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最後のフロンティア、半神へ昇華、はぁーっはっはっはっはっ
しおりを挟む夜這い。
それは男のロマン(身体は女だけど)。
夜這い。
それは神聖なる儀式(気付かれた後、相手の合意が得られればだけど)。
夜這い。
それは最後のフロンティア(自分で言ってて意味分からねえ)。
◇
そんな訳で、
オレは神界の神殿のベッドで横になる大地の女神ミーカルに近付いていた。
ここからは失敗は許されない。
さすがのオレも緊張でドキドキだぜ。
いいか。
邪念は捨てろ。
邪念が一番拙い。
相手は女神だ。
邪気の感知能力は半端ないからな。
そう、例えるなら、
朝食でパンに手を伸ばすように何気なく、例の女神の衣裳をズラして乳房を吸う。
もしくは花を愛でて匂いを嗅ぐように、女神の乳房を愛でて吸い付く。
えっ?
花を愛でた事なんてないだろうって?
いや、余計なツッコミは今はしてくれるなってっ!
マジでしくじったら洒落にならないんだからよっ!
相手は女神だぞ。
怒らせたらマジでヤバイんだから。
そうだ、邪な考えを捨てる為にも例えないと。
そう、例えるなら、
服に引っ付いたテントウムシを優しく指で摘まんで逃がしてやるように、女神の乳房の先を優しく指で摘まんで・・・
違うっ!
指で摘まんだらダメだろ。
吸うんだよっ!
目的は大地の女神ミーカルの乳房から神聖力を吸って、四半神から半神に種族昇華を果たす事っ!
これによってオレは更なる高みへといけるんだからっ!
「んん・・・」
ベッドで大地の女神ミーカルが艶めかしくオレを誘ってるが、誘惑に負けるな、オレっ!
そうだ、例えろ。
朝起きてカーテンを開けて朝日を浴びるかのごとく、女神の乳房を吸う。
おっと、室内には振り返るなよ。
ベッドに裸体の恋人が居るんだから。
飛竜を駆り、風と一体化したような爽やかな気持ちで、女神の乳房を吸う。
操縦席のレーサー乗りのアシュの尻は見るなよ、エロイんだから。
湯船に浸かって心をリフレッシュするかのごとく、女神の乳房を吸う。
周囲は見るなよ。
アシュやリラやシューが裸で汗を掻いてるんだから。
なんて考えてたら、奇跡的に大地の女神ミーカルにバレる事なくベッドまで辿り着けた。
オレはベッドに両膝を突いて上がり、両手を付いて、大地の女神ミーカルの衣裳をズラす。
そしてオレはチュウチュウと吸い付いたのだった。
ヤッタァ~。
この濃厚でまったりとしていながら、それでいて人間にも優しい神聖力。
本物だ。
そして大地の女神ミーカルの乳房に神聖力が戻ってる。
元々、四半神だから、後2回吸えば・・・
なったっ!
四半神から半神にっ!
とオレが感激した瞬間、
「・・・何をしてるの、アナタは?」
大地の女神ミーカルが眼を覚ましたのだった。
寝起きで不機嫌な大地の女神ミーカルに、
「おっ、起きた? この前の空中神殿の大地の女神ミーカルの一部の回収の褒美を貰ってるね」
オレは明朗に答えて、更に1回乳房を吸った。
「そうですか・・・」
上半身を起こしながら納得しかけた大地の女神ミーカルだったが、
「って、何をやってるんですかっ! 誰が許しました、そんな事っ!」
あぁ~あ。
やっぱりダメだったかぁ~。
突き飛ばされて引き離されましたぁ~。
細腕だけど相手の方がオレよりも力が強いから。
オレはベッドから落とされる。
オレが起き上がった時には衣装の乱れは直されていた。
「ああ、オレの乳房がぁ~」
「アナタのじゃないですっ! ってか、アナタ、もしかして、もう半神に・・・」
オレの種族転生に大地の女神ミーカルが気付いて驚いていた。
「まあ、そういう約束だったからな」
「誰が、いつ、約束したんですかっ!」
「いやいや、あの時、確かにしたでしょ?」
「ええっと」
さすがに覚えてたのか、不利な話題を変えるべく大地の女神ミーカルが、
「そもそも、どうやって神界まで? アナタは来れないはずでしょう?」
「それが偶然、神界への階段のある場所に辿り付きまして・・・」
とのオレの言葉で、事情を察したのか、
