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135話 隠し事
しおりを挟む「落ち着いたか? 」
「ぐすっ...はい...すみません...。」
南原さんのシャツにしがみついていた手をやんわりと離され、その手を暖めるように握られる。
南原さんは、震えながら泣きじゃくる俺を、落ち着くまでずっと抱き締めてくれていた。
冷静になると、みっともないところを見られてしまったという恥ずかしさが込み上げる。
「どうやら怪我はないみたいだが...。西村に何かされたのか? 」
南原さんの手に、ぎゅっと力が込められた。
声も少し低くなり、苛立っているようにも見える。
なんで?
俺のこと、どうでもいいんじゃなかったの?
「いえ、俺、暗い場所がダメで...。」
「ククッ、子供みたいだな。それとも何かのトラウマか? 」
「えっと......」
トラウマという単語にギクリとした。まさにその通りなのだが、目隠しをされていたぶられていた、などと素直に言うわけにもいかず、言葉に詰まる。
だってそんなの、異常だから。
父の意向に逆らえば虐待されていたことは既に話してあるけれど、これ以上南原さんに幻滅されるのが怖くて、言いにくかった。
「西村達がどこへ行ったか分かるか? 」
俺が答えたくないことを悟ったのか、違う質問をしてくる。
まさか、気を使ってくれた?
そんなの、南原さんらしくない。
胸がぽっと温かくなるのを感じた。
「あー...家に帰ったかと...。」
「帰った? 何もしずに? 」
こくこくと頷くと、南原さんは大きなため息を一つついた。
「あいつは何がしたかったんだ、一体。」
そりゃそうだよな。
南原さんからしたら、訳が分からない状況だろう。西村さんから強姦されそうになっているはずの俺を助けに来たら、その西村さんが俺に何もせず放置したまま帰っただなんて。
「ま、明日問い詰めればいいか。面倒事に付き合わされた礼も、その時たっぷりしてやろう。」
「え、だ、ダメです! 西村さんはただ...。」
「ただ? 」
「い、いや、えっと...。」
やば...。
南原さんから冷たい怒りと黒いオーラが発せられて、このままだと明日、西村さんや東山さんや高橋が、酷い目に遭わされると確信した俺は、咄嗟に弁明しようと庇うようなセリフを口走ってしまった。
「ふーん。 お前、何か隠しているな? 」
ひ、ひいいぃ!
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