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128話 拉致? 2
しおりを挟む「た、たかはし...? 」
全く状況が呑み込めない俺は、その真意を探るように高橋を呼ぶ。しかし、高橋は何も説明してくれない。
なんなんだ? 一体。
仕方なく状況の理解を諦め、とりあえず高橋の手を外そうと少しの間奮闘していると、ふと、二人分の影が足元に伸びてきた。
前を見るとそこには、見慣れたイケメン達の顔が二つ。
「おー、ちゃんと捕まえといてくれたんだね、高橋くん! 」
「よくやったな、さすが俺の高橋。ま、俺にとってはどーでもいいことだけど。」
西村さんと東山さん。
え、今なんて?
捕まえといてくれた? よくやった?
もしかして、二人はグルなのだろうか。
いや、それとも高橋が二人のグルなのか?
状況を分かっていないのはどうやら俺だけみたいだ。
「は、離せ、高橋っ...!」
段々怖くなってきた。
高橋が俺に酷いことをするわけがないのに。だって、いつも俺のことを心配して助けてくれる。信頼してる。
でも、じゃあこれは何?
ジワリと嫌な汗が背中を流れた。
心臓がうるさい。
「ククッ、この感じ久しぶりだな。さっさと行こうぜ。」
「わっ...! 」
東山さんは、高橋から俺を受けとると、軽々と肩に担いで歩き始める。
どこへ連れて行く気だろうか。
他の生徒からの好奇な目が痛い。
「やっば、超わくわくする。こーゆー刺激を求めてたんだよ、俺は。」
目をキラキラと輝かせて楽しそうな西村さんと、罰が悪そうに俺と目を合わせない高橋も、東山さんについて一緒に歩く。
「 な、なに? なんですか? どこへ連れていくつもりですか? 」
「ふふ、体育倉庫だよ。」
少しでも情報があれば不安が和らぐと考え、震える声で必死に質問をした俺だったが、それは逆効果で。
「え、な、なんで? 何しに...? 」
「もちろん、イイコトするため、だよ。」
っ......!
返ってきた答えは余計に恐怖を煽るものばかりだった。
わざとらしく色を含んで囁かれた西村さんの声に、さーっと血の気が引いていく。
「っ......下ろして! 下ろしてください! やだっ...! なんでっ!高橋っ!! 」
涙を堪えるような悲痛な声を絞り出して叫んでも、高橋は俺を見ない。
なんで、こんなこと。
東山さんと西村さんは、前科があるから、やっぱり気まぐれにヤりたくなったとか言われても、驚きはあまりないけれど、なんで高橋まで?
ずっと味方でいてくれたのに。
東山さんだって、今は高橋に夢中なんじゃなかったのか?
「っ...ぅ...」
怖くて、苦しくて、何よりショックで。
俺はこれ以上、何も言えなくなってしまった。
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