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255話 終業式の日 3
しおりを挟む「南原~、これとこれ、先生に確認行ってきたからあとよろしく。あ、坂北くんもここにいたんだね。やっほー。」
「西村さん。どうもです。」
少しすると、西村さんが生徒会室にやってきて、南原さんに書類を渡している。にこりと人懐っこい笑顔を向けられ、俺は軽く会釈を返した。
「今日は仕事が早いな、西村。」
「まぁね。早く帰って夏休みの準備しなきゃだし。」
そう言って、仕事が完了したらしい西村さんは、もう出ていこうとしているのか、生徒会室のドアに手を掛けている。
「夏休み、どこか行くんですか? 」
「親戚達と数日間だけ旅行にね。面倒なだけだけど...。いっそ俺だけすぐに帰って来て、セフレのハーレムでも作って遊ぼうかな~。」
「あー...あはは...。」
ハーレムって...。
本気なのか冗談なのか分からない発言に、なんて反応したらいいのか迷う。
「あ、そうそう、坂北くん、田中先生が呼んでたよ。」
「え? 」
ふと、思い出したように言った西村さんを、突然の事にきょとんと見つめてしまう俺。
田中先生は俺のクラスの担任だ。定年退職間際の高齢な先生で、いつも穏やかに社会科の授業を教えてくれている。
急にどうしたんだろう。
呼び出される理由は特に思い当たらないけど...。
「じゃあ俺は帰るから。南原も坂北くんも、またね~。」
「あぁ。」
「はい。お疲れ様です。」
そうして西村さんは、終始ニコニコと笑顔を振りまきながら、ひと足先に帰って行った。
「じゃあ俺も、呼ばれてるみたいなので、ちょっと職員室に行ってきますね。南原さんは、お仕事頑張ってて下さい。」
俺は立ち上がって南原さんに声を掛けると、思いきって南原さんの頬にチュッと軽く唇で触れ、にこりと笑って見せる。
さっき南原さんに見とれてた俺をからかってきたお返しだ。俺だって、やられっぱなしじゃないんだぞ。
「っ...! ククッ、全く...。」
珍しく狼狽えてくれた南原さんに、少しだけ優越感を覚える。だけどそのあと、俺を見る南原さんの目があまりにも優しくて、愛しいという気持ちに溢れていて、堪らない。
思わぬ返り討ちにあった俺は、照れて真っ赤になった顔を隠すように背を向けると、職員室へと足を運んだ。
「失礼します。西村さんに言われて来たんですけど、田中先生は...。」
コンコンとノックをしてから職員室を覗き、田中先生を探すと、すぐにその姿を見つけることができた。
「おー、来たか、坂北くん。君に、お客さんが来とりますよ。」
「え...? 」
お客さん...?
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