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137話 隠し事 3
しおりを挟む「お願いします。これ以上は聞かないでください...。どうか西村さんたちに酷いことをしないで...。」
「っ...そんなこと、納得できるわけがないだろう! そこまでしてお前は西村達をっ...! 」
南原さんが声を荒げ、ビクッと怯む。
でもここは、譲れないっ...!
「ふ、それなら強制的に聞き出すまでだ。来い、坂北くん。」
「え、痛っ...! あの、どこへ...? 」
「俺の家だ。全て話すまで、なぶってやる。」
「ちょ...南原さんっ...!? 」
先程まで抱き締めてくれていた紳士的な優しさはどこへやら、嗜虐的な黒い笑みを浮かべ、俺の手を無理矢理引いていく南原さんが怖い。
でも少し、嬉しくもあった。
だって、久しぶりに南原さんと一緒にいられる。
これから多分、酷いことをされるんだと思うのに、掴まれた腕が熱い。
怖いのに、嫌なのに、俺はこの手を振りほどけなかった。抵抗して、もし無事に帰れたとしても、南原さんを納得させなければ西村さんたちが明日咎められてしまう。
それに、南原さんのやりたいと思うことを全部受け止めることができれば、もしかしたら俺のこと、見直してくれるかもしれない。
高鳴る鼓動は、恐怖か、期待か。
抵抗らしい抵抗もしないまま、俺は大人しく南原さんについていくのだった。
* * * * * * * * * *
「わっ...待ってください...! 南原さんっ! 」
南原さんの家に着くやいなや、寝室へ引きずり込まれた俺は、乱暴にベッドに放り投げられる。咄嗟に起き上がろうとするが、その前に南原さんが俺の上に馬乗りになり、動けなくなってしまった。
「さて、どうしてくれようか。一体何をしたら、お前が自由を投げうってまで隠したいことを、全て打ち明けてくれるのかな。」
言えない...。例え、何をされても。
鋭い視線で上から睨まれれば、その威圧感は凄まじい。これからどんな拷問が始まるのか、俺はゴクリと唾を飲み込む。
「早く吐いた方が身のためだよ? 」
「っ......! 」
南原さんが、おもむろに手を伸ばしてきて、それだけで俺はビクついて目を瞑った。
その手は俺のシャツのボタンをスムーズに外していく。
怖いっ...!
でも、耐えないと。
南原さんが好きだなんて、絶対言えない。
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