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番外編1 裸エプロン
しおりを挟むメリークリスマス!
ってことで、唐突に番外編失礼します!
短くてごめんなさい。
※内容はクリスマスと関係ないです。
by作者
* * * * * * * * * *
「坂北くん、たまには裸エプロンで料理してみてくれないか? 」
「は...はい?」
付き合いはじめてから、頻繁に南原さんの家に来るようになった俺は、泊まる時、ほとんど毎回手料理を振る舞っている。
今日も、いつものように夕食の支度をしようとキッチンに立つと、唐突にとんでもないリクエストが来た。
最近、南原さんの変態度が増している気がする...。
「い、いきなり何を言い出すんですか...。 やりませんよ。絶対やりませんからね。」
ニヤリと口角を吊り上げた南原さんから、そーっと目を反らし、丁重にお断りする。
しかし。
「ちょ、こ、来ないで下さい...! 」
怪しすぎる笑みを浮かべ、エプロンを片手に迫ってくる南原さん。こうなってしまっては、俺に止める術はない。
狭いキッチンに追い込まれ、逃げ場もなく。
「やだっ...やだってば...! 南原さんっ...! 」
俺は必死に抵抗するも、まるで手品のようにスルスルと服を剥ぎ取られ。
「ククッ、これは外さないでおいてやろう。」
「っあ...。」
これ、と示されたのは、空色の星形の蓄光ネックレス。南原さんから貰ったものだ。
南原さんは、俺をネックレスだけ残して全裸にすると、その上から直接エプロンを着せてきた。
「ほら、ちゃんと集中して料理しなければ、失敗してしまうんじゃないか? 」
「そ、そんな事言ったって...。」
集中なんてできるわけない。
前はエプロンでかろうじて隠れているものの、背中もお尻も丸出しで、外気に晒されていてスースーする。
さらに、南原さんにすぐそばで観察されていて、恥ずかしくて堪らない。
「も、やだ...服、返して下さい。なんで、こんなっ...」
あまりの羞恥にじわりと涙が滲んできた。
こんなの、酷い...。
「今日、調理実習があったそうだな。」
「ふぇ...? 」
材料の人参を握りしめたものの何もできずに固まっていると、ふと、南原さんがそう切り出した。
「お前の手料理、クラスメイトにも振る舞ったんだろう? 俺だけの特権だと思っていたのに、全く...。」
苛立った様子でため息をつく南原さんの、理不尽過ぎる言い掛かりに、俺は納得できなかった。
「そ、そんなの不可抗力...」
授業なんだからしょうがないじゃないか。
それに、そんなに凝った料理は作ってないし、と南原さんを睨む。
「ああ、そうだな。これは俺の、ただのわがままだ。だから、この裸エプロンだけで許してやると言っている。」
だけでって...。
充分嫌だし恥ずかしいし、そんな気遣い、あってないようなものだ。
「もう無理...恥ずかしいです...南原さんっ...! 」
堪らなくなった俺は、ついにしゃがみこんで、体を隠すように小さく丸まってしまった。
それなのに。
「だめだ。夕食の準備を終えるまではこのままだよ。」
「そんなっ...! 」
ニヤリと楽しそうに悪魔の笑みを浮かべて、全く許す気のない南原さんに絶望する。
もう...!
そりゃ、嫉妬もしてくれてるんだろうけど、半分はそれを口実に俺を苛めて楽しんでるだけのくせに...!
「南原さんのバカ! 変態! ドSーーーっ!」
俺は思い付く限りの暴言を吐きながら、相変わらずの、いや、拍車がかかる南原さんの変態鬼畜生徒会長っぷりに、南原さんが満足するまで今日も翻弄されるのだった。
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