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もはや辿り着けない
遂に会合
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応答したその瞬間にスピーカーモード並みの音量で声が流れ出す。普通の電話よろしく耳元に当たる寸前だったから本当にビックリした。一切の自重を挟まない大音量。当然の話だが目の前で呆気に取られている虎杖にも余裕で筒抜けだ。
『『「「聞こえていますか! アサヒナ・ハジメ、天使様!! ご無事ですか?!」」』』
声の主はスターだった。多分お互いに色々聞きたいことがありすぎる状況だ。俺としてはさっきのスマホ光るやつなんだよ。そもそもいつのまにかポケットにスマホ入ってた(普通に部屋に起き忘れたと思ってた)事への説明。そもそもここどこで今どう言う状況なんだ。
『『天使様!? やっと繋がりました!』』
「なんで着信の時にスマホ光ったんだ?」
『『お怪我はございませんか? その他体調不良はありませんか?』』
「ってかいつの間にかポッケに入ってたんだけど」
『『何時間も何回も試してようやく繋がった……よかった。本当に良かった……』』
「そもそも俺は今どういうことに巻き込まれてんの?」
『スター、泣きすぎだ。もう会話が成立してねえ』
『泣いてへんくても成立しとらんけどな』
「あーあといつお前と電話番号交換した?」
『……情報収集目的でカメラオンにしとこか』
大方の予想通り互いに疑問文を投げかけあった結果これ以上無いほどの低レベルな話の平行線が出来てしまった。そんでもって無駄に声でけえな。寧ろよくぞ俺の声はかき消されていないものだと感心した。そしてしばらくすると向こうのカメラモードがオンになったんだろう。無事にコイツらの顔が映し出され、俺もそれに便乗する形でカメラをオンにした。
しかも声が聞こえたJBと学園長は勿論アナやジョセフにブルーブックまだいるじゃねえか。オールスターかよ。後ろにもう一人いる現在必死こいて魔法陣に魔力を注ぎながら魔術を使ってくれている狐面の男については是非説明してもらいたい。あとシンプルにどういった状況なのか説明してくれないだろうか。
『え~とにかく恐ろしいぐらい話が噛み合ってない。とにかく一旦落ち着こう』
『『確かにな。わかった!』』
『あと癖になっちゃってるけど声のトーン下げたほうがいいよ。これ以上叫んだら喉痛めちゃうよ』
アナの助言により今度はめちゃくちゃ小さな声で「ワカッタ」と返事をするスター。どうやら声量の調整の仕方を完璧に忘れ一か百しか無くなってしまったようだけどそれに関してはこれから自分でなんとか調整してもらうとして。こちらはそれどころでは無い。早くどういう状況なのかを説明してほしかった。
『あーそれな。どない説明すればええんかちょっと迷うけど、端的にいうとこのままやとハジメは死ぬ』
は? 死ぬとかあんの? いや確かに透明人間って実質幽霊じゃんとか心のどこかで思ってたけどマジで死ぬの? なにがどうなって……いいやそんな専門的な魔術の話に素人の深入りしても仕方がない。
『とりあえずちょっと大きめの魔術で俺たちの世界と初めの世界を繋いでいる。助けるために電話をかけた。あたり把握してきゃ問題ないから』
「……生き残ったら詳細をわかるように教えてくれ」
『りょーかい』
「……待ってよ。朝日奈さん」
話を進めようとしたタイミングで冷静さを取り戻した虎杖にスマホを奪われた。思わず「あ!」と大きな声で言ってしまったこと。もう一人の知らない声の主と言い合いになっている事を向こうに勘付かれたのか、随分久しぶりに感じる再会の明るい雰囲気から一転。一気に空気が重くなる。ジョセフがドスの効いた声で話し警戒を始める。しかしカメラモードがオンになった事で映し出される虎杖の顔を前に全員言葉が固まる。
『誰だお前は……は?』
『ハジメくんになにするつもりですかって……え?』
「お前らこそ誰なんだよ。まさかとは思うが誘拐犯か? ならばそちらから顔出ししてくれるとなりゃ好都合……は? ぼ、僕?」
『あの、貴方は一体……?』
そう。本物虎杖と虎杖二号ことスターのご対面だ。珍しく勢いのある喋り方だった虎杖は早くも素に戻り、スターは自分がもう一人いるという非現実的な出来事に呆気に取られる。この反応を見るにやっぱ他人の空似とかそんなレベルじゃないんだ。本人たちから見ても割と洒落にならないレベルでくりそつってか。いや、何ぼさっと眺めてんだよ俺。スマホ取り返すなら今がチャンスじゃん。
「スキあり! 悪く思うなよ!」
俺は中腰に、体の軸をできるだけ小さくして虎杖にタックル。バランスを崩したタイミングでスマホを奪還した。本来であれば運動神経やパワーの違いは圧倒的なにずだが、あそこまで重心を低くされちゃ動揺してたのもあってデカい図体じゃあ対応で間に合わなかったようだ。
