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77話 お泊まり 14
しおりを挟む「や、やぁっ...!そこ、やだあぁ!!」
俺の中に入った南原さんの指が蠢き、前立腺を掠めると、一層高い声で啼いてしまう。
「覚えてるよ。ここがお前のイイところだろ?」
だが、あくまで掠めるだけ。決定的な刺激を貰えず、達することはできなかった。
「やっ...ふぇっ......やだっ!!」
「嫌?お前の中はキュウキュウ吸い付いて気持ちいいって言ってるよ?」
「いわないで...ああぁっ!!」
そんな実況いらないから。余計に後ろを意識してしまって、無意識にキュッと締め付けてしまう。意地悪を言う南原さんの声は、やっぱり冷たい。
「ひゃあっ...!あぁっ...」
更に乳首をクニクニとつねられ、背中が仰け反り腰が揺れた。
出したい...苦しい。
もう何度も我慢させられて、限界だった。
流れる涙がシーツを濡らしていく。
「あぁあ...はあっ!んぁ、あっ...ふ、うぅっ」
「どうしてほしい?ちゃんと言わなきゃ焦らし続けるよ。」
蔑むように見下ろしてくる南原さんの目の奥で、嗜虐の悦びが揺れている。
これ以上焦らされたら、理性がどっかいってしまいそうで怖い。
「ふぇっ...えぐっ......おれ...おれ...」
「うん?」
だけど俺は、イかせてくれと言うことをしなかった。恥ずかしくて、という訳ではない。
きっと、南原さんが望む言葉ではないけれど、叶うなら俺は...。
「うぅ......優しく...してほしっ...ぐすっ」
「...?」
涙声で訴えると、南原さんは、ちょっと驚いたみたいだった。
この人の不敵な表情を崩せたと思うと、少し嬉しい。
今はそれどころじゃないが。
「う...怖くしないで...ま、え...みたぃ、に...やさしく...ふっ、ぅ...やさしくしてくださいぃ...!」
こんな風に冷たい目で見下ろされながら、手酷く抱かれるなんて嫌だった。いくら南原さんのテクがあって体は大丈夫だとしても、心が悲鳴をあげる。
「優しく、か。お前自分の立場を分かっているのか?お前は俺に絶対服従、俺のやり方に口出しする権利は...」
「わかってますっ...!だから、うぅ...南原さんが、だめっていうなら...別に、いいです...。」
南原さんが酷くしたいと思うなら、それに従うし、耐えるしかないから。そのつもりで、ここに来たから。
「ククッ、あははは。俺は、イかせてくれとみっともなく懇願させようと思っていたんだが、まさかそんな可愛らしいお願いをされるとはね。クックッ」
「うっ......ひっく...」
その愉快そうに笑う声は、一体どっちだ。俺の要求を承諾するのか、無視するのか。もしくは主に口出しした愚かな奴隷に、制裁を加えるつもりなのかもしれない。
しかし、怯えきって泣いている俺に聞こえた呟きは穏やかで、その声は暖かさを含んでいた。
「はぁっ...いつもならどんなに泣かれたって絆されたりなんかしないんだがな...。」
恐る恐る南原さんの顔を見ると、戸惑ったような、少し困ったような笑みを浮かべている。
「目、瞑れ。」
「ん...ぅ...」
それは労るような、慈しむような、柔らかいキスだった。
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