「神界への階段? 聖剣に残る古代人の残留思念の記憶を得たとそういう訳ですか? ですが、あのルートは結界で封鎖されてて通れないはず・・・何をやったんです?」
「大地の女神ミーカル様の祝福を溜めてる眼玉の操り人形からチョコっと失敬してたのを使って結界に隙間を・・・」
これは本当だ。
元々、道があったからあれだけの祝福で神界に来れたんだからな。
「信じられません」
呆れ果てる大地の女神ミーカルの前に移動したオレは神聖な儀式のように仰々しく跪き、
「大地の女神ミーカルの一の神族、魂の名はキルト・デルレーンのコピー、身体の名はロザリア・ローズレシア。以後は半神としてアナタ様に一層の信仰を誓いまする」
「本当でしょうね?」
「無論です。では早速、髪の毛を1本、下賜して下さい」
「髪の毛を? 何をするのです?」
「聖剣を鍛え直します。あの聖剣は力を失いましたので、力を戻そうかと」
「半神である自身の髪や爪を使いなさい。あの剣ではなく、巨大蜘蛛の牙剣を打ち直す事を推奨します」
チッ。
さすがに女神の髪の毛は無理か。
ガードが固いぜ。
女神の髪の毛1本でも凄い聖剣が作れたんだがなぁ~。
オレのを使うか。
「ははぁ~、助言ありがとうございます。総ては大地の女神ミーカル様の為に」
「調子のいい事を」
と呆れた大地の女神ミーカルは、
「もう神界へは来てはなりませんよ?」
「よっぽどの大役を命じられ、褒美を貰いに来る以外は決して」
オレは約束した。
「そこは『来ません』でしょ?」
「実はオレ、男になりたくて・・・」
「なったら、私を抱く気でしょうが」
「・・・否定はしませんが」
「否定しなさい」
「否定したら否定したで『私に魅力がないという事かしら?』って怒られますよね、こういう場合?」
「怒りません」
もはやオレに呆れ果てた大地の女神ミーカルが室内に転移門の裂け目を作った。
「さっさとお帰りなさい」
「ははっ!」
オレは返事をしてその転移門の裂け目に飛び込んだのだった。
ふぅ~。
上手くいったぜ。
敬語や様付け呼びを駆使した甲斐があったろ。
本来なら、吸った神聖力を奪い返されるところを。
煙に撒けたんだから。
そう、これでオレは、
四半神から半神へ。
もう誰もオレを止められないぜ。
はぁーっはっはっはっはっ。
◇
そんな訳で元の世界(まあ、オレからすれば別の世界だが)に戻ってきた。
『神界への階段のある場所』というのは比喩表現だ。
厳密には複雑怪奇な古代魔法陣で、その知識の事を指す。
どうしてそれを知ったかと言えば、
前回の聖剣に憑いていた古代人の怨霊の知識だ。
精神世界で倒したから運良く貰えた。
異形の怪物の知識は貰えなかったのに。
アイツの知識の方がマジの話、欲しかったんだが。
まあ、系統が違うからな。
そんな訳でオレが今居る場所は寝室だった。
フメミス王国の王都フメバーゼの貴族屋敷だ。
さすがはチップ上乗せ大会で王家秘蔵の『エンセレの炎槍』しか寄越さなかった渋チンのフメミス王国だろ?
宮殿に勇者のオレを泊めないんだから。
まあ、別にいいがな。
オレは今、頗る機嫌が良いから。
ベッドでは今夜の相手はリラが裸でベッドには眠っている。
茶褐色肌が妙にエロく見える。
それにしても・・・
半神か。
くっくっくっ、はぁーっはっはっはっはっ。
これでもう、オレのやりたい放題だぜ。
この世界の完全な勝ち組なんだからぁ~。
何せ、この半神ってのは種族の最高位だからなぁ~。
女神は神界。
こっちの世界には来られないんだからぁ~。
ヒャッホォーっ!
半神、最高ぉ~っ!
はぁーっはっはっはっはっ。
とりあえず、大地の女神ミーカルの力を使役する魔法だっ!
それを習得してやるぜ。
それでやりたい放題確定だっ!
はぁーっはっはっはっはっ。
これでもう、大地の女神ミーカルもオレを止められないぜぇ~っ!
はぁーっはっはっはっはっ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
地名。
王都フメバーゼ・・・フメミス王国の首都。
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