210 / 341
210話 期末テスト 6
しおりを挟む「...ふぅん? 迷惑、ね。」
スゥ、と細められた目と口元だけ笑う東山の表情に、しまった、と思う。
「っあ...」
やべ...言い過ぎた...?
怒らせてしまっただろうか。
ふと、今までのことが頭を過る。
理不尽に校則違反だ、仕置きだと、散々痛めつけられた苦い記憶。
怯えるなんて、情けなくて悔しくて、なのにやっぱり、どうしてもこういう時は怯んでしまう。
最近は何もされてない。でも。
またその手は俺を殴るのか。もし胸ぐらを掴まれ、路地裏にでも引きずり込まれたらどうしよう。
そんなことを嫌でも考えてしまい、体が小刻みに震えだした。
「...はぁっ。おい、なに震えてんだよ。」
「あ? わっ...なにすんっ...」
怯えてることを認めたくなくて、じろりと睨みつけようとすると、ピシッと軽く額を指で弾かれた。いわゆるデコピンというやつだ。
怯えが吹き飛び、ふざけんなと食って掛かろうとすると、むすっと拗ねた子供のような顔をした東山に言葉を失う。
「そんなに言うなら、勝負してやろうか? 」
しかし、すぐにいつもの高慢な態度に戻ったこいつは、にやりと挑戦的な笑みを向けてきた。
「...は? 勝負? 」
「あぁ。」
殴り合いでもしようってのかよ。
喧嘩売ってんのか、と睨み付けると、ふんっと見下すように鼻で笑われる。
「力勝負じゃお前は俺に敵わねぇことぐらい、身をもってよーく知ってんだろ。」
「あぁ!? 」
「期末テストだ。五教科の合計点で勝負してやる。負けた方が勝った方の言うことに絶対服従の条件でな。」
っ...それって...。
「じゃあもし俺が勝って、テメェにもう俺に近づくなって言ったら、従うってことか? 」
「ああ。約束してやるよ。」
悪くない条件だった。
それでこいつから離れられるなら、勉強なんてまともにしたことないけれど、やってみる価値はありそうだ。
「ただし、お前が負けたら俺の言うこと聞いて貰うからな。例えば、俺と付き合え、とか。」
「っ...! 」
「これくらい当然だろ。こっちだってお前と離れるリスク背負ってんだぜ? お前も男なら覚悟決めろ。」
そうだ、怯むな。条件は同じ。テストなら体格の差も関係ない。
「分かった。その勝負、受けて立とうじゃねーか。」
その後、東山が学年三位の成績だと知った俺は、背筋が凍るような思いだった。
2
お気に入りに追加
1,053
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
3人の弟に逆らえない
ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。
主人公:高校2年生の瑠璃
長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。
次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。
三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい?
3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。
しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか?
そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。
調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる