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第6章 冬の乙女祭
どれだけお金を掛けたと思ってるのよ【ワーチャside】
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冬の優勝者の勝利者インタビューが始まり、
「優勝された今の率直な感想をどうぞ」
「嬉しいです。まさか、私が優勝出来るだなんて。声援を送って下さった皆さんには感謝しかありません。お陰で優勝する事が・・・」
エニスが答える中、我慢出来なかった私は思わず前に出て、
「待ちなさいよっ!」
と口を開いていた。
夏の乙女祭で優勝だったのに、冬の乙女祭で6位入賞どまりだったのも、怒りに拍車が掛かったんだと思う。
「ええっと、入賞された方のインタビューはこの後に・・・・・・」
入賞。
この私が。
「そうじゃなくて、おかしいじゃないの、そのドレスの色? どうして、そんなに色が変わるのよ? 何かズルしてるんじゃないの?」
私の指摘にエニスさんがキョトンとされた後、審査員長席に居た80代の温厚な学園長センセイが私を見ながら、
「エニスさんのドレスがピンク色に染まったのは魔力を見事に操作したからですよ、ワーチャさん。元来、大白揚羽の亜種の羽根は魔力を微量に流してピンク色に染めて着るのが昔は王道でしたけど、今はもうその使い手が居らず、赤色にしか染められず、真っ赤にしか色が変わらないと誤解されてるそうですがね」
そう説明した。
「でも・・・私のドレスだって・・・・・・」
どれだけお金を掛けたと思ってるのよ、このドレスにっ!
ランク【A】の大白兎の希少種の金毛の毛皮なのよっ?
「確かに綺麗ですが、どちらかを選ぶならばエニスさんですよ。客席からの声援も違いましたし」
大声援に驚いて出番前の私も袖から見てたからエニスが凄いのは知ってる。
そりゃ、あんなのを見せられたら誰だって声援を送るわよ。
「まだ何か?」
「いえ・・・」
私が引き下がると学園長センセイが頷き、司会の生徒が、
「では、優勝者のインタビューの続きを。学園長センセイがネタバラシをされましたが、ピンク色に染まったのは本当にそのような原理なのですか?」
「ええ、魔力を微量に流すとこのように染める事が出来ますわ」
またエニスが纏ってる純白のドレスをピンク色に染めて実演した。
「使い手が居ないと学園長センセイがおっしゃっていましたが、微量に魔力を流すのはそんなに難しいのでしょうか?」
司会のつまらない質問に対して、エニスが、
「そうですね。私のお姉さまは出来ましたけど、妹は出来ませんでした、とだけ答えておきましょうか」
その後も冬の優勝者のインタビューが長々と続き、敗北した私は殆どその後の記憶を覚えてはいなかった。
ミリアリリー女学園の乙女祭は学園内だけではなく、外にも影響力がある。
夏と冬の乙女祭の優勝者は平民でも玉の輿に乗れるくらいの。
夏の優勝者の私にも貴族様からの玉の輿の話が来ていた。
但し、冬の乙女祭が優勝の条件の。
だから借金して無理して高い素材を買って、ドレスを作ったというのに。
総てがパーになったわ。
私はガッカリと肩を落としながら、着替え部屋から出たのだった。
乙女祭の優勝を狙って無理して借金した子、私の他にも結構居ると思うわよ。
「優勝された今の率直な感想をどうぞ」
「嬉しいです。まさか、私が優勝出来るだなんて。声援を送って下さった皆さんには感謝しかありません。お陰で優勝する事が・・・」
エニスが答える中、我慢出来なかった私は思わず前に出て、
「待ちなさいよっ!」
と口を開いていた。
夏の乙女祭で優勝だったのに、冬の乙女祭で6位入賞どまりだったのも、怒りに拍車が掛かったんだと思う。
「ええっと、入賞された方のインタビューはこの後に・・・・・・」
入賞。
この私が。
「そうじゃなくて、おかしいじゃないの、そのドレスの色? どうして、そんなに色が変わるのよ? 何かズルしてるんじゃないの?」
私の指摘にエニスさんがキョトンとされた後、審査員長席に居た80代の温厚な学園長センセイが私を見ながら、
「エニスさんのドレスがピンク色に染まったのは魔力を見事に操作したからですよ、ワーチャさん。元来、大白揚羽の亜種の羽根は魔力を微量に流してピンク色に染めて着るのが昔は王道でしたけど、今はもうその使い手が居らず、赤色にしか染められず、真っ赤にしか色が変わらないと誤解されてるそうですがね」
そう説明した。
「でも・・・私のドレスだって・・・・・・」
どれだけお金を掛けたと思ってるのよ、このドレスにっ!
ランク【A】の大白兎の希少種の金毛の毛皮なのよっ?
「確かに綺麗ですが、どちらかを選ぶならばエニスさんですよ。客席からの声援も違いましたし」
大声援に驚いて出番前の私も袖から見てたからエニスが凄いのは知ってる。
そりゃ、あんなのを見せられたら誰だって声援を送るわよ。
「まだ何か?」
「いえ・・・」
私が引き下がると学園長センセイが頷き、司会の生徒が、
「では、優勝者のインタビューの続きを。学園長センセイがネタバラシをされましたが、ピンク色に染まったのは本当にそのような原理なのですか?」
「ええ、魔力を微量に流すとこのように染める事が出来ますわ」
またエニスが纏ってる純白のドレスをピンク色に染めて実演した。
「使い手が居ないと学園長センセイがおっしゃっていましたが、微量に魔力を流すのはそんなに難しいのでしょうか?」
司会のつまらない質問に対して、エニスが、
「そうですね。私のお姉さまは出来ましたけど、妹は出来ませんでした、とだけ答えておきましょうか」
その後も冬の優勝者のインタビューが長々と続き、敗北した私は殆どその後の記憶を覚えてはいなかった。
ミリアリリー女学園の乙女祭は学園内だけではなく、外にも影響力がある。
夏と冬の乙女祭の優勝者は平民でも玉の輿に乗れるくらいの。
夏の優勝者の私にも貴族様からの玉の輿の話が来ていた。
但し、冬の乙女祭が優勝の条件の。
だから借金して無理して高い素材を買って、ドレスを作ったというのに。
総てがパーになったわ。
私はガッカリと肩を落としながら、着替え部屋から出たのだった。
乙女祭の優勝を狙って無理して借金した子、私の他にも結構居ると思うわよ。
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