BL 生徒会長が怖い

かのほ

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314話 脱走 16

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「それじゃあ、明日の朝坂北くんをスーツケースに詰め込んでフロントでチェックアウトするってことでいいかな? 」

「はい、お願いします。」

改めて言われると、かなり単純というか、ゴリ押しな作戦だな...。

まぁ細かいところは色々と考えなきゃいけないんだけど、とりあえずはそれでいいだろう。

西村さんがこの場をまとめたところで、俺は頷き頭を深く下げた。

「うん。任せて! 他に何か確認しておきたいことある? 」

ニコッと眩しい笑顔を向けられ、ほっと体の力が抜ける。

確認しておきたいこと...。

そう言われて考えると、すぐに一つ思い浮かんだ。

「そうだ...! あの、電話貸して貰えませんか? 南原さんと話したいんです! 俺、桂本さんにスマホ取られちゃってて...。」

俺が真っ先に思い付いたのは南原さんのことだった。

何も言わずに居なくなった俺を心配しているかもしれない。怒っているかもしれない。ひょっとしたら探し回ってくれているのかも。ずっとそれが気掛かりで。

だけど、一番はやっぱり、少しでもいいから南原さんの声が聞きたいっていう、ただそれだけの自己中な気持ちが理由だ。

「お願いします...。少しでもいいので、南原さんと話をさせて貰えませんか? 」

家のことに巻き込んだあげく、こんな我が儘なお願いをするなんて図々しいにも程がある。そう自分でも思うけど、これだけはどうしてもお願いしたくて、我慢できなかった。

しかし、西村さんはばつが悪そうに苦笑すると、ごめん、と遠慮がちに謝ってきた。

「えっと...気持ちは分かるんだけど、ちょっとそれは無理かな。」

え...。

「なん、で...なんでですか...? 」

嫌だ、とか、駄目、とかじゃなく、無理。
電話くらいすぐにさせてくれると思っていた俺は、まさかの答えに一気に不安が押し寄せ、その訳を聞き返す声が震えた。

西村さんの反応が明らかにおかしい。
南原さんに、何かあったのだろうか。
そう考えると、胸が張り裂けそうなほど苦しくなる。

俺は無意識に、首もとのネックレスに手を触れさせた。

「南原って、こいつの恋人? 電話させてやればいいじゃん。」

「そうだよ和彦にぃ。なんで駄目なの~? 可哀想だよ~! 」

きゅっと唇を噛んで俯いてしまった俺を見兼ねたのか、アキさんとユキさんも一緒に頼んでくれる。それでも、西村さんは承諾してくれず。

「うーん、南原が犯罪者になっちゃうから? 」

「へ? 」

代わりに、とんでもない理由を言い出した西村さんに、俺は思わず間の抜けた声が出てしまった。

は、犯罪者って...どういうこと?

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