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第4章 私の記憶

20話 記憶の欠片

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 ザザァー...ザザァー...



.........。



「うかない顔してるね」



.........。



「さっき急に倒れたから心配したよ。もう大丈夫?」



.........。



「...?どうしたの?私の顔そんなに見て」












「あや」


「...え?」


「それが...君の名前でしょ?」


「......どうして?」


「聞いた」


「...そっか」



そう言うと、私の隣に座った。



「...なぁ、あや」


「何?」


「...アマンダは何処にいる?」


「.........」



黙ってしまった。聞いてはいけなかったか。



「別に言わなくてもいい。私はお前達を見つけることに越したことはない」


「...本当に?」


「あぁ。必ず見つける。だから待っていてほしい」


「...うん。待つよ。あの人と一緒に待つよ」



顔を見合わせ、笑顔で言う。



「...もうじき、この夢は閉じちゃう。お別れだね」


「また会えるさ」


「...そうだね」



__ピキっピキピキッ!



空にヒビが入り込んできた。
地面、それにあやにも...。
もうじき、この夢が終わるからだ。
...寂しいな。



その時、あやが飛びついてきた。



「...あや?」


「待ってるよ!だから...絶対に、見つけてね」



泣きながら話すあやをそっと撫でた。
絶対見つける。約束するよ。















...



......



.........「ご主人様!」



...クレア?



「我が主!目覚めましたか?」



...ブリザード?



「うわぁぁぁよかったでずぅぅぅ!!」



えっ?なになに!?なんでそんなに泣いてるの?!クレア!あと苦しいです!!



「ご主人様急に倒れるから心配したのでずよ!」



分かった!分かったから離して!くるじぃの!



「クレア、我が主が苦しそうに見えるのですが...」

「ハッ!つい...申し訳ありません」



あぁぁぁぁやっと解放された...。
クレアの馬鹿力のせいで危うく死にそうになるとかないわー。



「ケホッ...」

「うぅ...大丈夫ですか?ご主人様」

「...無事」

「うぅ~...申し訳ありませんご主人様」



まぁ心から反省してるようだし別にいいよ。
逆に反省してない奴はお仕置きやけどな。



「もうお体は大丈夫なのですか?我が主」

「あぁ。問題ない」

「では朝食はどうなさいますか?」

「要らない」

「昼食もですか?ご主人様」

「それは要る」

「分かりました」












昼になって昼食をとり、すぐに部屋に戻る。
1度確認したいことがあったからな。



「...有名人...ですか?」

「あぁ」



そう、この世界で有名な人又は、英雄とか知りたい。この世界のことをまだちゃんと知らないからな。



「知る限りでいい。なんでもいいから教えてくれ」

「う~ん...有名人ですか...勇者の名前は知っていますがそれでよろしいですか?」

「知っているなら聞きたい」

「仰せのままに。その勇者の名は、坂口 涼太さかぐち りょうたというそうです」

「坂口 涼太か...」

「お知り合いでしたか?」

「全く知らん」



クレアがガクッとした表情になっている。
だってー坂口なんて世界に1人だけじゃあるまいし、そもそも私に親しい人なんて家族くらいしかいなかったしな。

それにしても、勇者が坂口涼太ねぇ...。
名前からしておそらく男だろうな。勇者ねぇ...こき使われてそう。小説なんかだと王に騙されていたーとかそういう場面あったしな。そうならなければいいんだけどね。



「魔王の名は?」

「魔王の名は ハワード というそうです」



ハワード...確かアングロサクソン語だったかな?意味的には...『家の保護者』って魔王が過保護だって言ってるのと同じじゃん(笑)。



「魔王にはそれぞれ幹部が4人います。が、今は3人だと聞いております」



ん?3人?もう1人は?



「もう1人は去年、勇者に倒されたので今は3人です」



勇者に倒されたんだ...幹部Aさん...。



「幹部達が3人になったので今は活発な動きは見せないでしょう」

「何故?」

「魔王の幹部が3人ですと魔族の領域に入り込んでくる輩がいるのです。その為幹部達は自分達の村や同族を守るために守りに徹底する必要があるのです」



なるほどなるほど。
要は人手が足りなくなった所に人間からの襲撃、主に名誉や欲のためにやる奴ら、または勇者御一行が来るため守りに徹底し、次の幹部が決まるまで待つ...て感じかな?そして、幹部が4人揃ったら攻撃の開始...か。


魔王ハワードに勇者 坂口涼太ねぇ...。


勇者には会いたくないなー。
色々と面倒だし...コミュ力ないし...何より面倒だし。とりあえず、今集まった情報だと...魔王ハワードには幹部3人いて、勇者御一行は...アレ?勇者御一行は今何してるん?



