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101話 東山さん襲来 20
しおりを挟む「や、やめろおおおぉ!!! 」
「...! た、高橋!? 」
な、なんで!?
大声を出して生徒会室に飛び込んできたのは、盛大に息を切らせた高橋だった。
まだ帰ってなかったのか...。
っていうか、この状況ヤバイ!
俺は裸で、歯形は全身についてるし、腹は真新しい白濁に濡れている。
「待っ...高橋こっち見るなーーー!!! 」
「っ...! わ、わりぃ! 」
この惨状をクラスメイトに目撃されるのは、なかなかにキツい。
俺は、その辺に転がってる自分の服をかき集めて体を隠すように胸に抱くと、小さく丸まった。
「あぁ、鍵かけ忘れてたわ。」
なんでもないような口振りで、ボソッと呟いた東山さんの神経の図太さは凄い。
「つーかお前なんでここに来てんだよ。坂北がどうなってもいいのか?」
あー...そういえばそうやってみんなを脅してたっけ、この人。
俺は、俺を追ってきてくれた人が怪我をするくらいなら、そうやって脅しておいてくれた方が助かると思っていたけど、それでも来てしまった高橋は一体...。
「この有り様でそれを言うのかよ! もう既に酷いことしてんじゃねぇかてめぇ! 坂北、大丈夫か!?」
「えっと...う、ん...?」
正直、大丈夫じゃない。けどまぁそれは伏せておこう。
とりあえず今一番気になるのはこれ。
「 あの、高橋、なんでここへ...? 」
「坂北が連れてかれてから俺は、他のクラスメイト全員を下校させた後、南原を探してたんだよ。」
「み、南原さんを...? 」
「ああ。坂北を探そうかとも思ったんだけどな、東山は普通に坂北と話したいだけかも知れねぇとか思ったし、坂北を無駄に危険に晒すようなことにはしたくなくてよ。今回は放っておくか、と。」
襲われてたけど、と、高橋は東山さんを非難するように睨む。
「そんで、俺は南原に用があったからよ、探して生徒会室に来たんだが...何故かお前ら二人もいて、坂北がピンチっぽかったんで、飛び込んだ。」
うん、それは大体分かったけど、話を聞いて、新たな疑問が浮かぶ。
高橋が南原さんに用事ってなんだ...?
初耳なんだけど。
南原さんですら、怪訝な表情をしている。
「俺に、何の用だ? 呼び出してもいないのに来るなんて珍しいな。しかも、たった一人で来るとは。何を考えている?」
高橋の意図がわからない行動を警戒するように、南原さんは目を細める。しかし、緩やかな弧を描く口元は、やはりどこかこの状況を楽しむ余裕があるように感じられた。
不敵なオーラを醸し出す南原さんに、高橋が少したじろぐ。
「っ...皆を先に帰したのは、皆は南原と坂北との取り引きの事を知らないからだ。俺はその取り引きの事で、お前に話がある。」
「ほぉ?」
それでも南原さんの目を真っ直ぐに見て言葉を紡ぐ高橋は、まるで魔王に立ち向かう勇者のように勇敢に見えた。
え、待って?
高橋が、取り引きのことで話?
どういうこと...?
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