BL 生徒会長が怖い

102話 東山さん襲来 21

「校則を緩める代わりに、坂北は南原に絶対服従、そういう契約だよな。」

「ああ。それが何か？」

「俺も加えろ。」

「！？...え、ちょっと、高橋！？ 」

なにそれ。意味が分からない。

「校則を緩める代わりに、坂北に加え俺も南原に服従する。そうすれば、坂北のヤられる頻度が減って、負担とか、半分こできるだろ！ 」

高橋も服従する...？
つまり、高橋も俺と同じ立場になるってこと？
それを交渉するために南原さんを探してたの？

「な、んで...」

「本当は坂北と代わってやりてぇんだけどさ、それだと坂北が納得しないだろ。だからせめて半分こにしてくれよ。知っちゃったからには、やっぱ俺、知らんぷりはできねぇんだ...。」

頼む...って、そんな風に言われても困る。俺は高橋までこんな酷い目に遭って欲しくない。

「そ、そんなことする必要はないよ！ 俺はもうお前に何度も助けて貰ってるし...！ これは俺のわがままなんだから！ 」

なんとか思い止まってもらわなければ。

俺は必死に説得を試みるが、それでも高橋の意志は変わらないようだった。

「高橋......」

「ククッ、まったく、お前も懲りないよな、高橋くん。だが俺は、玩具は二つもいらないよ。」

しかし、南原さんは高橋に興味がないようで、突き放すようにそう言った。
途端に焦りだす高橋。

「っ...な、なんでもする、します、からっ...！ 」

「高橋っ！！ 」

このドS鬼畜生徒会長に、なんでもするなんて言っちゃだめだって...！

慌てて高橋の言葉を遮る。

俺を助けてくれようとするのはありがたいけれど、それで自分をないがしろにするなんて、絶対だめだ。

どうしよう...。


「ははっ、高橋よぉ、お前、なんで坂北のためにそこまでするんだ？ せっかくこいつのお陰でお仕置きから逃れられたっつうのに、わざわざ自分からそれを受けるなんて馬鹿じゃねぇの。」

不意に東山さんが、くだらない、とでもいうように、鼻で笑った。

すると、どこのヤンキーさんですかってくらい鋭い睨みを効かせた高橋が、東山さんを怒鳴る。

「うるせー！ てめぇには関係ねぇだろ黙ってろ！ 」

普段は普通に俺と接してくれる高橋だが、前に喧嘩も慣れてるとか言ってたし、多分いわゆる元ヤンというやつなのだろう。その迫力はすさまじい。

が、東山さんも東山さんで、負けず劣らず激しい威圧感を持っている。

「あ？ 高橋お前調子乗ってんじゃねぇぞ、ぶち犯されてぇのかコラ。」

身長が高く、体格もいいので、圧倒されるような怒気を纏われると、大半の人は恐怖に戦慄くだろう。

喧嘩に慣れてるはずの高橋でさえ例外ではなく、のしかかるような恐怖に震えてしまっていた。

それでも、真っ直ぐなその目は、揺らがない。

「俺は、自分が正しいと思ったことをする。なにをされたって脅されたって、それは変わらねぇよ。 友達が辛い思いをしてるって知ってて、なにも出来ないのは、辛い。」