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初めてのそれは熱く

脈打つもの ★

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意識を失うかと思った。イッたばかりだというのに、律動を再開されただけでまた昂るのを感じた。さっきよりも感度がいい気がするのは多分気のせいじゃない。

「梓、愛してる、大好きだ!」

仁はすっかり理性をなくしてしまったようだ。俺の名前を呼び、愛を呟くことしか脳がなくなったかのように、愛していると何度も叫んでいる。嫌な気分はしなかった。女の子にも合われた事ない上、家族からもしばらく聞かなかった愛の言葉に嬉しさを覚えた。

力強いその動きは、前立腺は勿論、奥の奥の子宮までガンガンと、見境なく突いてきた。またイッてしまう。またこいつの腕の中でイッてしまう。言わないといけない、俺の胸の内を、俺を正直者にしてくれ。

「俺っも、……うぅ、愛っし……てぇ、るう!」

目の前の、また鼻の先で俺を犯している仁の首や背中に縋り付いていた腕で強く抱きしめた。厚い胸板に顔を埋めた。俺と同じように汗ばんでいて、熱くて、愛おしくて仕方がなかった。上手く伝わっただろうか?

「……フー……」

何やら長い唸り声が聞こえた。まるで狼のような、虎視眈々と獲物を噛み殺さんとする獣のような、そんな唸り声。何かあったのかと心配していたが、すぐにわかった。

「でっ…かあ…?い、い、やぁめえ…っ!」

でかくなった。これ以上大きくはならないと慢心していた俺を憎む。いやしかしこれは仕方がないだろう。普通自分がイッて、クライマックス間近のタイミングで、まだ大きくなるとか普通考えない。これはあれか、俗に言う絶倫ってやつなのか? でかくて絶倫って最強かよ、こんな怖いやつに抱かれてたのか、俺。

「……これ以上煽らないでくれ、喰うぞ」

目が本気にも限度がある。ある意味もう喰われているとは思ったけれど、言葉にはしなかった。余裕がなかったのもあるし、これ以上いらないスイッチをかけたくなかったからだ。どこでやる気になるのか全然わからない。実際さっきの言葉のどこがこいつの沸点だったのかさっぱりだ。

「気持ち…いい…いいぃ」

あまりの情報の多さに脳が耐えきれない、意識が薄くなってきた。ただ無意識に腰を動かして仁の劣情を誘うしか出来なかった。喉からは自分のものではないかのような甲高く、弱々しい喘ぎしか出ない。鼓膜はそれを聞き逃す事なく、さらに俺はいやらしくなっていく。

男の胸に抱かれてこんな事をされるなんて、少し前までの自分に言ったら何かのドッキリだと思われるだろう。今幸せだと思うのは、きっと気のせいではないはず。気持ちいいと思うのは、恥ずかしいけれど悪いことではないのかもしれない。少なくとも仁は、淫乱な俺がいたく気に入ったようで、愛おしみかつ、荒々しく振り続けていた。

「俺もイく……外に、出すから心配すんな」

「中に…っ出し…て、熱ぃの……ちょうだぁい!」

抜かれる、嫌だ。幸せで動く事を忘れた頭から久し振りに与えられた信号だった。抜いてしまう、仁のものがなくなってしまう。もう突いてもらえない。そんな言葉が埋め尽くされ、爆発しそうだ。入れていてくれ、抜かないで、中に出してもいいから。

中に出される想像をしてしまった。大きなそれは言ったたくさんのタネを出す事だろう。たくさんの白いタネが俺の中を駆けずり回る、あるはずもない子宮へ向かう。熱くて、奥まで入ってきたらきっと……だめだ、絶対に気持ちいいとわかってしまう。本能のレベルで気持ちいいことだと理解してしまう。気が付いたら言葉も選ばずになりふり構わず求めている自分がいた。そしてそれが本心と、誰よりも理解しているのは自分だった。

「ぐ、……いいぜ。本当に可愛い淫乱だな」

抱きしめられた。抱き合う形になった時、熱い熱いあの待ち侘びた感覚がやってきた。普通ではどうやっても届かない場所で熱さを感じる。あったかいと言う感覚の方が近いそれは、俺の腹を確かに満たしていた。

あまりにも気持ちよすぎて、俺までともに達してしまう。力強い抱擁のせいで、逃げることは叶わない。ただ打ちつけるかのような快楽を受け入れるばかりだった。身体がビクビクして言う事を聞かない。俺の股についているあれは、雄の役割を放棄したようにプルプルと震えているだけだ。……というより、俺、射精したっけ……?

「頑張ったな。後はオレ一人で片付けるから、任せとけ」

仁の優しい言葉を聞いて、不安の前に、眠気がさ襲ってくる。恐らく今までで溜まってきた疲れが一度に来てしまったのだろう。腕の中で、全裸で眠るこの感覚は、きっと忘れられない。
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