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123話 西村さん襲来 3
しおりを挟む「えー? それじゃつまんないよ。話してくれないならまたイタズラしちゃおっかな? 」
すると、相変わらずニコニコと温かい笑みを浮かべている西村さんが、じりじりと俺の方へ迫ってくる。
「っ...さっき、何もしないって...!」
「気が変わっちゃった。」
笑顔は全く崩れていないのに、どこか黒いオーラをまとったその雰囲気が怖い。
あ、これやばい、逃げなきゃ...!
ただならぬ空気を感じとった俺は、食事を中断して西村さんと距離をとろうとした。
のだが...。
「やっ...やめっ...! 」
さっきまで何もされないと思って油断していた俺の負けだ。一瞬遅れた判断が命取り。
スラリと長く、俺より筋肉のある西村さんの両腕に、上半身が絡めとられてしまった。
「嫌だっ...! 離してくださいっ...!」
暴れてみるが、俺を逃がす気はないようで、昨日と違って全然振りほどけない。
嫌悪感からか、鳥肌が立ちそうだ。
俺がこんな風に触って欲しいのはただ一人、南原さんだけ。
「西村っ...! てめぇ坂北を離せ! 」
なすすべなく西村さんに抱きすくめられている俺を救おうと、恐怖と怒りの感情が入り交じった表情で、高橋が向かって来てくれる。
しかし。
「離しちゃっていいの? 高橋くんだって、坂北くんが心配何でしょ? 泣いてた理由知りたいでしょ? 」
「っ...それはっ...」
俺に伸ばしかけていた手を、困惑しながら引っ込めてしまう。らしくもなくオロオロして、迷っているようだ。
こうなったら最終兵器...!
「東山さん、助けっ...! 」
「あ? あー、高橋が上目遣いで可愛くおねだりしてくれたらな。」
「っ...! そんな...」
そんなこと言ってる場合じゃないから!
俺がこんな目に遭っているというのに、最終兵器の東山さんは、めんどくさそうに俺をチラリと見ただけで、すぐに高橋へ目を向ける。
やっぱり高橋に頼むしかないか...。
頼みの綱はお前だけだ高橋!
「高橋たのむ...」
恥ずかしいかもしれないけど、上目遣いで、東山さんを説得してくれ!
「っ...ごめん坂北...俺も泣いてた理由知りてぇ...。」
ぎゅっと拳を握りしめて苦渋の表情の高橋は、助けたいとは思ってくれているのに、どうやら助けてくれない様子。そんな顔をするくらいなら、手を差し伸べてくれてもいいものを。
うぅ...この場に俺の味方は居ないのか...。
「ほらほら、早く観念しないとキスしちゃうよー? 」
「ひっ...! わかった! わかりましたから! やめてくださーい! 」
逃げ道の無くなった俺は、仕方なく三人に、昨日あったことを話すのだった。
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