「勇者達は何してる?」

「今はアズネカ帝国にて訓練をしているようです。元々、召喚した国がアズネカ帝国ということもありましてそこに留まっているようです。おそらく今の勇者達では魔王に対抗する手段がないのでしょうね」



うわおマジか帝国。
金持ってるのか、はたまた、召喚者が多いのか。それと、ここの世界での勇者ってのは元から強くてニューゲームじゃないんだな。

大抵のファンタジー世界ってのは元から強くてニューゲーム、あるいは1から強くなるゲームのどちらかだ。この世界だと後者の方に当たるんだな。











そして、ここからが本題...



なんで私が描いたオリキャラがいるの!!?



Why Japanese people!
なんて言ってる場合じゃないわっ!私!


マジ卍でこれはヤバい...。


頭の中で砂嵐が聞こえていた時に浮かんだあの面影...今でも脳裏に焼き付いてるから分かる。間違いない、アレはうちの子だ。だが何故この世界に存在しているんだ?あの子は空想上の存在のはず...なのに現実に存在している...。いや、まだきちんと自分の目で見てないから判断が出来ない、が...もし本当に



私ならどうする?



結論:会いに行った方がいい。
私が一番最初に描いたオリキャラ、名をアマンダ。そいつを放ったらかしにしておいたら大変なことになること間違いなしっ!それは描いただけが知っているから分かる...。まじで野放しにしておいたらって!マジ卍で!!(泣)はぁ~~~やっちまったよ...ホント何やってんだろワイ。なんであんな設定にしてしまったんだよ...昔の自分を恨むわマジ。





とまあ、会いに行くのはいいんだが...
もし戦闘になったら多分私死ぬ!!!





だってあいつの設定戦闘キャラで魔剣士だぞ!?しかも剣の達人!勝てるわけがねぇ...流石はうちの子、抜かりがないわ...。



「ご主人様。今後のご予定をお聞きしても?」

「......知人に会う」

「「知人??」」

「あぁ」

「その方はどこにいらっしゃので?」

「分からん」



真顔でそう答える他ない。
そーなんですよねー、会いに行くとしてもあいつどこにいるとか分からんもん!誰かあいつについて詳しく知ってる奴いないかなー?まぁそう簡単にいる訳.........あ、あーーーーー!いるいるいる!いるわ!が!



「クレア!」

「っ!どうかなさいましたか?」

「変なハーピィ...聞いたことあるか?」

「ヘン?なハーピィですか?いえ、ないです...」

「...ふむ」



ブリザードが口元に手を当て考え込む。
何やら知っている様子...



「あら?ブリザードは何かご存知なのですか?」

「えぇ、少しばかり変わった者でしてね」

「特徴分かる?」

「そうですね...20年ほど前になりますが、その時に私の親しい龍から聞きました。なんでも、ドラゴンの性質に興味が湧いて話しかけてきたという奴です。特徴は主に緑の羽で笑った顔をしていたようです」



......アハハハハ、はぁ、うん、そいつだわ。


 マジかァァァァァァァァ!!!??


うっそだろ!?あいついるのかよ!?
有難いような有難くないような...はぁ。
うわぁーん、もう黒歴史だぁー、爆発したい。(泣)でもあいつ以外にアマンダのことをよく知ってるやつなんていないし...行かなあかんわ...。



「...居場所分かる?」

「南西にある森に住んでいます」

「となると、アズネカ帝国とコルステ王国の間にある、ラルフの森ですね。ですが、あそこはケルベロスの住処ですよ?そのような所に住んでいるのですか?ブリザード」

「その者なら龍1匹程度殺せますから大丈夫でしょう」

「っ!!それは本当ですか!?」

「私が嘘をついたことがありますか?」

「...いえ、ですが本当にハーピィが龍を殺せるのですか?ハーピィはあまり戦闘に特化した種族ではないと思いますが...」

「あなたの言う通りハーピィというのはそこまで戦闘種族ではありません。どちらかといえば援護に特化した種族。だが、あの者は違う。自ら前線に行き戦う、それが奴の戦い方だ。最初は私も疑った。だが、龍のを見て納得した。体には鉤爪の痕に、切られた尾、奴は只者ではない...」



まぁそういう風に設定したからね...。
只者ではないっすわ。



「本当にその者と会うのですか?我が主」

「行く、が...」

「「?」」



言ったら怒りそうだけど...言わなかあん!















「私だけ行く」

「「!!?」」

「それはなりません!ご主人様!守るべき人がそこに行くというのならついて行くのが従者という者!それがメイドなら尚更の事です!!」



それはお前の格好がメイドなだけだろ。(真顔)



「クレア、落ち着け」

「嫌です!!」



お前は本当に子供だな!?



「いいから、理由を聞け」

「.........」



明らかに拗ねてる...はぁー...。
あら?ブリザードはやけに冷静だな。
いつもなら...なりません!...とか言うのに。



「......ブリザードはなんでそんなに冷静なんですか?」

「我が主の判断が正しいと思ったまでですよ」

「...?どういうことですか?」

「先程の話聞いてましたか?」

「???」

「はぁ...いいですか?奴はドラゴンに興味があって我々の縄張りに入り、尚且つ我が同胞を殺し、そこから逃げた。と話しましたの覚えてますか?」

「えぇ、ですがそれが何ですか?」

「「...」」



えぇー...まだわからん?



