47 / 97
<第二巻:温厚無慈悲な奴隷商人>
第六話:奴隷商人はチョルル村を目指す①
しおりを挟む屋敷を出た俺たち一行は、まず王都ダバオへと向かった。
近頃、国内辺境の地域での無許可奴隷売買を行っている輩が増えている。
その取り締まりの強化を願う上申書を王都へ提出するためだ。
上申書は、王都の商人ギルドを通じ、元老院へ手紙を送ってもらうことにした。
俺が、文官に会って話をすることも、元老院に行き直接訴えることもない。
正直、ほっと胸を撫で下ろした。
ずいぶん異世界に来てから、人と会話ができるようになったが、まだ知らない人との会話は緊張する。
この知らない世界に来て奴隷商人の若旦那と言われるようになっても、心は元のヘタレのままなのだ。
王都で交渉なんて、難易度が高すぎるだろう。
王都を出ると、その足でトラ柄の奴隷商の親分に会いに、チョルル村を目指した。
名前はたしかトラファさんだっけ。
トラ柄の服着たトラファさんって覚えやすくていいぞ。
なんでも、トラファさんが仕入れた女奴隷が死にたがっているらしく、目を離すと自殺しようとするらしい。
俺は、なぜ死にたいのか聞いてみたいと思ったのだ。俺の所の奴隷たちは死のうとする者がいない。
新しく売られて着た奴隷たちも、初めは恐怖で顔を歪め、目は死んだ魚のように光がなく、絶望してはいたが死のうとした者はいなかった。
それほど、人は絶望の縁に立っていても死にたいとは、なかなか思わないのではないかと思っている。
だから、その奴隷が死にたがる理由が知りたいと思った。どんな理由で死にたがるのか。
王都からチョルル村まで、馬車で二日ほどかかる。
もう少し早くも行けるのだが、なにしろ舗装された道路ではなく土の道路。サスペンションなどない馬車の車輪は、容赦無く胃を突き上げる。
俺に長時間の馬車での移動は無理。車酔いしやすいタイプだからね。
マリレーネは、平気な顔をしている。
三半規管が発達しているのか、俺のほうが衰えているのか。
俺は屋敷を出てから、ずっと気になっていたことを聞いた。
この馬車は四人掛けだ。それなのに、俺の隣同士に座るでもなく、対面に座るわけでもなく、マリレーネは俺の斜め向かいに座っていた。
「マリ。どうしてその位置に座ってるんだ?」
「あ、……隣に座るのは失礼かなって。対面だと旦那様が足を伸ばせないから……」
「なんだ気を使ってたのか。てっきり嫌われているのかと思ったぞ」
真っ赤な顔をして、違いますっ!と否定したマリレーネは、俺のほうをチラチラと見て言った。
「あの、お側によってもいいんですか? その、隣とかでも……」
「いいぞ。こっちに来い」
「ほんとですかー!」
嬉々として、俺の隣に座ったマリレーネは不自然なくらい体を引っ付けて座った。体温が伝わってくる。
正直暑い。
「そんなに引っ付くと暑いんだが」
「あわわわっ、すみません! ついうれしくって」
自然な笑みを浮かべて、目をキラキラさせたマリレーネを見ると、暑くても我慢しようかと思ってしまう。
金髪に猫耳、クリッとした瞳に長い睫毛。紛うことなき美少女だ。
腕に押し付けられたおっぱいは、布地を通しても柔らかい弾力が感じられる。
そっと、ブラと胸の間に指を差し込むと、指先にコリっとした感触が当たった。お豆さんだ。
「だ、旦那さま……どうしちゃったんですかぁ」
「マリのおっぱいがあまりに可愛いから触りたくなった」
「ええええっ、かわいいですか。こんな大きいばかりのおっぱいが……かわわわっ、かわいいって初めて言われました」
「そうか? ほら、このへんとか……」
ブラ紐をズラすと、ぶるんとビックリ箱のように飛び出すおっぱい。
「大きいだけなんてとんでもない。この中には夢と希望が詰まってるんだ」
自分で言っておいてなんだが、さすがにベタすぎるか。
「夢と希望……? だから旦那様はいつもおっぱいを吸うんですね」
おっぱい吸って夢と希望のおすそ分けか……。
「そうだ。マリの夢をたくさん吸って、俺の夢を叶えてもらいたい」
「あはっ! ウチの夢が叶うんじゃないんだ……。でも旦那様がお望みならいいですよ。吸ってください」
どうぞどうぞと進められると、急に興味がなくなってしまうもんだが、なぜか吸い寄せられるように吸い付いた。
「あんっ、旦那さま……そんな、チューチュー音立てたら、外の冒険者の人に聞こえてしまいます」
「大丈夫だ。マリも声を出してはダメだぞ」
「はい……」
両手で口を自ら塞ぐと、顔を横に向けたマリレーネは、俺が先端を摘まむとビクンと震えた。
感度がいいようで、くぐもった声がかすかに聞こえる。
口を塞いでいても漏れ出る歓喜の声に、興奮してきた。
もう片方の乳房をブラから取り出すと、手のひら全体で掴み、こねくりまわす。
柔らかいがゴムボールのような弾力もある。
「あんっ、旦那さま……そ、そんなにされちゃうと、声が……がまんできない……」
それから、しばらくマリの大きなおっぱいを堪能させてもらった。
「満足した。悪いなマリ、こんな場所で」
「ううん、なんだかウチ、とっても幸せな気分でした」
えへっと頬を赤らめて笑顔になるマリレーネの頭を撫でてやる。いい子だ。
俺たちが衣服の乱れを直すとすぐ、馬車は止まった。
今夜宿泊する宿場町に着いたようだ。
「俺は宿へ先に入る。マリは、護衛の冒険者たちに今夜どうするのか聞いてこい」
俺たちが乗る馬車の他に、荷車を引いた馬車が一台。
これには俺やマリレーネの着替えなども積んでいた。
それとトラファさんへの手土産も買ってきている。
