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173話 嫉妬 2
しおりを挟む「言い訳無用。来い、坂北くん。お前ももう食べ終わったんだろう? 今からお仕置きだよ。」
強い力で腕を引かれ、立ち上がらされる。
「っ...ゃ...待って、待ってください...!」
俺の腕を掴んだまま階段へ向かう南原さんに、ズルズルと引きずられるように歩かされる俺。
お仕置きという単語が聞こえた気がするので、反射的に振りほどこうとするが、びくともしない。
え、俺恋人だよね?
恋人にもお仕置きとかするの?
「あー、その顔。ほんと苛めたくなる。」
サディスティックにギラリと目を光らせた南原さんに見つめられ、ゾクッと寒気がした。
あ、この顔。
非常にまずい。
「楽しそうだね、南原。俺もセフレのとこにでも行こっかな。」
西村さんがおもむろに立ち上がり、俺たちより先に階段を下りていく。え、なに突然。
すると何故か、高橋がさーっと青ざめた。
「ま、待て坂北! 俺をこいつと二人っきりにするんじゃねえ! 」
「え!? 」
こいつと指を差されたのは東山さん。
高橋は、俺に駆け寄ってくると、反対側の腕をガシッと掴んできた。
「た、高橋? 」
一体どうした。
「ははっ、何でだよ、せっかく西村が気を効かせてくれたのによぉ。イチャイチャしようぜ? 高橋。」
「無理っ!! 」
東山さんがニヤニヤと言い寄るが、食い気味に拒否する高橋。
すがるような目で俺を見てくるその様は、なんだかいつもの強気で男らしい雰囲気とかけ離れていて新鮮だ。
どうしたんだろう、高橋。
ふと、ある仮説が一つ浮かび、声を荒らげる。
「ま、まさかまた酷いことされたのか!? 」
それならもう俺は、東山さんの恋に協力はしない。
「っ...や...酷いことは...ないけど...でも、やだ!ぜってぇムリっ! 」
なんだそりゃ。
まぁ、東山さんが俺との約束を守っているようでほっとしたけれど、じゃあなんだ。
もしかして高橋、東山さんを意識し始めてるとか...?
何にせよ、ここに残るか否かは俺に決定権はない。
俺に言われても困るよ高橋...!
かといって南原さんに頼むのも無理だろうけど...。
「高橋くん、俺のものに無闇に触らないでくれるかな? ぶん殴るよ? 」
更に不機嫌になった南原さんが、凶悪な睨みを高橋に向ける。
「っ......!」
これは、ただの脅しではなく、言うことを聞かなければ本当にやると分かっている高橋は、南原さんの低い声にビクリと身を引いたのだった。
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