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181話 嫉妬 10
しおりを挟む「なんか、俺のものって感じがしていいな、これ。...一生消えなければいいのに。まぁ消えたらまた付ければいいか。」
!?
ニヤリと意地悪に口角を上げた南原さんに、ひっ、と小さく悲鳴を漏らす。
そんな頻繁に痛いことをされては堪らない。
「っ...痛いのはっ、や...」
あ、駄目だ...。
やだ、と言おうとして、俺は思いとどまった。
俺は、側にいられるなら、いやだも止めても言わない、どんなことでも受け入れると、昨日そう宣言したのだ。
「ん? なんだ? 」
「あ、いや、何でもないです...。」
フィッと目をそらして、言葉を呑み込む。
もう既に何度も言ってしまった気がするけれど、南原さんの側にいられなくなるのは嫌だから、南原さんの望み通りにしてなくちゃ...。
しかし南原さんは、そんな俺の思いに気がついていた。
「お前、さっきも途中からやけに従順になったよな。お仕置きの最中だったから何も言わなかったが...。」
「っ...だって...」
南原さんに飽きられたくない。嫌われたくない。俺が一番怖いのはそこだ。
俺は、そういう知識もテクニックも何も無いから、せめて南原さんの要求に応えたいのだ。
しゅん、と黙って俯いてしまうと、背後で南原さんがふっと柔らかく笑った気配がした。
「嫌だもやめても、言えばいい。従順なだけでは玩具だった頃と何も変わらないだろう? 健気に耐える姿も可愛いが...お前は恋人だ。俺はそんなことでお前を嫌ったりはしないよ。」
「っ... みなみはらさん...」
ふわふわと頭を撫でながら、俺の欲しい言葉をあっさり言ってくれる南原さん。
俺の気持ちを汲んで、何も言わなくてもそうやって許してくれるあたり、さすが出来る男だ。
胸がぎゅうっとなって、満たされていくのがわかる。
やっぱり、南原さんは優し...
「それに、お前が嫌がっても、ヤりたいことは無理矢理ヤらせて貰うから、正直関係ないよ。だから、無駄に気持ちを押し殺すな。見てるこっちが息苦しくなる。」
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傲慢な態度で俺を見下ろしているだろうと思い、ばっと振り向くと、しかしそこには、それは優しい表情があって。
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「っ...ずるいっ」
うるさい心臓を、ぎゅっと両手で押さえつけた。
「な? お前の恋人はいい男だろう? もう俺以外のやつを優先したりするなよ。」
「っ...できるだけ、努力します...。」
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