BL 生徒会長が怖い

192話 遊園地 11

「だから、その約束の証として、これを受け取ってくれないか？ 」

「っえ...？ 」

待って、受けとるって、何？

意味を理解する前に、首にまわされた南原さんの両手。
その手が離れると、俺の首には、チェーンのアクセサリーが掛かっていた。吊り下げられた星形の飾りが、薄暗いゴンドラの中で、ふんわりと優しいスカイブルーの光を放っている。

「これって...」

「蓄光ネックレスだ。光を蓄えて、暗いところで光る。さっきたまたま見つけてな。お前にどうかと思ったんだ。」

たまたま見つけて...って、まさか。

「じゃあ、お、お昼の時の買いたかったものって...」

「ああ、これだ。」

っ...！

そうだったんだ...！

「これから先、もし坂北くんがまた暗闇に閉じ込められるようなことがあっても、これがあれば気休め程度にはなるだろうと思ってね。 俺が居ないときに、停電にでもなったら大変だろう？ 」

そう言って綺麗な微笑みを向けてくる南原さんが、本当にいとおしい。

南原さんが、俺のことを考えて、俺のために、なんて。

っ...やばい、嬉しすぎる。

「南原さんっ！！ 」

「おっと...」

俺は思わず、自分から南原さんにガバッと抱きついた。

「南原さんっ...！ 南原さんっ...！ おれ、大事にしますっ...絶対毎日着けます！ ありがとう...嬉しいっ！ 」

「ククッ、ああ。ずっと肌身離さず持っていろ。学校にも着けてこいよ。忘れたら仕置きだ。」

途端にニヤリと意地悪な笑みを浮かべる南原さん。さっきまでの優しい雰囲気はどこへやらだ。

「っ...仕置きって...まぁ、いいですけど...。」

忘れるわけないし。

「ふっ、お前は...」

忘れたらお仕置きという宣言を承諾した俺を、心底おかしそうに笑う南原さん。

「ほら、もうすぐてっぺんだよ。」

南原さんが窓の外に視線を移し、それに釣られるように、俺も外の景色を見る。

「っ...わぁ...すご...」

日が沈んだ藍色の空の下で、キラキラと輝く小さな光達。それが一面に広がっていて、まるで満天の星空のような夜景だった。

少しの間見入っていると、ふと視線を感じて隣を向く。

「っ...！」

すると、南原さんが俺をじっと見つめていて。
その顔があまりにも綺麗に、幸せそうに微笑んでいるから、つい俺は見とれてしまう。

隙あり、とでも言うように悪戯っぽく笑った南原さんは、俺の顎を掬うと、その唇を俺の唇に重て来たのだった。