BL 生徒会長が怖い

219話 期末テスト 15

「もうっ、人の恋にちょっかい出してる暇があるなら、西村さんも本気の恋愛、すればいいじゃないですか...。」

なんだか恥ずかしくて居たたまれなくなってしまった俺は、プイッと不機嫌にそっぽを向くと、ぶっきらぼうに言った。

そういえば、西村さんはなんで恋人を作らないんだろう。

容姿も頭脳もあって、その上、人の気持ちを読み取る能力も高い。Ｓっぽいけど、南原さんや東山さんみたいに、暴力も振るったりしない。今は不特定多数の人と関係を持っているみたいだけど、ちゃんと恋人を作ればいいのに。

「あー...本気の恋、ね。してみたいとは思ってるんだけど、なかなか相手が見つからなくて。」

「え...？ 」

してみたいとは思ってる、という答えが意外で、俺は、目を丸くした。

でも、相手が見つからない？

乱れた髪を直しながら、困ったように笑う西村さんは、まるで王子さまのようなキラキラとしたイケメンで。
モテるはずなのになんで、と俺は首を傾げた。

「言い寄ってくる子は男も女も沢山いるけど、俺が本気になれる相手ってなると、なかなかね...。」

西村さんが本気になれる相手？

なにそれ気になる。

「じゃあ、どんな人がタイプなんですか？ 」

恋愛がしたいのなら、好みのタイプくらいあるはずだ。照れ隠しで咄嗟に出した話題だけど、だんだん興味が湧いてきた俺は、好奇心に任せて尋ねてしまう。

「クスクス、食い下がるね～。」

「あは、すみません。」

それでも気を悪くしない西村さんに、続きを促す目線を送る。
対して南原さんは興味なさそうに、再び書類を片付け始めた。

「うーん、タイプかぁ...。強いて言うなら強烈な人？ 」

「強烈...ですか。」

「うん。俺、刺激のある毎日が送りたいんだよね。だから、性格でも趣味でも特技でも、なんでもいいんだけど、とにかく強烈な何かを持ってる人がいいかな。」

変わってるでしょ、と自嘲気味に微笑む西村さん。確かに、普通なら、優しい人とか、知的な人とか、そんな答えを言うだろう。

「でも、西村さんらしいかもしれませんね。なんか、納得です。」

むしろ、東山さんや南原さんと並ぶこの人が、普通の答えを言う方が驚きだ。いつも面白さを求めて退屈を嫌っている西村さんらしい答えだと思う。

強烈な人、といえば、俺が真っ先に思い浮かぶのは南原さんと東山さんだ。書類に目を通す南原さんに、チラリと目を向けると、西村さんがクスリと笑いを溢した。

「南原とか東山を狙おうとしたこともあったんだけどね～。」

「............は！？！？ 」