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プロローグ

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 オレの名前は久佐くさレオン。

 久佐グループの創業一族にして、久佐グループの後継者である事が約束された本家の御曹司だ。

 父親は日本人だが、母親はフランス人。

 お陰でイケメンでもある。

 そのオレは名門高校に自家用車の車体の長いリムジンで通学してた訳だが、





 ドゴオオオオンっ!





 と横から凄い衝撃を受けて・・・





 ◇




 気付けば森の中に立っていた。

 うん?

 両腕を前に出してるが、

 何だ?

 肌の色、紫色と灰色の間っぽくないか?

 それに指がゴツゴツしてて、そもそも汚い。

 どうなってるんだ?

 声を出そうとしたら、

「アアァァァァ」

 としか喋れなかった。

 はい?

 何だ、こりゃ?

 と思ってると、視界に妙な生き物が横切った。

 緑色の醜悪な顔の小人で、耳は尖がってる。

 これって・・・ゴブリンだよな?

 エリートのオレはゲームやアニメなどは見ない。

 だが、まあ、その、何だ。

 エロ系のコミックは愛読してるのでな。

 ファンの漫画家が書いたファンタジー物の同人誌の所為で、元ネタをチェックする事になって、それでその知識があった。

 今のはゴブリンで間違いないだろう。

 女に悪戯する醜悪な存在。

 まあ、女の趣味は良くて、悪戯する相手はそそる美女ばかりなのだが。

 ふむ。

 夢か?

 それとも異世界転生って奴?

 となると・・・

 どうしてゴブリンはオレを見て素通りしたのか疑問が残るな?

 普通は襲ってくる凶暴な奴だろ?

 って事は、

 オレの今の姿はどうなってるんだ?

 気になって歩こうとしたらノロノロだった。

 はぁぁぁ?

 どうなってるんだ、これ?

 マジで?





 体感2時間の徒歩の後。

 オレはようやく森の中の泉に到着した。

 そして泉の水面を覗くと、

 金髪だったが禿げ始めてて、顔が溶けかけてる醜悪な顔がそこにはあった。

 肌の色も灰色と紫色の間っぽかった。

 衣服もボロボロっぽいし。

 ってか、これ、人間じゃないよな?

 ゾンビって奴か?

 ゾンビはアメリカ映画の知識だ。

 久佐グループは映画館も持っててな。

 無理矢理、ハリウッドのクッサイ人間ドラマのゾンビ映画を鑑賞させられたって訳さ。

 何だ、これ?

 何の冗談だ?

 普通・・・転生するならオレの配役は王子様だろうが?

 オレは人生勝ち組の久佐レオン様だぞ?

 信じられない。

 もしかして手違いか?

 それともイケメンのオレに怨みを持った存在による嫌がらせ?





 フッ。

 このオレがどんな種族だろうと選ばれし存在である事をその馬鹿に教えてやろうじゃないか。
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