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【ガウニックside】世界の番人はもういない

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「ひぃぃぃぃぃぃぃ、えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」 





 投擲されたワシは風を切る凄い速度でギュイィィィィンッと飛んでた訳だが、

「【飛翔】、【浮遊】、【浮遊落下】、【減速】っ! ダメじゃ。魔法が使えんっ!」

 どういう原理か魔法が使えず、なすがままに飛ばされていた。

 飛ばされるのは別に良い。

 問題は着地である。

 そろそろ高度が下がってきて、

「マジでか。【障壁】、【身体強化】、【防御強化】、ダメじゃ」

 ワシは覚悟を決めると眼を瞑って、





 どしゃあああああああああああっ!





 と地面に突っ込んだのだった。

 ぬおおおお。

 痛過ぎるわいっ!

 ほれ、見よ。

 クレーターが出来ておるではないか。

 あの黒髪女、滅茶苦茶じゃわい。

 と周囲を見渡してワシは『拙い』と舌打ちした。

 眼の前に100メートル級の暗黒竜サバンキールが居たからだ。

 暗黒竜の住処じゃとぉぉぉぉっ?

 何してくれておるんじゃ、あの女ぁぁぁっ!

 ワシが内心で絶叫して動揺する中、

『おやおや、賢者様ではありませんか』

 人語を操って暗黒竜サバンキールが話し掛けてきた。

「うむ。久しぶりじゃな」

『気付いてるか? オレに掛かってた呪いが今し方解けた事に?』

「何?」

 あの女に塔が破壊されたからか?

『つまりはもう自由って事さ。とりあえず人間の癖に散々偉そうに命令したおまえは死ねっ!』

 そう言うと同時に暗黒竜サバンキールの口が開き、暗黒の竜息を、





 アギャアアアアアアアアアアっ!





 と吐き、魔法の障壁が使えないワシは一瞬で灰と化して死んだのだった。
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