王立ミリアリリー女学園〜エニス乙女伝説〜

第５章 御前対校戦

道理で文句タラタラな訳ね【セーラside】

　御前対校戦で起こったアクシデント、ーーいえ、ヴァンパイア掃討作戦を見て、私は呆れていた。

　まあ、エニスさんの目的はお父様との会話を盗み聞きして知っていたのだけど・・・

　御前対校戦でまでヴァンパイア狩りをやるぅ？

　多分、お父様の差し金ね。

　陛下が居るんだもの。

　陛下の身の安全の為なら騎士団長のお父様は何だってやるわ。

　それでミリアリリー女学園経由でエニスさんを無理矢理、御前対校戦に出場させた、と。

　図式がはっきりして、寧むしろ、すっきりしたわ。

　道理で文句タラタラな訳ね、エニスさん。

「まさか、ヴァンパイアが５人も紛れてたなんてね。その内２人は選手って」

　とリンダさんが私に囁き、

「まだ紛れてるかもよ？」

　と私は軽口を叩いた。

　と言うか、どうやってヴァンパイアを見分けてるのかしら、エニスさんって？

　ニナさんの時同様、私には全く見分けが付かないんだけど。

　でも的確に５人を倒してる。

　人間だったら灰にはならない。

　倒した５人がヴァンパイアなのは確実だ。

　５人中２人は明らかに魔力が高かった。

　高位ヴァンパイアで間違いない。

　残る３人は雑魚っぽかったけど。





　すぐにミリアリリー女学園の生徒達が集まってる応援席が慌ただしくなった。

　応援席を走り回ってる情報屋、ーーコホン、じゃなくて、新聞部のメリッサさまが、

「エニスがヴァンパイアの件で騎士団から事情聴取を受けるとかで、次からは出場出来ないって話よ」

　と教えてくれた。

「へぇ～。で、代わりに急遽出場する選手を探してる、と？　誰が出るんです？」

　との私の問いに、隣に座るリンダさんが、

「そりゃ、私のお姉さまでしょ」

　誇らしげに胸を張った。

　ああ、右眼にアイパッチをした３年生の風紀委員。

「秋の乙女祭では惜しくもベスト16のーー」

「あれは前生徒会執行部が式典委員会とツーカーだったからでしょ？」

「まあ、そんな黒い噂もあったわね」

　私はそんな事を喋りながら他校の御前対校戦を観戦したのだった。