133 / 341
133話 暗闇 2
しおりを挟む(なぜこんな簡単な問題を間違えるのですか。)
嫌だ...やめて...。
(答えなさい。私は質問しているのですよ。)
ごめんなさいごめんなさい。
(ですが、安心してください。しっかり反省できるよう、しつけて差し上げますから。)
「たす...けて...」
違う、違う、ここは学校の倉庫だ。
殴られることも、鞭で打たれることも、スタンガンを押し付けられることもない。
でも、何も見えない。
本当にここが学校の倉庫なのかも、確かめられない。
もし、今まで亜奈月高校に通っていたことが全て夢だったとしたら?
本当は俺は家にいて、桂本さんにお仕置きを受ける寸前だとしたら?
怖い、怖い、怖い!
扉まで行かなくちゃ。
南原さんが、来てくれるわけないんだから。
動けないままじゃ、しばらく使われていないここに、滅多に人は来ないから、きっとずっと暗闇の中に居なくちゃならない。そんなの絶対、無理だ。
頼むから動け、俺の体!
這ってでも前へ進まなければ。
しかし、いざ手を前に伸ばそうとすると、そこに桂本さんが冷たい微笑みを浮かべながら立っているような気がして。
(まさか、逃げようとしているのですか。あなたは本当に聞き分けが悪い。)
聞こえるはずない声が、脳内で響く。
耳をグッと塞いで耐えた。
っ...むり...動けないっ...!
「はっ...ふ...はぁ...」
心臓がバクバク鳴ってる。
息が苦しい。
生理的な涙がポロポロとこぼれた。
「み、なみ、はらさっ...」
ああ、俺はまた、この人の名前を呼ぶのか。
助けに来てくれるとは思ってないけど。
「みなみはらさん...! 」
彼なら桂本さんを瞬殺できるのかなぁ。
それとも、南原さんは、俺の夢の中の住人でしかなくて、本当は存在していないのだろうか。
「たすけてっ...」
大きな声で叫んだりしたら、いつも余計に怒られていたから、自分でも聞こえないくらいか細い声で、救いを求める。
でも、名前を呼んで、すがれる人がいるだけ、ありがたかった。
少し前までは、一人で耐えるしかなかったから。
南原さんの名前を呼ぶだけで、なんだか少し恐怖が和らぐような気がする。最初からそうだった。
俺の中で南原さんは、最強の人だからかもしれない。絶対的な支配者で、誰にも屈したりしない。
強くて、怖くて、でもたまに優しくて。
どうしようもなく、俺はあなたにすがってしまう。
2
お気に入りに追加
1,051
あなたにおすすめの小説
普段は優しいけど夜はドSのDOM彼氏ができました
いちみやりょう
BL
▲Dom/Subユニバースの設定をお借りしてる上にもしかしたら変えてしまっているかもしれません▲
「んっ、はぁ……はぁ」
「いいこですね。ほら、Look目をそらさないで」
先生を見つめると優しく微笑んで頭を撫でてくれる。
「えらいですよ。いいこ、いいこ」
その僕を褒める声が低く心地いいから、僕はすごく安心するんだ。
先生と付き合える人はどんな人なんだろう。
きっとすごく可愛いsubなんだろうな。
神崎先生はものすごく優しいプレイをするし、きっとパートナーは甘やかしたいタイプなんだろうなぁ。
そう、思っていたのに……。
「やっぱり透はドMだったんですね。Cum《イけ》、イきなさい、透」
「ぁぁああ、ぁ、ん」
「Cum《イけ》、Cum《イけ》 ……ああ、イってる最中の透の中、うねうねして最高に気持ちいいですよ」
「はぁ、んぁ、もう、むりぃ……んっぁ」
「無理? まだ大丈夫でしょう? ほらCum《イけ》 、イきなさい、Cum《イけ》」
「ひ、んっぁぁあああ!!」
パートナーになったらこんなにドSだったなんて……。
ーーーーーーーーー
兄弟がイケメンな件について。
どらやき
BL
平凡な俺とは違い、周りからの視線を集めまくる兄弟達。
「関わりたくないな」なんて、俺が一方的に思っても"一緒に居る"という選択肢しかない。
イケメン兄弟達に俺は今日も翻弄されます。
平凡でツンデレな俺がイケメンで絶倫巨根のドS年下に堕ちたりにゃんか絶対しにゃい…♡
うめときんどう
BL
わたしの性癖全て詰め込んでます…♡
ツンデレだけど友達もそこそこいる平凡男子高校生!
顔も可愛いし女の子に間違われたことも多々…
自分は可愛い可愛い言われるがかっこいいと言われたいので言われる度キレている。
ツンデレだけど中身は優しく男女共々に好かれやすい性格…のはずなのに何故か彼女がいた事がない童貞
と
高校デビューして早々ハーレム生活を送っている高校1年生
中学生のころ何人もの女子に告白しまくられその度に付き合っているが1ヶ月も続いたことがないらしい…
だが高校に入ってから誰とも付き合ってないとか…?
束縛が激しくて性癖がエグい絶倫巨根!!
の
2人のお話です♡
小説は初めて書くのでおかしい所が沢山あると思いますが、良ければ見てってください( .. )
私の性癖が沢山詰まっているのでストーリーになっているかは微妙なのですが、喘ぎ♡アヘアヘ♡イキイキ♡の小説をお楽しみください/////
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。
俺の番が変態で狂愛過ぎる
moca
BL
御曹司鬼畜ドSなα × 容姿平凡なツンデレ無意識ドMΩの鬼畜狂愛甘々調教オメガバースストーリー!!
ほぼエロです!!気をつけてください!!
※鬼畜・お漏らし・SM・首絞め・緊縛・拘束・寸止め・尿道責め・あなる責め・玩具・浣腸・スカ表現…等有かも!!
※オメガバース作品です!苦手な方ご注意下さい⚠️
初執筆なので、誤字脱字が多々だったり、色々話がおかしかったりと変かもしれません(><)温かい目で見守ってください◀
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる