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いつかは辿り着く

全く休まらない

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視界が全て白く染まり、意識が朦朧とし始める。さっきとはまた違った意味で、俺はもう二度とこいつらから離れられないんだろうなとぼんやりと考えながら意識が途絶えた。

……

…………

……………………

「……おい! ハジメくんとそこの……スタッフォード二号! 大丈夫か?」

「その命名落ち着きませんね」

「えっと、ハジメくんから出て来たスターのそっくりさんも大丈夫?」

「ついでに兄貴も大丈夫か?」

なんだか眩しい。目を覆いながら目を開けたと同時に意識がはっきりしていくのを感じた。アイツらは光の速さでそれに気がつく。

「は、ハジメくん!? 」

「天使様!!! よかった……本当によかった……」

「……ん? 俺向こうの世界にちょっとだけ帰ってて……寝てた?」

ベットで寝てんのに疲労感がえげつねえ。そして腕に変な感触がある。むにっとした、柔らかいような硬いような。布団を捲って確認すると、そこには丸くなってすやすやと眠る虎杖がいた。こいつの呑気な寝顔を見た瞬間雷に打たれたような衝撃が走る。

そうだ完璧に思い出したぞ。虎杖が付いてきてしまったんだ。一応最終的に俺も乗り気になったけれども、いっそのことこの世界で揉まれれば奥手な上にヤンデレも入ってた虎杖も一皮剥けるだろ的な考えを持ってな。とにかく俺のことをずいぶん心配してくれたスター達に方へ向く。

「えっとその……ありがとう。ただいま」

素直じゃない自分が口に出して言える、精一杯の感謝の言葉。俺にとっちゃとても恥ずかしい言葉だけど口にすればとても短い音の響き。けれどそれを聞いたアイツらは一斉に笑顔になった。ああ、本当に俺、こいつらに出会えてよかった。これも声に出して見ろと言われたら照れ隠しを込めて投げやり気味になってしまう言葉だ。

「えっと……狐の面の人もありがとう」

「おう。後で兄貴に伝えとく」

ブルーブックが兄というその人は俺を助けるために力を使いすぎたのかぐったりとブルーブックの肩に体重をかけ倒れ込んでいる。学園長が運ぶのを手伝うから後はごゆっくりと気を使ってくれた。……ひょっとしたら虎杖という想定していない存在を連れてきてしまったことで余計声聞してしまったのやもしれない。そうだった場合は後日虎杖共々深く頭を下げよう。

ブルーブック達が狐面のお兄さんをおぶってって暫く。すっかり体の感覚を思い出した俺がもう時間は昼の12時であること、今日と明日は大事をとって休暇にしてあることなどを知った頃。俺のベッドのもう一つの膨らみがもぞもぞと動き始めた。

「あ、虎杖」

「おはよう、スターのそっくりさん」

「んん……」

ボケーとした虎杖は目を擦ると周りを見渡す。イケメンでもこんなだらしない顔すんのね。まあそれを言っちゃ天使様と叫びながら顔芸を披露し続けるスターの立つ瀬がなくなってしまうから内緒だけれど。そして俺を見つけると、がばっと抱きついてくる。……え? 何これ? なんでこいつ俺に抱きついてんの?

「あ、あの……虎杖?」

「……んふふー」


ダメだこいつまだ寝ぼけてやがる。俺と虎杖以外の4人がすごい顔でコチラを見てくる。やめろそんな目で見るな。違う、俺が望んでこうなったんじゃない。仕方ない口撃して無理やり起こしてやるか。

「おい……いい加減に離れろ!」

「ぎゃぁ!? ……あ、ごめん。つい……」

「ったくもう。おら自己紹介だ。しっかりしろよ」

「……ん?」

「お前が寝ぼけて抱きついてきたおかげで早速注目の的だぞ。ほれ早く自己紹介」

虎杖は周りを見渡して状況を把握したらしく、さっきの寝ぼけた顔が嘘のようにキリッとした顔になった。こいつほんと外面だけはいいな。俺みたいに人当たり悪すぎかつなぜか可愛いと言われるよりマシかもしれないけど。後そんなに取り繕ったところでもうお前は引き返せないところまで来ているぞ。いまさっき寝ぼけてたせいで。

「えっと、初めまして!僕は逆陸虎杖です! 好きな食べ物は卵焼きと寄せ鍋と唐揚げで、趣味は朝日奈さん観察日記をつけることです!」

「あ、はい……」

「どうも」

「すげーな。ハジメってば元いた世界でもモテモテじゃん」

「嬉しくないタイプのモテ方だけど」

「はっはっは。どうもどうも……あれ? 一くんどうして僕と目を合わせてくれないの?」

「……イケメンが俺のせいでお笑いキャラになっていくのを直視できない」

「天使様!?」

天然であの発言をした虎杖。急に変な罪悪感をひっさげて発作を起こした俺。それらに困惑する面々。帰ってきたばかりだというのに如何にもこうにも休まりそうもない。
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