こういう、気配りは元いた世界では当然のことだが、こちらでは通用するだろうか。
贈られて困るような物は持ってきていない。むしろ、トラファさんなら喜んでくれるだろう。
石造りの二階建ての宿は、老舗なのか外観も豪華だったが、内装もよく手入れをされていてきれいだ。
宿屋の主人に俺たち以外に冒険者の分の部屋代を払うと、部屋へと案内された。
この辺り、元いた世界の旅館のようだ。
俺とマリレーネは同じ部屋に泊まり、護衛はランクの低い下の階の部屋へと入って行った。
この宿場町で最高級の宿だそうで、調度品もそれなりに高級そうだし、なによりベッドが大きかった。
トイレに風呂も部屋に完備されている。
俺がトイレをすませると、マリレーネも急いで用を足しに入った。
我慢していたのか、ジョボボボッ! と思いっきり出しているのが聞こえて失笑した。
マリレーネには、まだまだレディーになるための訓練が必要だな。
その後、荷物を運び込ませるとマリレーネを伴って食事を取りに酒場へと向かった。
0
お気に入りに追加
897
あなたにおすすめの小説
秋津皇国興亡記
三笠 陣
ファンタジー
東洋の端に浮かぶ島国「秋津皇国」。
戦国時代の末期から海洋進出を進めてきたこの国はその後の約二〇〇年間で、北は大陸の凍土から、南は泰平洋の島々を植民地とする広大な領土を持つに至っていた。
だが、国内では産業革命が進み近代化を成し遂げる一方、その支配体制は六大将家「六家」を中心とする諸侯が領国を支配する封建体制が敷かれ続けているという歪な形のままであった。
一方、国外では西洋列強による東洋進出が進み、皇国を取り巻く国際環境は徐々に緊張感を孕むものとなっていく。
六家の一つ、結城家の十七歳となる嫡男・景紀は、父である当主・景忠が病に倒れたため、国論が攘夷と経済振興に割れる中、結城家の政務全般を引き継ぐこととなった。
そして、彼に付き従うシキガミの少女・冬花と彼へと嫁いだ少女・宵姫。
やがて彼らは激動の時代へと呑み込まれていくこととなる。
※表紙画像・キャラクターデザインはイラストレーターのSioN先生にお願いいたしました。
イラストの著作権はSioN先生に、独占的ライセンス権は筆者にありますので無断での転載・利用はご遠慮下さい。
(本作は、「小説家になろう」様にて連載中の作品を転載したものです。)
漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?
みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。
なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。
身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。
一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。
……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ?
※他サイトでも掲載しています。
※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
身バレしないように奴隷少女を買ってダンジョン配信させるが全部バレて俺がバズる
ぐうのすけ
ファンタジー
呪いを受けて冒険者を休業した俺は閃いた。
安い少女奴隷を購入し冒険者としてダンジョンに送り込みその様子を配信する。
そう、数年で美女になるであろう奴隷は配信で人気が出るはずだ。
もしそうならなくともダンジョンで魔物を狩らせれば稼ぎになる。
俺は偽装の仮面を持っている。
この魔道具があれば顔の認識を阻害し更に女の声に変える事が出来る。
身バレ対策しつつ収入を得られる。
だが現実は違った。
「ご主人様は男の人の匂いがします」
「こいつ面倒見良すぎじゃねwwwお母さんかよwwww」
俺の性別がバレ、身バレし、更には俺が金に困っていない事もバレて元英雄な事もバレた。
面倒見が良いためお母さんと呼ばれてネタにされるようになった。
おかしい、俺はそこまで配信していないのに奴隷より登録者数が伸びている。
思っていたのと違う!
俺の計画は破綻しバズっていく。
かつてダンジョン配信者として成功することを夢見たダンジョン配信者マネージャー、S級ダンジョンで休暇中に人気配信者に凸られた結果バズる
竜頭蛇
ファンタジー
伊藤淳は都内の某所にあるダンジョン配信者事務所のマネージャーをしており、かつて人気配信者を目指していた時の憧憬を抱えつつも、忙しない日々を送っていた。
ある時、ワーカーホリックになりかねていた淳を心配した社長から休暇を取らせられることになり、特に休日に何もすることがなく、暇になった淳は半年先にあるS級ダンジョン『破滅の扉』の配信プロジェクトの下見をすることで時間を潰すことにする.
モンスターの攻撃を利用していたウォータースライダーを息抜きで満喫していると、日本発のS級ダンジョン配信という箔に目が眩んだ事務所のNO.1配信者最上ヒカリとそのマネージャーの大口大火と鉢合わせする.
その配信で姿を晒すことになった淳は、さまざまな実力者から一目を置かれる様になり、世界に名を轟かす配信者となる.
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる