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129話 拉致? 3
しおりを挟む連れてこられたのは、校庭の隅にある古い体育倉庫。今はほとんど使われていない。
目立たない位置にあり、滅多に人が来ず、良からぬことをするにはうってつけの場所だ。
中は窓が無く、薄暗い。蛍光灯はしばらく取り替えられてないみたいでつかなかった。
俺、暗いところ苦手なのに...。
「わっ...」
ボロボロのマットの上に乱暴に下ろされると、たまった埃が舞い上がり、むせそうになる。
すぐに起き上がろうとするが、両手を東山さんに、両足を高橋に押さえつけられて、身動きがとれなくなってしまった。
「っ...触らないで...離して...! 」
「うん。縛ったら離してあげるよ。」
どこから持ってきたのか、ロープを手に満面の笑みを浮かべる西村さんが、近づいてくる。
嫌だ...怖い...わけがわからない...。
「...なん、で? 俺、何かした? いきなりこんなことっ...ひ、酷いです...」
西村さんは怯える俺を無視して、慣れた手つきで俺の体を絡めとっていく。
両手は背中でがっちりと結ばれ、自力では絶対にほどけないだろう。両足は、それぞれ足首と太股を繋がれて、立ち上がることもできなくなってしまった。
最後にガムテープで口を塞がれれば、言葉での抵抗すらさせて貰えない。
「はい、完成」という西村さんの一言で、高橋と東山さんは離れていった。
「んんーっ! んーっ! 」
外して! 勘弁して!
お願いだから...
「ははっ。いい格好だな坂北。何言ってんのか全然わかんねぇよ。」
そんな俺の訴えを嘲笑って見下ろす東山さんに悲しくなる。
最近は東山さんだって俺と仲良くしてくれたじゃんか。高橋のことだって、ちゃんと協力してたし。
こんなことされる理由が分からないよ...。
「っ...ぐすっ...ふ...んっ...ぅ...」
これからされることの恐怖と、友達に裏切られた悲しさで、ポロポロと涙が落ちていく。
もう高橋と、カラオケやボウリングで遊ぶこともないのかなぁ。
夏祭りも一緒に行こうって約束してたのに。
楽しみだったのに。
高橋は、相変わらす俺と目を合わせない。そっぽを向いて、出入口付近に立ちつくしている。
暗くて、表情はよく見えないが、助けてくれる気はなさそうだ。
「クスクス、あらら、泣いちゃったか。ま、そんくらい怖がってくれなきゃ困るけど。じゃあ次は、服、脱がせるねー。」
「んんんんーーー!!! 」
首を左右にブンブン振って、拒否の意を伝える。止まらない涙が、パラパラと散って床に落ちた。
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