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<第二巻:温厚無慈悲な奴隷商人>

第六話:奴隷商人はチョルル村を目指す①

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 屋敷を出た俺たち一行は、まず王都ダバオへと向かった。

 近頃、国内辺境の地域での無許可奴隷売買を行っている輩が増えている。
 その取り締まりの強化を願う上申書を王都へ提出するためだ。

 上申書は、王都の商人ギルドを通じ、元老院へ手紙を送ってもらうことにした。
 俺が、文官に会って話をすることも、元老院に行き直接訴えることもない。
 正直、ほっと胸を撫で下ろした。

 ずいぶん異世界こちらに来てから、人と会話ができるようになったが、まだ知らない人との会話は緊張する。
 この知らない世界に来て奴隷商人の若旦那と言われるようになっても、心は元のヘタレのままなのだ。
 王都で交渉なんて、難易度が高すぎるだろう。

 王都を出ると、その足でトラ柄の奴隷商の親分に会いに、チョルル村を目指した。
 名前はたしかトラファさんだっけ。
 トラ柄の服着たトラファさんって覚えやすくていいぞ。

 なんでも、トラファさんが仕入れた女奴隷が死にたがっているらしく、目を離すと自殺しようとするらしい。
 俺は、なぜ死にたいのか聞いてみたいと思ったのだ。俺の所の奴隷たちは死のうとする者がいない。
 新しく売られて着た奴隷たちも、初めは恐怖で顔を歪め、目は死んだ魚のように光がなく、絶望してはいたが死のうとした者はいなかった。

 それほど、人は絶望の縁に立っていても死にたいとは、なかなか思わないのではないかと思っている。
 だから、その奴隷が死にたがる理由わけが知りたいと思った。どんな理由で死にたがるのか。

 王都からチョルル村まで、馬車で二日ほどかかる。
 もう少し早くも行けるのだが、なにしろ舗装された道路ではなく土の道路。サスペンションなどない馬車の車輪は、容赦無く胃を突き上げる。
 俺に長時間の馬車での移動は無理。車酔いしやすいタイプだからね。
 マリレーネは、平気な顔をしている。
 三半規管が発達しているのか、俺のほうが衰えているのか。


 俺は屋敷を出てから、ずっと気になっていたことを聞いた。
 この馬車は四人掛けだ。それなのに、俺の隣同士に座るでもなく、対面に座るわけでもなく、マリレーネは俺の斜め向かいに座っていた。

「マリ。どうしてその位置に座ってるんだ?」

「あ、……隣に座るのは失礼かなって。対面だと旦那様が足を伸ばせないから……」

「なんだ気を使ってたのか。てっきり嫌われているのかと思ったぞ」


 真っ赤な顔をして、違いますっ!と否定したマリレーネは、俺のほうをチラチラと見て言った。

「あの、お側によってもいいんですか? その、隣とかでも……」

「いいぞ。こっちに来い」

「ほんとですかー!」

 嬉々として、俺の隣に座ったマリレーネは不自然なくらい体を引っ付けて座った。体温が伝わってくる。
 正直暑い。

「そんなに引っ付くと暑いんだが」
「あわわわっ、すみません! ついうれしくって」

 自然な笑みを浮かべて、目をキラキラさせたマリレーネを見ると、暑くても我慢しようかと思ってしまう。
 金髪に猫耳、クリッとした瞳に長い睫毛。まごうことなき美少女だ。
 腕に押し付けられたおっぱいは、布地を通しても柔らかい弾力が感じられる。

 そっと、ブラと胸の間に指を差し込むと、指先にコリっとした感触が当たった。お豆さんだ。

「だ、旦那さま……どうしちゃったんですかぁ」

「マリのおっぱいがあまりに可愛いから触りたくなった」

「ええええっ、かわいいですか。こんな大きいばかりのおっぱいが……かわわわっ、かわいいって初めて言われました」

「そうか? ほら、このへんとか……」

ブラ紐をズラすと、ぶるんとビックリ箱のように飛び出すおっぱい。

「大きいだけなんてとんでもない。この中には夢と希望が詰まってるんだ」

 自分で言っておいてなんだが、さすがにベタすぎるか。

「夢と希望……? だから旦那様はいつもおっぱいを吸うんですね」

 おっぱい吸って夢と希望のおすそ分けか……。

「そうだ。マリの夢をたくさん吸って、俺の夢を叶えてもらいたい」

「あはっ! ウチの夢が叶うんじゃないんだ……。でも旦那様がお望みならいいですよ。吸ってください」


 どうぞどうぞと進められると、急に興味がなくなってしまうもんだが、なぜか吸い寄せられるように吸い付いた。

「あんっ、旦那さま……そんな、チューチュー音立てたら、外の冒険者の人に聞こえてしまいます」

「大丈夫だ。マリも声を出してはダメだぞ」

「はい……」


 両手で口を自ら塞ぐと、顔を横に向けたマリレーネは、俺が先端を摘まむとビクンと震えた。
 感度がいいようで、くぐもった声がかすかに聞こえる。
 口を塞いでいても漏れ出る歓喜の声に、興奮してきた。

 もう片方の乳房をブラから取り出すと、手のひら全体で掴み、こねくりまわす。
 柔らかいがゴムボールのような弾力もある。

「あんっ、旦那さま……そ、そんなにされちゃうと、声が……がまんできない……」

 それから、しばらくマリの大きなおっぱいを堪能させてもらった。

「満足した。悪いなマリ、こんな場所で」 

「ううん、なんだかウチ、とっても幸せな気分でした」

 えへっと頬を赤らめて笑顔になるマリレーネの頭を撫でてやる。いい子だ。


 俺たちが衣服の乱れを直すとすぐ、馬車は止まった。
 今夜宿泊する宿場町に着いたようだ。

「俺は宿へ先に入る。マリは、護衛の冒険者たちに今夜どうするのか聞いてこい」

 俺たちが乗る馬車の他に、荷車を引いた馬車が一台。
 これには俺やマリレーネの着替えなども積んでいた。
 それとトラファさんへの手土産も買ってきている。
 こういう、気配りは元いた世界では当然のことだが、こちらでは通用するだろうか。

 贈られて困るような物は持ってきていない。むしろ、トラファさんなら喜んでくれるだろう。

 石造りの二階建ての宿は、老舗なのか外観も豪華だったが、内装もよく手入れをされていてきれいだ。

 宿屋の主人に俺たち以外に冒険者の分の部屋代を払うと、部屋へと案内された。
 この辺り、元いた世界の旅館のようだ。

 俺とマリレーネは同じ部屋に泊まり、護衛はランクの低い下の階の部屋へと入って行った。

 この宿場町で最高級の宿だそうで、調度品もそれなりに高級そうだし、なによりベッドが大きかった。
 トイレに風呂も部屋に完備されている。

 俺がトイレをすませると、マリレーネも急いで用を足しに入った。
 我慢していたのか、ジョボボボッ! と思いっきり出しているのが聞こえて失笑した。

 マリレーネには、まだまだレディーになるための訓練が必要だな。


 その後、荷物を運び込ませるとマリレーネを伴って食事を取りに酒場へと向かった。
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