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206話 期末テスト 2
しおりを挟むその日の南原さんとの帰り道。
俺は、独占欲の強い恋人に、勉強会のことをどう言おうか悩んでいた。
別に後ろめたいことなんてないけれど、明日は一緒に帰れない、なんて、なんとなく言いづらい。それでも、恐る恐る口を開く。
「あの...南原さん...。怒らないで欲しいんですけど...。」
すると、俺の真意を探るように、スゥっと細められた南原さんの目。
「何? 坂北くん、俺に怒られるようなことしたの? 」
「っ...違っ...ちがいます...! 」
ひいいぃ...! 怖いよぅ...。
チュッ
「ククッ、嘘だよ。どうした? 」
わたわたと慌てていたら、髪に軽くキスをされ、そっと撫でられた。
その優しいしぐさにほっとすると同時に腹が立つ。
また俺がビビるのを見て楽しんで...! ドS! 意地悪!
しかし、そんなこと言えるわけもなく、次々に頭に浮かぶ悪態を呑み込んで、本題の話を続ける。
「俺、明日からしばらく、一緒に帰れない...です...。」
「なぜ? 」
あ...南原さんの声が少し低くなった。
これだけのことで怒ることはさすがにないけれど、やはり面白くないみたいだ。
そう思ってくれるのは、ちょっと嬉しかったりするけれど、それが行きすぎるとお仕置きという形で発散されるので、困る。
「高橋と期末テストの勉強会することになって...教えて欲しいって言われて、だから、その...。」
しばらくは高橋と帰ります...と、消え入りそうな声でなんとか紡いだ。
お仕置きって言われるかな...? と、ちらりと南原さんを窺うと。
「...へぇ? 高橋くんもなかなかやるじゃないか。そういう作戦に出たか。」
「え? 」
作戦?
な、なんのことだ?
怒るどころか、興味深そうにニヤリと笑う南原さん。予想してたのとは違う南原さんの反応に、俺は首を傾げた。
「ん? 高橋くんから聞いてないのか? ま、自分から言うわけないか。ククッ...」
「南原さん...? 」
なんだかよく分からないけれど、もしかして南原さん、何か知ってるのか?
それは、高橋が突然テストをやる気になった理由と関係があるのかな。
とりあえず、お仕置き宣言されなかったことに安堵しつつ、南原さんの握っている情報に耳を傾けた。
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