隠された才能

隠された才能

江戸時代、ある小さな村に、絵を描くことが大好きな若者がいました。彼の名は康太。しかし、絵を描くことは農業を手伝う彼の日常生活では許されない贅沢でした。

ある日、村に旅の絵師が訪れ、康太の隠れた才能を見出しました。「君の絵は素晴らしい。是非、都で修行を積んでみないか？」絵師は提案しました。

康太は心躍らせながらも、両親に反対されることを恐れていました。しかし、両親は意外にも快く承諾しました。「私たちも昔は芸術家だったのだよ」と父が言いました。

喜び勇んで都へ向かった康太でしたが、到着してみると、そこはただの田んぼでした。絵師は笑いながら言いました。「実は私も農家の息子。絵を描くことで、農作業の疲れを癒しているんだ。」

康太は驚きましたが、やがて笑い始めました。彼は絵師と共に、田んぼで働きながら絵を描く日々を送り、二人は江戸で最も有名な「田んぼ絵師」として名を馳せることになりました。そして、康太の絵はいつしか、村の誇りとなったのです。