのヴァンパイアを美味しくいただいたのだった。
さすがは高級食材(?)。
一口美味しくいただいた直後に左腕の損傷個所が修復された。
心臓も美味しくいただいたが、闇に身体が包まれる事はなかった。
その程度のエネルギーだったって事だ。
「アアアアァァァァ」
声を出してみたが喋れなかったし。
何を期待してたんだか。
ゾンビなんだ。
喋るのは諦めよう。
美味しくいただき終えるとオレは両腕をまた前に上げてノロノロと歩き始めた。
こうして喋る蝙蝠との縁は切れたのだった。
◇
戦いは続く。
正確には冒険者どもに狙われまくりだ。
狙われる理由はオレが嫌われ者のゾンビだから。
それだけの理由で。
そしてゾンビは移動速度が限られてる。
目撃情報から移動予測は簡単に出来る訳だ。
お陰で最近では待ち伏せされてる始末だ。
だが、喋る蝙蝠ことヴァンパイアを美味しくいただいてからのオレの調子は頗る良い。
「おい、どうなってる? 魔法が効かなくなってるぞ?」
「ああ、この前までは20発もお見舞いしたら腕の一本は吹き飛んでたのに・・・」
「聖水の矢もだ」
「このままじゃあ、聖郭に辿り着くぞ」
今もオレに攻撃してきてる遠巻きに囲む冒険者達が驚いてる。
オレ自身も驚いてるがな。
冒険者達が放つ攻撃魔法の効きが弱くなってきてるんだから。
連中の驚きようから手を抜いてるなんて事はないようだ。
耐性が付いた?
それとも防御力が上がったって奴か?
もしかして飛ばせる闇の射程距離も・・・
オレは『闇の手』を使った。
ダメだ、伸びてない。
射程距離は5メートル圏内のままだったから。
つまり、反撃の手段はない訳か。
どうしようもないな。
オレは魔法攻撃や矢攻撃を浴びながら歩いた。
そして、魔法を放ってた魔術師達が疲労で、
「ダメだ。もう」
「オレもだ」
魔法を撃たなくなり、
束で矢を持って来ていた狩人達は、
「クソ、矢が尽きた」
「こっちもだ」
と悔しがり、
「一先ず撤退だ」
と撤退していったのだった。
その逃げる後ろ姿を眺めながらオレは、
全然ダメージはないっぽいが、あれだけ散々攻撃されてやられっぱなしってのはどうもなぁ~。
苦笑したのだった。
◇
オレは小高い丘から城壁を眺めていた。
城や街を囲う城壁じゃない。
小さな山が離れて二つあり、その間に長い城壁がずっと繋がっていた。
中国の万里の長城っぽいな。
ファンタジー風だが。
そして城壁の色は白色。
純白である。
黄金装飾までが白い城壁に施されており、キラキラと太陽の光で反射していた。
模様は紋章だろうか?
ってか、城壁に黄金って?
ただの成金趣味なだけか?
それともファンタジーらしく魔法が関係してる?
城壁はともかく、
冒険者の連中が執拗にオレを攻撃していた理由が分かった。
あれを越えさせたくないんだ、と。
ふむ。
理由がまったく分からない。
確か『聖郭』って呼んでたな。
国境か何かか?
ニュースで見たアメリカとメキシコの国境みたいな?
それにしては壁が真っ白だが・・・
ダメだ。
冒険者達が必死だった意図が今一分からない。
情報が少な過ぎて。
情報収集が必要かもな。
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