そのまま購買を出ていく。立ち上がるまでには時間がかかるはず。テレビ通話をオンにした状態で、今度は中庭へ走った。
『『「「聞こえていますか! アサヒナ・ハジメ、天使様!! ご無事ですか?!」」』』
声の主はスターだった。多分お互いに色々聞きたいことがありすぎる状況だ。俺としてはさっきのスマホ光るやつなんだよ。そもそもいつのまにかポケットにスマホ入ってた(普通に部屋に起き忘れたと思ってた)事への説明。そもそもここどこで今どう言う状況なんだ。
『『天使様!? やっと繋がりました!』』
「なんで着信の時にスマホ光ったんだ?」
『『お怪我はございませんか? その他体調不良はありませんか?』』
「ってかいつの間にかポッケに入ってたんだけど」
『『何時間も何回も試してようやく繋がった……よかった。本当に良かった……』』
「そもそも俺は今どういうことに巻き込まれてんの?」
『スター、泣きすぎだ。もう会話が成立してねえ』
『泣いてへんくても成立しとらんけどな』
「あーあといつお前と電話番号交換した?」
『……情報収集目的でカメラオンにしとこか』
大方の予想通り互いに疑問文を投げかけあった結果これ以上無いほどの低レベルな話の平行線が出来てしまった。そんでもって無駄に声でけえな。寧ろよくぞ俺の声はかき消されていないものだと感心した。そしてしばらくすると向こうのカメラモードがオンになったんだろう。無事にコイツらの顔が映し出され、俺もそれに便乗する形でカメラをオンにした。
しかも声が聞こえたJBと学園長は勿論アナやジョセフにブルーブックまだいるじゃねえか。オールスターかよ。後ろにもう一人いる現在必死こいて魔法陣に魔力を注ぎながら魔術を使ってくれている狐面の男については是非説明してもらいたい。あとシンプルにどういった状況なのか説明してくれないだろうか。
『え~とにかく恐ろしいぐらい話が噛み合ってない。とにかく一旦落ち着こう』
『『確かにな。わかった!』』
『あと癖になっちゃってるけど声のトーン下げたほうがいいよ。これ以上叫んだら喉痛めちゃうよ』
アナの助言により今度はめちゃくちゃ小さな声で「ワカッタ」と返事をするスター。どうやら声量の調整の仕方を完璧に忘れ一か百しか無くなってしまったようだけどそれに関してはこれから自分でなんとか調整してもらうとして。こちらはそれどころでは無い。早くどういう状況なのかを説明してほしかった。
『あーそれな。どない説明すればええんかちょっと迷うけど、端的にいうとこのままやとハジメは死ぬ』
は? 死ぬとかあんの? いや確かに透明人間って実質幽霊じゃんとか心のどこかで思ってたけどマジで死ぬの? なにがどうなって……いいやそんな専門的な魔術の話に素人の深入りしても仕方がない。
『とりあえずちょっと大きめの魔術で俺たちの世界と初めの世界を繋いでいる。助けるために電話をかけた。あたり把握してきゃ問題ないから』
「……生き残ったら詳細をわかるように教えてくれ」
『りょーかい』
「……待ってよ。朝日奈さん」
話を進めようとしたタイミングで冷静さを取り戻した虎杖にスマホを奪われた。思わず「あ!」と大きな声で言ってしまったこと。もう一人の知らない声の主と言い合いになっている事を向こうに勘付かれたのか、随分久しぶりに感じる再会の明るい雰囲気から一転。一気に空気が重くなる。ジョセフがドスの効いた声で話し警戒を始める。しかしカメラモードがオンになった事で映し出される虎杖の顔を前に全員言葉が固まる。
『誰だお前は……は?』
『ハジメくんになにするつもりですかって……え?』
「お前らこそ誰なんだよ。まさかとは思うが誘拐犯か? ならばそちらから顔出ししてくれるとなりゃ好都合……は? ぼ、僕?」
『あの、貴方は一体……?』
そう。本物虎杖と虎杖二号ことスターのご対面だ。珍しく勢いのある喋り方だった虎杖は早くも素に戻り、スターは自分がもう一人いるという非現実的な出来事に呆気に取られる。この反応を見るにやっぱ他人の空似とかそんなレベルじゃないんだ。本人たちから見ても割と洒落にならないレベルでくりそつってか。いや、何ぼさっと眺めてんだよ俺。スマホ取り返すなら今がチャンスじゃん。
「スキあり! 悪く思うなよ!」
俺は中腰に、体の軸をできるだけ小さくして虎杖にタックル。バランスを崩したタイミングでスマホを奪還した。本来であれば運動神経やパワーの違いは圧倒的なにずだが、あそこまで重心を低くされちゃ動揺してたのもあってデカい図体じゃあ対応で間に合わなかったようだ。
そのまま購買を出ていく。立ち上がるまでには時間がかかるはず。テレビ通話をオンにした状態で、今度は中庭へ走った。
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