「はぁ...単刀直入に申し上げますと、龍である私が行ったら...奴に殺されます」

「っ!?あなたがですか!?」

「まだ分かりませんが、おそらく死ぬでしょうね。それに、我が子をそのような者に会わせたらどうなるか...」

「あっ...」

「やっとお分かりになりましたか?」



そうなんだよなぁ...あいつの設定の1つ...












 マッドサイエンティスト











あぁ~...今更後悔しても遅いわ。
マージーで何やってんだ私ぃーーー!!!



.........



うだうだやっていても仕方ない。
さっきブリザードが言ったようにこいつらを連れていくとアイツの実験材料にされそうで怖いからここに置いていこうとしたんだ...。あーあ、自分で設定した奴がこうも実現するとはね...ハハ、冗談超えて笑えねぇよ!どうせ空想だから大丈夫だと思って変にアレンジしまくったんだよなぁ...。



ってちょっと待った。












...私のオリキャラ...いたっけ?



アマンダのことに関する記憶は大体戻ったんだが、その他のことについてはさっぱりなんだよなぁ。例えばさっきハーピィって種族名で呼んだのも、がハッキリと分からないからだ。種族は分かったけど、名前がうまく思い出せない...。


そして、困ったことに...


おそらく私が創った子達...最低10人はいる。
オマケに、まともな奴が誰一人としていないっ!!いやぁ、変にした方が面白みがあると思って...やっちまったよ。



「...ご主人様」



クレアが弱音を吐くようにして言う。
その瞳は何処か寂しげな所を思わせる...って
 お前は犬かっ!!!



「...必ず戻る」

「本当ですか?」

「本当」

「...分かりました。お気をつけて」

「あぁ」



クレアの頭をポンポンとした。
さてと、なら行きますかね。











宿の玄関に出る。
クレアとブリザードが見送ってくれるそうだ。



「今行かれるので?」

「あぁ」



事は急なのでね。早めにアマンダを見つけたいしな...。無事だといいが...。



「ご主人様、絶対に帰ってきてくださいね?」

「約束する」



クレアにそう強く言った。
すると、無邪気な笑顔で微笑んだ。
それにつられて私の顔も、少しばかり微笑んでしまった...一生の不覚かも...。



「じゃ、行ってくる」

「「行ってらっしゃいませ」」



別れの挨拶をし、旅立つ。





















さぁ目的地は ラルフの森 !!
いざ レッツゴー!



























一方その頃...
____________________


 空は悪天候 地は枯れ果てた大地


 その地にて 一つだけ気高く佇む屋敷


 それを皆 魔王城と呼ぶ


 その魔王城にて__



「__幹部が決まった」



玉座の間にて、幹部3人に魔王ハワードが放つ。



「王よ!それは誠ですか!?」



幹部の1人である男 キュロス が言う。
魔族の中で、最も王に忠義を尽くす闘牛。
闘牛と言っても、頭に牛角と尻尾を持つ人型。魔族の中で彼は最強の怪力を誇る魔族将軍だ。魔王の力を持ってしても、腕の骨を折られるだろう...。



「誠である。したがって、ここに呼び出した」

「魔王様、1つ伺っても?」



幹部のうち1人の冷酷な女 ネシャル 
魔族の中で知力と高魔力を持つ吸血鬼。



「許す。なんだ?」

「そのような者、私が知る限りここには居ないと存じますが...」

「ここにいる者では無い奴だ」

「「「!?」」」



驚くのも無理はない。
奴はから来たのだからな...。



「魔王様ぁ質問いいですかぁ?」



最後になった幹部のうち1人の男 ラギ
魔族の中で精神系魔法に特化した睡魔だ。



「なんだ?」

「その者はぁ信用出来るのですかぁ?」

「無論だ。既に契約済みだ」



 悪魔の契約
それは自らの血で行う儀式
自らの血を犠牲にする代償の代わり
契約者に絶対服従をするという効力がある。
対象が人間の場合、命を頂く。



「早速紹介しよう。出てこい」



右手にある契約の印から悪魔を呼び出す。
そこから出できたのは__










「パンパカパーン!魔法魔族少女、リンミンだよぉー!ハイ拍手ー!パチパチパチ」










顎にピースサインをしてポーズをとってやって来たのは、リンミンという名のサキュバス。



「「「「...」」」」

「あれあれ?すべっちゃった?滑っちゃったのかな??んん?おかしいなぁ~これならイけると思ったのになぁ~」

「リン」

「ハイホイサー、魔王様どした?」

「...少し黙れ」

「んんーんんんん?んんんーんんーんんん?(これでよろしおす?あらこれ喋れてる?)」

「...リン、ここにいる幹部3人がお前の仲間だ。以後協力し合うように」

「んんーんんん!(リョーかいっボス!)」



リンミンという名のサキュバスは了解の意を送った。











(((こいつ...アホだ...)))



幹部3名はそう思ったのであった。

               続く
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